櫻田と東間の電話
「あいつ絶対勘違いしてる。全く勝手に電話かけておいて…」
「何をぶつぶつ言ってるんだ?」
「っ!?すみませんっ!」
櫻田は宮間の前で独り言をこぼしてしまったことに今気づき、すぐさま彼に謝罪する。
いつもなら一人でぶつぶつ言っても誰も文句は言わないのだが…。
「謝らなくていい。それより良いのか?掛け直さなくて」
誤解してるようなら早めに解いた方が良いんじゃないのか?と宮間が言うので…。
「あぁ…そうですね。誤解は早めに解いた方が良いですよね」
宮間の迷惑になることも考えて、今度は櫻田から東間に電話を掛けることに。
「お前、何勘違いしてるかと思うけど…宮間君は気分転換で来ただけなんだから」
『気分転換?…本当に?』
「本当だよ。それによく考えてみろよ。あの宮間君が僕みたいな女と付き合うわけないだろ?」
『…まぁ、確かに』
「だろ?誤解なら早めに解いた方が良いって宮間君に言われたから、念のためにと思ってな」
『あぁ~なるほどね。まぁ、よく考えたらお前と宮間君がくっつくなんて絶対ないよな。もしそう
だったら…世界が終わる』
「おい。いくら何でもひどすぎるだろ、それ」
『冗談だよ、冗談』
「分かってるけど、冗談には聞こえないんだが…」
『あははっ。まぁ、とにかく気にすることはないさ。じゃあ、また学校で』
「あぁ。じゃあな」と櫻田は東間との電話を切り、宮間がいる自分の部屋へと戻った。
「終わったのか?」
「あっ、はい。心配しなくても大丈夫でした」と宮間に報告する。
「そうか。…良かったな」
「はい」
「世界が終わらなくて」
「っ!??きっ、聞いてたんですか!?」
「お前達の声がでかいから、耳に入ってきただけだ。全くお前達は…」
「す、すすすっ、すみませんでしたっ!明日東間と一緒に謝罪します!ごめんなさいっ!」
櫻田はすぐさま宮間にまた謝罪する。そして東間を恨んだ。
だが彼は櫻田に嘘を付いていた。
彼女が部屋を出て少しした後、ゆっくりと扉を開けて様子を見ていたということに…。
「謝らなくていい。それより…」
「あっ…はい?」と櫻田が宮間に尋ねようとした時、扉からコンコン!とノックの音が鳴る。
「お姉ちゃん、お父さんがお昼にしようって」
「あっ、うん。分かったー!先に下りてて」
「はーい」
「…で、何です?」と真保を先に行かせたことで、改めて宮間に尋ねる。すると…「いや、なんでも
ない。下へ下りるぞ」と宮間は何事もなかったかのように部屋から出ようとする。
「あっ、もしかしてお腹空いたから飯にしろって言おうとしてました?」
「…」
どうやら図星だったらしく、宮間は部屋から出ようとする足をピタッと止めるが、すぐに扉を開けて
廊下へと出て行くので、櫻田もすぐに彼の後を追って部屋から出た。
「どのみち、お前と妹で作るんだろ?」
「あっ、はい。何かリクエストはありますか?」
「卵焼き。…俺が本気でリクエストするとなれば、櫻田家の財産がからっぽになる恐れがある」
「うちの家、超ド貧乏だと思われてるんですか?」
いったい、どんなものをリクエストするんだろう…彼は。
だが、どのみち冷蔵庫の中にある材料で作るので、宮間のリクエストに応えられる自信がなかった。
なので櫻田は『卵焼き』と聞いて正直ほっとしたのである。
「あっ、お姉ちゃん。お昼お父さんが作ってくれるって」
「えっ、そうなの?珍しい」
「今日はお客さんが来てるからね。久し振りに何か作ろうかなって」
「「何作るか決まってるの?」」
姉妹がはもった。
「う~ん~そうだね。…焼き飯かな。簡単に」




