期間限定スイーツ特大パフェ
お昼時と言うこともあり、お客がどんどん増えてきた。そのため、体の大きい金原と蔵橋は櫻田達が
座っている席に座ることになったのだが…。
「櫻田…すまん」
「昼時じゃ仕方ないだろ。蔵橋とくっつくよりはましだ」
「ふんっ。俺もお前と隣同士なんてごめんだ」
「まぁまぁ、二人共。喧嘩しないで」
本当なら三隈と高良の席に蔵橋が座れば良かったのだが、三隈は蔵橋を怖がっていたのでそうするこ
とが出来なかった。かといって蔵橋を櫻田と一緒にすると喧嘩が始まる。『どの道、片方のスペース
に三人座ることになるんなら…』と、窮屈になるのを覚悟で金原は櫻田と蔵橋の真ん中に座ったので
ある。
「っていうか、櫻田と三隈が仲良いなんて知らなかったな。中学では全然喋んなかっただろうに」
「金原、こいつらは親戚だぞ」
「えっ?マジ?」
金原は櫻田と三隈を同時に見る。この二人が親戚であることを知っているのは恐らく来宮ぐらいしか
知らなかっただろう。だがそれよりも気になるのは…。
「おい。どうして僕達が親戚だってことを知っているんだ、蔵橋」
「陽平さんから聞いた」
「陽平さん……って誰?」
「来島翼の兄貴だ。知ってるだろ?二年の時、来島と同じクラスになったことがあるはずだ」
「俺は三年間ずっと一緒だったけどなっ」
来島翼は金原・蔵橋と同じ公立の聖南高校に通っている。金原とは
中学の三年間同じクラスということで今でも仲が良いらしいが、高校では別々のクラスになってしま
う。先程蔵橋が話したように彼女には来島陽平という4歳年上の兄がおり、櫻田
岬とは同級生で妹バカ同士である。
「なるほど。兄貴繋がりで知ったってわけね」
どういう状況ではとこの話になったのか全然想像つかないけど…妹持ち同士ならそうなる話にもなる
……のか?
そう考えていると、来宮が一人の女性と一緒に櫻田達の席へとやって来た。特大パフェを持って。
「皆さん、おまたせしましたっ!こちらが期間限定スイーツ特大パフェでーす!」
「「えっ?」」
金原と蔵橋は状況が理解出来ておらず驚く。一方で櫻田・三隈・高良の三人は女性が持ってきた特大
パフェの大きさに「「「えっ!?」」」と驚いた。
透明などんぶり…バケツ?のような器の中にぎっしりとスポンジケーキ・生クリームにいちご・キウ
イ・バナナ・マンゴーが入れられ、そしててっぺんにはアイスクリームが2、3個ほど乗せられてい
る。
「おぉ~ついに来ましたなぁ!」
「写真で見るよりもずっとでかいなぁ…こんなの食べきれるのか?」
櫻田は心配する。
「食べられるっ!」
「愛姫ちゃん、やる気満々だね」
だが、三隈も特大パフェを見てだんだんと心配になってきた。
「制限時間は1時間。それまでに完食してくださいね。完食だったらパフェ代は無料。完食出来なか
った場合は8000円のお支払いとなりまーす」
「「8000円!?」」
女性の口から出た金額に金原と蔵橋はまたしても驚く。
「時間は来宮が計りますので頑張ってくださいねぇ~。では皆さん、準備はいいですか?」
「えっ、俺達も食うの?このパフェ」
そう言いながらも金原はスプーンを手に取る。蔵橋は隣にいる来宮を睨みつけて「これはいったい
どういうことだ?」と尋ねるが…「はいはい。来ちゃったからには最後まで付き合ってね、お二人
さん」とまるで他人事のような口調で答える来宮に蔵橋は軽く舌打ちをしてからスプーンを手に持
つ。
「はーい、全員持ちましたね。ではよーい…スタートッ!」
女性の合図で来宮がストップウォッチを押した。そして五人の挑戦者達が一斉にパフェをスプーンで
すくって口の中へと入れたのであった。




