新しいクラス
双見中央学園高等学校は地元では有名な私立高校。今日はクラス替え発表の日で、三年生と二年生
は掲示板前に集まっていた。
「おっ。私、Cだわ」
東間美雪が自分の名前を指差す。
「良かったな。東間」
櫻田がそう言うと、隣にいた畑本道久が「僕はDのままだ…」と、しょんぼりとした声で言う。
「美雪ちゃんとクラス離れちゃった…悲しい」
「あぁ~確かにクラスは離れちゃったけど、忘れ物したら教科書とか貸せるよ?」
「おい、東間。それなんのフォローにもなってな…「あっ、そっか!」
畑本は東間の言葉を聞いて笑顔になる。
「そうだね。これから忘れ物しちゃったら美雪ちゃんの所に行って貸してもらえるねっ」
畑本の笑顔は眩しく輝き、櫻田と東間の二人は「まぶしっ!」と手で自分の目をカバーする。
確かに忘れ物をした際、違うクラスの友達に教科書などを借りることは出来る。しかし、畑本はあ
まりにも忘れ物が多い常習犯。もう遅いが、これでは畑本のためにはならない。
「ねぇ、りゅーちゃんは何組なの?D組にもC組にも名前なかったけど」
「あぁ、うん。僕も今探してるんだけど…」
「B組の方じゃない?」
「そうかも。ちょっと行ってくるよ」
「「いってらっしゃーい」」
櫻田は東間・畑本と離れてB組の方を探すことにした。
「あった。えっと僕の名前は……ん~…」
「櫻田さん」
自分の名前を探していると櫻田は後ろから声を掛けられる。振り返って見るとそこにいたのは稲井
秀太郎だった。
「稲井君、おはよう。今来たの?」
「ううん。櫻田さん達を探してたんだ」
「あぁ~そうだったんだ。僕、東間と道久君と一緒にいたんだけど、木崎と宮間君は…」
「俺達がどうかしたか?」
「うおっ!?」
稲井の後ろから出てきたのは木崎文哉。そして木崎の隣には宮間結斗がいた。突然出てきたので、
櫻田は思わず変な声を上げてしまった。
「なんだよ。うおっ!?って…おかしなやつだなっ」
「おっ、おかしい…」
「櫻田。木崎の言うことは気しなくていいぞ」
「あっ…うん」
木崎の言葉に少しむかっとしていたが、宮間にそう言われて櫻田は気にしないことにした。
「それよりクラスはもう見たか?」
「いや、それが僕の名前だけまだ見つけてなくて」
「A組だったぞ」
「…ふぇ?」
宮間に『A組』と言われてすぐに理解出来なかった櫻田。その反応を見て木崎が「お前がA組だっ
たんだよ」と分かりやすく言うと櫻田はようやく理解した。
「えっ!?ぼっ、僕がA組に!??」
Bじゃなく、A組だったことに櫻田は驚く。だが驚くのはそれだけではなかった。
「俺も櫻田さんと同じA組だよ」
「えっ!?稲井君もAなの!?」
「あぁ…うん。自分でもびっくりなんだけど、Aだったよ」
いつも授業中に寝ていた彼がA組になったことが、あまりにも衝撃的だった。本人もまさか自分が
A組に入るなんてと思っていたらしい。
「木崎は何組になったの?」
「俺?俺は結斗と同じS組だ。休み時間ちょくちょく遊びにくっからよろしくな」
「あっ…そうですか」
「んだよ、その迷惑そうな顔はっ!?」
「木崎。休み時間じゃなくても、昼休みや放課後に会えるだろ。そんなに暇なら本を読め」
「本って…どうせ過去問題集だろ!」
「いいや。俺のおすすめは『暇な人のための時間有効法』だ」
「お前、喧嘩売ってんのかぁ!?」
「何言ってる。俺がお前に売ってるのは喧嘩じゃなくて知恵だろ?」
「やっぱり喧嘩売ってんじゃねぇーかっ!このバカ結斗ー!!」
「さて、そろそろ教室へ向かうか。櫻田、稲井君も教室へ向かえ」
「って話聞けよっ、この野郎っ!」
宮間は木崎の文句を無視してS組の教室へと向かって歩いて行った。櫻田も稲井と一緒にA組の
教室へと向かったのだった。
二年A組の教室へ着いた櫻田と稲井は、HRが始まるまでに自分達の席へ行く。
「あなたが櫻田柳?」
「えっ?」
突然フルネームで呼ばれて振り返ってみると、そこにいたのは黒髪ふわふわロングの美少女だった。
「りゅうって名前だから私てっきり男かと思ってたわ」
「…よく言われますよ」
「あらっ、ごめんなさい。私、同じA組の高見島優雅よ。これからよろ
しくね」
「こちらこそ、よろしくお願いします…高飛車さん」
「たっ、高飛車ですってっ!?」
「あっ、ごめんなさい。高見島さん」
「あなた、今わざと言い間違えたでしょ!?」
「違います。たかみしまって苗字珍しいし、言い慣れてなかったので間違えたんです。本当に
わざと言い間違えたんじゃないんですよ」
「…まぁ、いいわ。でも次言ったらただじゃおかないからねっ!」
高見島はそう言うと自分の席へ戻って行った。その後、担任教師がやって来てA組最初のHRが
行われ、今月の予定を確認とクラスメイトの自己紹介をして今日の学校は終わったのだった。




