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13.膝枕(2)

 そんなこんなで女神さまに膝枕をしてもらった。いつも通りの太ももの感触だ。柔らかい中にも少し骨ばった感じがある。


 膝枕は女神さまとの語らいの場でもあり、その際に吐息や体温を感じられるので非常に好きだ。


 先ほどは気づかぬうちに彼女を恐がらせてしまったが、今はいつも通りのほわっとした笑顔になっている。



 『はふう……大海さんの頭の重さと温かさが気持ちいいです……』


 『俺も女神さまのおみ足の柔らかさがいい感じです』


 『ちょっと言い方がいやらしいですよ?』


 『すみません』


 『ふふっ……私とあなたの仲ですから許してあげます』



 うーん、かわいい。いつもの調子で軽口を叩けることのなんと素晴らしいことか。



 『あの、女神さま。先ほどは怖がらせてしまって申し訳ありませんでした』


 『……ええ。なんというかいつもより雰囲気が怖かったですね。もう落ち着きましたか?』


 『女神さまにハグしてもらって膝枕して貰ったら落ち着きました。ありがとうございます』


 『それならよかったです』



 さっきは失敗だったな、と思った。主義主張をするような場面では必ずと言っていいほど空気の読めないことをしてしまう。


 かといって主張をしなければ相対した人の価値観を知ることが出来ない。そうして仲良くなろうと発した言葉が相手を傷つけるものになってしまう。


 この世界に来る前からずっと抱えているジレンマであった。こんなことなら主張をせず女神さまの言う通りに従っていればよかったのでは、と考えてしまう。



 『でも、さっきの大海さんはいつもと違った感じでしたけど、そこがまた刺激的でよかったですよ』


 『ええ……?本当ですか?』


 『はい。……神として長く起伏のない生を送ってきたからでしょうか。最初は驚きましたけど悪くなかったです』


 『……ありがとうございます』



 女神さまは穏やかな笑みを浮かべながら俺を受け入れてくれた。甘やかしてもらっていると感じる。彼女のひたむきな母性に癒されっぱなしで頭が上がらない。



 『さて、と。落ち着いたところで大海さんの疑問にお答えしていきますね』


 『あっ、はい。ありがとうございます』



 女神さまの膝枕によって俺の激情はすっかり浄化された。人を越えた女神としての神徳が清廉すぎて、俺程度の妄念はやすやすと受け入れてくれるようだった。


 そうして俺は母にあやされる赤子のような安らいだ気分で女神さまの言葉に耳を傾けることにした。

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