宮間家と道久にいったい何が?
「さて。そろそろお昼だな」
「あっ…そうだね。結斗君のお家ってお手伝いさんいるんだよね?」
「あぁ。そろそろ戻ってくる頃だから下に下りて様子を見てくる」
「うん。分かった」
櫻田に告げた後、宮間は立ち上がり部屋から出ようとすると大人しく床に寝ていた虎二郎が目を覚ま
し宮間の方へ。
「あっ、虎二郎がっ」
にゃ~。と可愛い声で鳴き、彼の足にすり寄る姿を見て櫻田は「いかないで~って言ってるみたいだ
ね」と宮間に言う。
「そんなわけないだろう」と宮間は虎二郎を抱っこした後、櫻田に引き渡すと「すぐ戻る」と言って
部屋の扉を開けて出て行ってしまう。
「あっ…うん。行ってらっしゃい」
そして数分後、宮間が部屋へと戻ってくると、「あっ、おかえりなさい。虎二郎帰って来たよ」と
櫻田が虎二郎に話しかける。するとそれを理解したのかは分からないが虎二郎は先程まで膝の上で
座りこんでいた身体を起こし、宮間の元へ。
にゃ~。
「さみしかったよ~って言ってるみたい」
「だからそんなわけないだろ。櫻田、下に下りろ。お前の分の食事も作ってほしいと頼んでおいた」
「あっ、うん」
あれ?でも虎二郎は?
そう思っていると宮間は察したのか櫻田に「その間に虎二郎もお手伝いから飯を貰う。心配する
必要はない」と説明。
「あっ…そうなんだ」
お手伝いが虎二郎のご飯をあげていることに、少し驚いた。てっきり宮間があげているものかと
ばかり思っていたからだ。とりあえず宮間と共に櫻田は部屋を出て一階へと下りて行ったのだった。
「お疲れ様。あっ、ここに座って」
「ありがとうございます」
宮間の母親に隣の席を薦められた櫻田は、素直に彼女の隣に座ることに。宮間は母親が向かい
合わせの席、つまり櫻田の斜め左上だ。
「櫻田さんは結斗君と同じクラスなのかしら?」
「あっ、いえ。…私はC組なので違うクラスです」
「あらそうなの?ごめんなさい。てっきり同じクラスかとばかり」
「彼女のことは木崎からの紹介で知り合ったんですよ。それからずっと良き友人なんですよ」
どうしてだろう。本人なのに本人じゃないような気がしてならない。
ここにいる宮間結斗は学校で会う宮間結斗とは全くの別物…この差はいったいなんなんだ?
「まぁ、そうだったのね。ってことは…「道久とも仲は良いですよ。彼女の親友が彼と同じクラス
なので」
親友というのは間違いなく東間のことを指している。彼女の他に思い当たる人物はいないからだ。
「お母さん、何度も申していますが道久に悪気はなかったんですよ?」
「えぇ。それは分かってるんだけど…「大丈夫です。道久は当分の間は家に入れないようにしてい
ます。あぁ、もちろん彼女にはこの家に来たことは秘密にさせます」
「えっ…」
なぜそうなるんだ?と思っていると宮間は母親に向けていた視線を櫻田の方に向ける。
「家にも事情というものがあるんだ。くれぐれも道久には今日のこと言わないでほしい」
「…わっ、分かりました」
断る理由もないので櫻田は承諾するが、いったい彼は何をしたというのか?気になるが、どうも
聞ける状況ではないし空気が悪くなるのも嫌だったので聞かないことにしたのであった。




