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15.命(世界)

 『コウノトリもキャベツも真上をぐるぐる回り始めましたね』


 『ふふっ、まるで祝福してくれてるみたいです。……私の一部みたいなものですので、私に引き寄せられているんでしょうけど』



 コウノトリとキャベツは俺たちの真上をぐるぐると旋回している。……正確には女神さまの真上辺りをぐるぐるしているようだ。


 話の流れがカオスすぎてどんな話をしていたのか朧気になりつつあったが、そもそも俺が"世界が出来るというのはどういう意味か"と問いかけたのが始まりだった。


 女神さまの好意的で照れた反応からして、先ほど見せてくれた新しい世界は人でいうところの愛の結晶のようなものらしい。


 彼女の表情に笑顔や照れとして浮かぶ俺への暖かな好意。それらが言葉よりも雄弁にそう語っていたのだ。


 女神さまを恐がらせたり恥ずかしがらせたりして心苦しかったが、それを知ることが出来たのはよかった。


 なんのことはない。スケールが壮大すぎて理解しづらかっただけで女神さまの価値観は人とそれほど変わらないのだ。


 話をさらっと聞いただけで"自分とは違う"と決めつけた俺サイドに責任があった。その反省の意味も込めて、女神さまが望むように、そして血を分けた存在を尊ぶように新しい世界に接するようにしよう。



 『ありがとうございます女神さま。話していただいたおかげで新しい世界について知ることが出来ました』


 『それならよかったです』


 『それで、世界との親交を深めたいのですが触ってみてもいいですか?』


 『あっ、はい。大丈夫ですよ。私の世界ですがあなたの世界でもありますから。そうっと触ってみて下さい』


 『ありがとうございます』



 俺は女神さまの了承を得て慎重に手を伸ばす。指先でそっと触れてなぞるようにすると表面が暖かい。まるで生まれたばかりの命が強い生命の息吹を発しているかのようだった。


 しばし新しい世界の暖かさを指先と指の背で感じていると、女神さまの表情がむずがゆそうなものになっていることに気が付いた。

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