第12章-14 伝言
「陛下とアイネズさまに伝言を頼めますか。アカガネさんたちの処分を軽くしてほしいと、俺が言ってたって」
「減刑、でございますか!?」
アオヤギは驚愕した。その彼にライモンはこくこくとうなずく。その期待に満ちた表情に、アオヤギは戸惑ったようだったが、ゆっくりと首を振った。
「申し訳ございませんが、私では陛下に拝謁する地位も身分もございません。それに、領主館に戻る時分に、陛下はすでにお立ちになられていらっしゃるはずです」
「そうなんですか……」
明らかに、当てが外れたようにライモンはしゅんと顔を落とした。それがかわいいやら、申し訳ないやらで、アオヤギは苦笑めいた笑みを口元に刷いた。
「申し訳ありません。ですが、新しいご領主さま、アイネズさまには申し上げましょう」
「本当ですか!?」
一瞬で、ライモンは顔を輝かせてアオヤギを見上げた。アオヤギの笑みがさらに深くなる。
「はい、お約束申し上げましょう」
「お願いします。アカガネさんたち、重い罪になると聞きました。でも、俺は傷ひとつなくここにこうして生きてますし、悪い人たちじゃないと思うんです。どうか、アイネズさまにあの人たちの罪を軽くしてくださいと、お願いしてください」
アオヤギはその言葉に表情を硬くしてうなずいた。
「承りました。アイネズさまにお伝えいたします」
深々とアオヤギは一礼する。そして、そのままの格好で。
「感謝申し上げます」
そう小さくつぶやくように言った。それからもう一度一礼してから踵を返し、乗ってきた馬のほうに向かう。アカガネたちはすでに幌馬車に乗り込んだのだろう、姿は見えなかった。
館の騎士たちはその幌馬車を囲むようにして、ライモンの牧場を出ていく。それを見送りながら、ライモンはまるで幌馬車を守っているようだな、と思った。
ふうっと、ライモンはため息をついた。そこへ。
「では、陛下にはわたくしが奏上いたしますわ。次期さまのご要望として」
「あ、姫さ……フヨウさま」
姫さまとついうっかり口にしかけて、フヨウににらまれたため、ライモンは慌てて言いなおした。それからはっとしてフヨウを見つめる。
「え、フヨウさま、彼らと一緒に戻らなくてよかったのですか?」
「ええ、アオヤギ殿が申しましたでしょう、戻ったころには国王陛下の一行はすでに出立していると。午後の休憩所にて落ち合う予定です。ハシドイ様たちは私の護衛としてこちらに参りました。私のわがままに付き合わせて、申し訳ないのですが」
フヨウがちらりとハシドイを見やると、彼は小さく首を振った。
「これがわれらの任務ですので、お気になさらず」
その言葉に、フヨウが困ったように笑みを浮かべた。




