柳は兄妹に無関心?
「兄貴しっかりしろっ。柳、ぼーっと突っ立ってないでなんとかしろっ!」
「なっ、なんとかしろって言われても」
「お前のせいでこうなったんだろ?!とにかく何でもいいから「柳をいじめるなっ!」
そこへ岬が勇の左頬を右手でバシッと思い切り叩く。
勇は「なっ、なんでこうなるんだよ…」と岬に叩かれた後、床に倒れて動かなくなってしまう。
力はそんなに強くなかった。だが兄は自分よりも妹のことが大事であり、自分が兄のために妹を
叱っても兄は先程のような行動を取る。想定はしていたが、それでも勇は落ち込んでいた。
そんな弟よりも、兄の岬は可愛い妹の方へとすぐさま駆け寄り…。
「柳、大丈夫か?勇が言ったことなんて気にしなくて良いからな」と柳の頭を優しく撫でる岬。
「おっ、お兄ちゃん。宮間君がいるからちょっと「お兄ちゃんは気にしないもーん」と岬は柳を自分
の元に引き寄せて頬をすりすりとし始めたのだ。
「ちょっとお兄ちゃん、やめろって。本当に」
さすがに実の兄妹で抱きついているところを友人に見られるのは恥ずかしく思い、柳は岬から離れよ
うとする。だが岬は宮間に自分と妹の仲を見せつけてやろうと考え、柳が嫌がっていると分かってい
ても離れようとはしない。だが…。
「ごめんね。岬は柳と真保のことになると熱くなっちゃって」
「いえ。妹さん達のことをとても大切にしているというのがすごく伝わってきます」と父と一緒に話
をしていて、こちらの方を全然見ていなかった。
全然見てないだとぉー!????????
「お兄ちゃん、いい加減離れろって」
だが柳の声は岬の耳には届かなかった。それからしばらくして岬は父と勇、真保の三人と一緒に
駅まで向かうことになり、櫻田家には柳と宮間の二人だけが残った。
「ごめんね。お兄ちゃん達がいろいろとやかましくて…」
「別に気にしてない。にぎやかでいいことだ」
「それ…褒めてないよね?」
「だが、お前の長男がK大に通ってるとは意外だったな。本当にお前と血が繋がっているのか?」
「信じられないのは分かりますけど、僕達は間違いなく血の繋がった兄妹ですよ」
聞かれると思ったよ。ただでさえ4人兄妹だって言っても驚かれるしなぁ…。
「次男の方も頭は良いのか?」
「…公立高校に通っているから、僕よりは頭良い方だと思うけど正直よく分かんない。今年、勇お兄
ちゃんも真保も受験生だけど、二人がどこの大学・高校を受験するとかなんて知らないし…」
「ん?お前の妹も受験生ってことは、うちの学校に見学に来てた彼と同級生になるのか?」
「えっ?」
宮間に尋ねられたが、すぐに答えられず焦っている柳を見て宮間は深いため息を零す。
「忘れたのか?学校見学の時に来てた男子生徒だ。お前と東間の後輩」
「後輩…力君のことですか?」
後輩と言えば彼しかいない。これでもダメなら一発頭を叩いてやろうかと思っていたが、その必要
はなくなってほっとする。
「そうだ。見学に来ていたし、お前達の後輩なら妹と同じ中学になるはずだ。まぁ、お前の妹が私立
に通っていたら話は違ってくるが」
なんだろう。この疎外されている感じは…。
「確かに力君と真保は同級生だけど、クラスが違ってて話すことはほとんどないって力君から聞いた
ことあるけど」
「妹の口からじゃないんだな」
「学校のことあまり話さないんで」
「兄妹がいない俺が言うのもなんだが…お前はもう少し学校のことについて兄妹と話すべきだと思う
ぞ」
「そう言われても、話すことと言ったらほとんど愚痴になっ…「なんだって?」
「なっ、なんでもありません。ごめんなさいっ!」
家族に話すってなれば、大抵…愚痴になってしまう。
そして、その愚痴の内容が目の前の人についてのことだなんて…言えるわけも。




