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18.枕

 しばし女神さまの準備を眺めていると、女の子が使うようなでかい枕を用意していることに気が付いた。明らかに枕がでかい。たまげたなあ。



 『ずいぶん大きな枕ですね』


 『枕みたいな形をしていますが、これでもちゃんとしたデバイスなんですよ。これを使うと意識の転送が出来るんです』


 『あっ、もしかして意識だけを新しい世界に送るみたいな感じですか?』


 『はい、そのような感じです。……大海さんはそういう知識もあるんですね』



 ラノベとかゲームでその辺の知識は頭に入っている。



 『まあ、ゲームなんかで得た知識ですけど。でも凄く面白そうですね』


 『世界のポータルを設定して……精神転送の転移先を決めて、と……うん、これで転移できます。それでは、横になって枕に頭を付けて下さい』


 『わかりました』



 俺は女神さまに言われるまま、水に体を横たえて頭に枕をセットした。でかいので綺麗に頭がフィットする。


 次いで女神さまが俺の隣に横になり、枕の余っている部分に頭を埋めた。



 『ふふっ……なんだかいつもとは景色が違いますね』


 『はい。女神さまと一緒に横になって枕を使ってると…………』


 『使ってると?』


 『…………なんでもありません』



 言いかけた言葉を引っ込める。男女の関係みたいなフレーズを出すのはまだ難しいかもしれない。もしも"私はあなたのママですよ?"なんてあしらわれるのを想像すると結構つらいものがある。



 『どうしたんですか?なんでも話してくれていいんですよ?』


 『……母さんと一緒ならよく眠れそうだ、って思って』


 『ふふっ、そうですね。ママの隣でぐっすりおやすみなさい』



 女神さまはそう言うと小さな機械を取り出す。そして二人の間の空間に、頭より少し上の高さに浮かせた。空中に静止した機械からは女神さまの声で読み聞かせが流れてくる。


 その内容は寝ないでいるとお化けが来て、お化けにされて連れ去られてしまうというものだった。以前彼女にこういう話があると大筋を話したのだが、それを文章におこして録音したのかもしれない。


 俺が話した大筋から女神さまが自己流に書きおこしたからか、独自の解釈が加えられた大胆なアレンジに仕上がっている。


 そして機械越しでも女神さまの声は魅力的だった。幼さが残る声が淀みなく言葉を紡ぐのを聞いていると、なんだか眠気が出てくるようだ。



 『これはいいですね。女神さまの声を聞いてたら眠くなってきました』


 『この機械には気分を落ち着けて眠りを助ける機能もあるんです。枕にも似た機能がありますので、二つのデバイスで効果も二倍です』


 『それは、いい睡眠になりそう、です……』



 読み聞かせを聞いていると徐々に瞼が重くなってくる。俺はしばしその状態でぼんやりしていたが、やがて目をつぶり意識を夢の世界に漂わせた。

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