電話のやり取り
それから二週間後の翌朝、櫻田は自分の部屋にてある人物と連絡を取った。自宅の電話番号しか知ら
なかったため、朝早くから電話を掛けることとなったが…それも仕方がないことだった。電話を掛け
てコールが3回鳴った後、受話器から一人の少女の声が聞こえる。
『はい、もしもし?』
親が出るかと思っていたが、本人が出てくれた。
「もしもし、三隈さんのお宅でしょうか?」
『はい。そうですけど…えっと…』
どちらさまですか?と聞かれる前に櫻田が答える。
「櫻田柳。本間中で一年の時、同じクラスだったものです」
名を名乗るだけでは分からないかと思い、出身中学で一度同じクラスだったことを話す。
『あぁ~…どうも。お久し振りです』
声のトーンは最初よりも少し高くなった。どうやら覚えてくれていたようだ。
「すみません。こんな朝早くにお電話してしまって」
『あぁっ、いえいえっ!そんなっ、大丈夫ですよ、全然っ!』
同い年だが、こちらが敬語を使っているせいで三隈も敬語になっている。
「ありがとうございます。実は三隈さんに頼みたいことがありまして…出来れば今週の土日にお会い
したいんですけど」
『今週の土日ですか?』
「はい」
出来ることならば今日にでも会いたいという気持ちを抑えて、櫻田は『今週の土日に会いたい』と
言った。
『あぁ~…土曜は登校日で…日曜日なら空いてますけど』
「では、今週の日曜日で。待ち合わせ場所は…『ラクマリアはどうですか?』
「えっ?」
突然言い出すものだから、櫻田は驚いてしまう。
『ラクマリアのファミレス。遠いですけど、そこはどうでしょう?』
「…まぁ、いいですど」
待ち合わせ場所のことまで考えていなかったため、正直助かった。だが、櫻田の記憶が正しければ
ラクマリアは彼女が住んでいると思われる場所に自分が住んでいる自宅からも自転車で約30分ぐ
らいするところにあったはずなのだが…。
『よかった。じゃあ、日曜日で12時に待ち合わせはどうですか?』
「あぁ…はい。では、それで」
もう彼女に任せるしかないか…と櫻田は人任せモードに入っていた。
『あっ、電話番号聞いても大丈夫ですか?』
その後、互いの連絡先を交換して三隈との電話を終了させた。電話のやり取りを終えてすぐ、櫻田は
忘れないようにと自分のケータイメールに待ち合わせの内容を書いて保存。それからすぐに家を出て
学校へと向かったのであった。




