大富豪からの柳の奇跡話
昼食を食べ終わった後、柳と真保は後片付けに取り掛かっていた。
客人である宮間は父親と少しばかり柳のことについて聞かれたが、すぐに自分の部屋へと戻ったた
め、残っているのは柳・真保・宮間の三人だけとなった。
「終わったー!」←真保
「終わったね」←柳
「ねぇ、お姉ちゃん。久し振りにトランプして遊ばない?」
「えっ?どうしたの、急に」
「だって最近全然遊んでないじゃない。お姉ちゃん、ずっと東間さんと遊んでるし」
「あぁ…まぁ…うん」
小学生の時は兄妹としか遊ばなかったが、中学に上がってからは休みの日をほとんど東間と遊ぶこ
とが多くなっていた。それがもう当たり前になってきていたから…。
「宮間さんもトランプ一緒にしましょう。神経衰弱とか大富豪、ババ抜き、7ならべとか出来ますよ」
「えっ、ちょっと真保っ…」
柳は宮間の存在を完全にではなかったが、半分忘れていた。そして彼を誘う妹を止めようとした。
しかし…。
「いいよ。一緒にやろう」と、真保に優しい笑顔で答える宮間。
だが、その笑顔を見て柳の方は嫌な予感しかしない。もしかしたら何か裏があるのではないか…と。
柳がそう考えているうちに、真保が自分の部屋からトランプを持ってきた。どうやらここで行う
らしい。
「じゃあ、何からしましょう」
「神経衰弱」←柳「大富豪」←宮間
「あっ、分かれましたね。じゃあ、二人共じゃんけんしてください」
「…櫻田、お前が掛け声をしろ」
「あっ、はい。ではいきます。じゃんけんー…ぽい!」
じゃんけんの結果は、柳がグーを出して宮間がパーを出したので最初のゲームは大富豪に決定した。
大富豪とは、三人~五人ほどで遊ぶトランプゲームである。
「よしっ。私いっちばーん!」
「強いな」
「真保ってこういうの強いんですよ。兄妹の中では断トツで」
「お姉ちゃんだって強いでしょ?くじ引きとか」
「くじ引き?」
宮間が柳の方に視線を向ける。
「昔の話ですよ」
「小学生の頃に商店街の福引で3等のみかん一箱分をお姉ちゃんが当てたことがあるんです」
「へぇ~すごいじゃないか」
宮間が『みかん一箱分』と聞いてどう思ったかはわからないが、柳に向けて軽く手をぱちぱちと
拍手を送る。別にそんなすごいことでもないだろうと思いながらも、柳は「たまたまですよ」と
彼に返すのであった。
「それだけじゃないですよ。私が欲しかったおもちゃや景品を一発で取ったこともありました」
「偶然だろ。いつもそんな奇跡が起きるわけじゃない」
柳は妹に反論する。それを隣で見ていた宮間は…。
「けど何度か起こしてるのは事実だろ?そのくじに使っている奇跡を学業でも起こしてくれれば…俺
も嬉しいんだがな」
「やっぱり…そう言うと思ってましたよ」
けれど、そんな奇跡は今まで起こしたことは一度もない。起こせるものなら今すぐにでも起きてほ
しいものだと、柳は思ったのであった。




