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牛飼いと守護精と  作者: 久保 公里
第12章

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第12章-13 別れ

 アカガネはかすかな笑みを浮かべると、次いでまじめな表情で再び一礼した。


 それに倣うように、他の三人もアカネとライモンに向かって一礼する。彼らの手首もまた既にほかの騎士たちによって、すでに縄で縛られていた。


 「フウさんも、ソウさんも、ゲンさんもありがとうございました。よく働いてくださいました。またお会いしましょうね」


 「はい、奥様」


 「料理、美味しかったです」


 「ありがとうございました」


 三人はそれぞれ、口々に言った。どの声にも、想いがこもっている。特にぼそりとつぶやくように言ったゲンの声音には、見知った騎士たちがおや、という表情を浮かべた。それは、いつものゲンとはどこか違っていた。雰囲気もまた、違うような気がした。


 だが、今朝彼に会ったばかりのアカネはそんなことには気付かなかったのだろう、ただ微笑んで皆にうなずいた。


 アカガネは最後に、妻の顔を見やった。ほんの一瞬、ごくわずかの間だけ、ふたりのまなざしが絡み合う。その刹那だけで充分だったのだろう。かすかに笑みを浮かべて何事もなかったかのように、アカガネは歩き始めた。


 ハギノの身体が小さく揺らいだ。前で重ねられていた手が、いつの間にか祈るように胸の前で組まれている。それは、夫の無事を願いながら、それが叶わぬかもしれないことを知っていたのだろうか。ただ黙って、騎士に連れていかれる夫の後姿を見つめていた。


 これが今生の別れになるかもしれないと。


 ハギノは涙を見せまいと歯を食いしばる。アカガネには笑顔だけを胸に刻んでいてほしいと願いながら。


 アカガネたちは騎士たちに導かれて、ハナナたちが乗ってきた幌馬車に乗り込んだ。そのための馬車でもあったのだろう。


 アオヤギがライモンとアカネに一礼する。


 「御前、失礼いたします。お騒がせいたしまして、申し訳ありません」


 「あ、アオヤギさん」


 そのまま踵を返そうとするアオヤギを、ライモンは引き留めた。アオヤギは不思議そうな表情で彼を振り返る。


 「何でございましょう」


 「あの、アカガネさんたちの処分を決めるのは、誰ですか?」


 「えっ」


 アオヤギは一瞬、なにを言われているのか、理解できないように眼をしばたたいてライモンを見つめた。ライモンは必死な表情でアオヤギを見つめていた。


 「えっと、つまり、アカガネさんたちにどんな罰を与えるのか、それを決めるのは陛下ですか、それともアイネズさまですか」


 「あ、それは……」


 困ったようにアオヤギはライモンを見つめ、それからゆっくりと首を振った。


 「申し訳ありません。それは私にはわかりかねます」


 「あ、じゃあ」


 ライモンは焦ったように言葉を継いだ


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