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牛飼いと守護精と  作者: 久保 公里
第12章

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第12章-19 お茶にしましょう

 「そうですわね。きっと良い方向に行くと思いますわ。ライモンさまには次代さまがついていらっしゃいますし、わたくしも父も力を貸しますから。ライモンさまは、頼ってくださいませ。なにせ、わたくしの父は、国王ですのよ」


 フヨウはなぜか威張ったように言った。それから、ライモンとフヨウは顔を見合わせると、同時に笑みを浮かべた。


 「ライモーン」


 アカネが再び外に出てきて、息子に呼びかけた。ライモンとフヨウはその声に振り返る。アカネの後ろから、ハナナとキブシが盆にのせた茶器ややかんを持って出てくる。


 「なにをしてるの、ちょっと手伝ってちょうだい」


 「わかった」


 ライモンはそう答えてから、フヨウに小さく頭を下げて、アカネのもとに駆けよる。巻き起こった風に、フヨウの髪がわずかに揺れた。


 「あ、わたくしも手伝いますわ」


 ライモンに遅れて、フヨウも彼のあとを追った。


 アカネは今朝ほど皆で朝食を食べた炉のそばでライモンを待っていた。


 「母さん」


 「ライモン、火を起こしてくれる? お湯を沸かして皆さんでお茶にしましょう。騎士さまがたものどが渇いていらっしゃるでしょうし」


 その言葉が届いたのか、ハシドイが困惑したように眼を見開いた。


 「奥方様、私どもにはお構いなく……」


 「あら、お気になさらないで。すぐに支度しますからね。椅子がそれほどないんですけど、適当におくつろぎくださいな」


 「あ、はあ……」


 困惑したように、ハシドイはあいまいにうなずいた。


 ライモンは炉にかがみこんで、火をおこし始めた。幸い、まだ埋火が残っていて、すぐに小さな炎がちろちろちと見えてきた。


 それをフヨウが興味深げに隣で見つめている。少し驚きが混じったような表情で。


 反対側にはモエギがライモンに小枝などを渡して、実際に手助けしていた。


 火が大きくなると、ライモンはそこから離れて、網をその上に乗せた。さらにその上に水がたっぷり入ったやかんを置く。


 「母さん、ほかに何すればいい?」


 「そうね」


 アカネは少し考えてから、言葉を継いだ。


 「チーズを少し取ってきてくれるかしら。焼き菓子があるけれど、塩っ気のものもあればいいでしょう」


 「わかった」


 ライモンはうなずくと、すぐにチーズの保管小屋に向かって走り始める。その後ろをなぜかフヨウが追いかけ、さらにモエギが続く。


 はたから見れば、不思議な一行に映ったことだろう。フヨウはまるで、親鳥の後をついていくひな鳥のようだった。


 ライモンがふたりとともにチーズを持って戻ったときには、すでにお湯が沸いてアカネたちはハシドイたちにお茶を振るまっていた。


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