本間中出身全員集合?
来宮が去って行った後、三隈は交互に紹介する。
「愛姫ちゃん、こちら櫻田柳さん。私とははとこで同じ本間中学の出身だよ」
「よろしくお願いします」
「柳さん、こちら高良愛姫さん。私とは同じ高校のクラスメイトで、菜波中学の出身だよ」
「こちらこそよろしく。それで柳さん、月子には何のご用件で?」
「実はうちの妹が今年受験生で、第一志望に兄が通っている高校に行きたいと言ってまして」
「柳さん、敬語やめない?うちら同い年だからタメ口でいいよ」
「…わかった」
ため口に切り替えて話を進める。
「だけど、担任教師に今の成績だと無理だと言われてね。それだけならまだ良かったんだが…その担
任に姉と同じように専願で私立を受ければどうだと言われたらしくてな」
「うわぁ~~嫌な感じ~」
「本間中なんだよね?担任は私達の知ってる人なの?」
「光寺玉恵。僕達が中二の時にやって来た女教師だ」
「あぁ~あの先生かぁ…。確かにあの人なら言いそうかも」
「長男にちくってもいいが、騒ぎを大きくするのは後々面倒なことになる。かといって父親に話すに
してもあの石頭眼鏡に怒鳴りちらすような性格でもないし…次男は役に立たないし。僕は勉強出来な
いから何を言ってもあの石頭眼鏡には届かないだろう」
そもそも抗議すること事態、面倒なことだ。
「なるほど。つまり…何がしたいの?」
「月子の力を貸して欲しいんだ。うちの次男が通ってる高校は来宮環が進学した永愛高
校だからな」
「なにっ、柳さんのお兄さんは永愛に通ってるのか?」
「あぁ。今年大学受験を受ける」
「すげぇ~じゃあ柳さんも頭良いの?」
「いいやっ。僕は兄妹の中で一番頭が悪い。私立双見中央学園高等学校に通ってる」
「えっ、柳さん双見なの?」
三隈が柳に尋ねる。
「あぁ、東間美雪もそこに通ってる」
「そうなんだ。東間さん元気してる?」
「めちゃくちゃ元気だよ。なんだったら呼ぶ?」
「あぁ、いいっ!大丈夫」
「…そう」
どうやら余計なおせっかいだったようだ。柳は話を変えることにした。
「月子達はどこの高校なんだ?」
「うちらは桜山西女子高等学校」
高良が教えてくれたのだが、櫻田はその名前に覚えがなかった。私立高校のパンフレットを読んで、
いくつかの高校名は覚えていたものの…。
「…どこだ?」
思い出せそうにないので二人に正直に尋ねる。
「電車で約30分、電車降りたら徒歩5分で着く私立高校。普通科特進・普通科・商業科・美術科
とあって、うちらは美術科なのだ」と高良が自慢げに言う。
美術科と聞いて櫻田は高良からもらった名刺に再び視線を向けて、「あぁ~それで絵が上手いのか」
と呟く。すると高良があることを思い出して櫻田にこう話を持ちかける。
「あっ、そうそう。うちの高校もうすぐ文化祭なんだけど、良かったら遊びに来る?」
「えっ、いいのか?」
突然のお誘いに櫻田は高良に尋ねる。保護者でもない自分が行っていいものなのか…と。
「大丈夫だよ。招待券持ってれば入れるからさ」と高良が説明する。
「へぇ~そうなのか。何か出すの?模擬店とか」
「ううん、うちは美術科だから自分達の描いた絵を展示するの。模擬店は多分普通科の人が出すんじ
ゃないかな」とここで三隈がやっと答える。
「なるほどね。都合が合えば行ってもいいかも」
「おぉ~やったぁ~」
「盛り上がってるね。何話してるの?」
「あっ、環ちゃん…と、誰?」
彼の後ろにいる背の高い男性二人に高良は目を向ける。すると…。
「よぉ、三隈に櫻田。久し振り~」
「金原風雅に蔵橋誠一…なんでここに」
櫻田は自然と嫌な顔をする。彼らも櫻田と同じ本間中出身。来宮がこっそり金原に連絡をして来て
もらったのだ。ちなみに蔵橋はたまたま彼と一緒にいたというだけだったが、金原に『一緒に行こう』
と誘われたので仕方なくついて行った。
「相変わらず俺の顔を見るなり嫌そうな顔をするな、櫻田」
「っ!?…悪かったな」
櫻田は蔵橋の言葉にカチンときた。
「まぁまぁ、二人共」
止めないとまずいと思ったのか、金原が仲裁に入る。蔵橋は口が悪いため、櫻田や他のクラスメイト
からも嫌われている。
「あの~うちは無視ですか?」と金原に涙目で訴える高良。
「あぁ~ごめんごめん。そんなつもりじゃなかったんだっ」
金原は大忙し。それを黙って見守る来宮。そんな彼に『助けて』と目で訴える三隈にだんだんと客が
増えて賑やかになっていくファミレスに…段々と本来の目的からずれてしまっている櫻田であった。




