雪
夏・秋と過ぎて、だいぶ寒くなってきたなと思ったら、早ければ今日の夕方ぐらいから雪が降ると
テレビに映る天気予報士のお兄さんが言う。
「お姉ちゃん、大丈夫?」
「うん、ありがとう。じゃあ行ってきまーす」
「行ってらっしゃい」
真保が心配する理由は、ここ最近姉がくしゃみをすることが多くなったからだ。
勇は「気をつけろよ」と言うぐらいだが、彼なりに心配してくれていると柳も真保も分かってい
た。
そして学校へ到着すると、櫻田は下駄箱で畑本と会った。
「おはよう、りゅーちゃん」
「おはよう、道久君」
「大丈夫、風邪?」
「くしゃみが最近ひどくて」と言った後、鼻がムズムズし始めて櫻田は大きなくしゃみをしてし
まう。
「良かったらこれ使って」
畑本が櫻田に渡したのはポケットティッシュだった。
「さっきここに来る前にもらったの」
「あぁ…ありがとう」
櫻田はお言葉に甘えて畑本からポケットティッシュを受け取った。
「じゃあ、僕もう行くね。またねっ」
畑本は櫻田にそう言うと、先に自分の教室へと走って行ってしまう。
櫻田もその後、自分の教室へと向かった。
「おはよう、櫻田さん」
教室に入ると、稲井が櫻田に挨拶した。
「おはよう」と櫻田が挨拶を返すと、「どうしたの?声、鼻声だけど」と稲井から聞かれる。
「あぁ…うん。僕最近くしゃみがひどくて」
「最近寒いもんなぁ~。俺も気をつけないと…」
「…あぁー鼻のかみすぎで…痛い」
先程のくしゃみで思いきり鼻をかんだせいか、ひりひりとしてしまう櫻田であった。
そして放課後になり、勉強会をしていると雪がちらちらと降り始めた。
「うわぁ~雪、降ってきちゃったね」と畑本が言うと、「こりゃあ積もるかもな」と東間が言う。
二人が窓の外を眺めながら言っていると、「…今のうちに下校しておくか」と宮間が切り上げ
発言を口にする。
それを聞いた瞬間、木崎が「賛成っ!」と喜びの声を上げた。
すると櫻田がまた大きなくしゃみをした。
「りゅーちゃん、大丈夫?」
「うん。何とか…」
「櫻田。カイロとか持ってきてないのか?」
「持ってない」
「しょーがないなぁ。私の貸してやるからそれで我慢しろ」
「すまん…」
『今更カイロなんて…』と思っていた櫻田だったが、東間から渡されたカイロのぬくもりによっ
て少しは何かが回復した気がした。その後彼女は東間と一緒に下校し、無事家に帰宅した。
そして翌朝になると、街は真っ白な雪景色へと大変身していた。そして櫻田は体調が悪化して
37度の微熱を出したが、幸いにも学校は休みだったのでその日一日は大人しくベッドの上で過ごし
たのであった。
月曜日になると熱は完全に下がり、体調も完全に回復した。
…しかし、畑本と東間は休日に二人で雪合戦をして遊んでいたら、熱が38度出てしまい学校を
休んでいると、櫻田は宮間から聞いて知った。
「やれやれ。道久はいつまでたっても子供なんだから」
宮間は保護者目線のような話し方でそう言うと、最後に深いため息をついた。
櫻田はこれを聞いて『もし自分も二人と同じように休んでいたら、きっとこんな風に言われてたん
だろうなぁ…』と自分も対象にならなかったことにほっと胸をなで下ろしたのであった。




