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僕のキャラが崩壊します!!  作者: さくら
Ⅱ・学力テスト+宮間家訪問
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30cm定規と現実

9月に入っても、まだ暑い日が続いている。だが高校は私立なので、教室の中は冷房が効いていて授業

には支障がない…はずなのだが、その涼しいのが心地良いのか一人の男子生徒は授業中に堂々と気

持ち良さそうに眠っていた。


その男子生徒の名は、稲井秀太郎。どういうわけか彼は授業中いつも寝ている。そして、教師に注意

されないという恐ろしいスキルを持っている不思議な人物なのだ。


隣の席の櫻田はノートを取りつつも、彼の様子が気になってチラっと時々様子を見たりしているが

彼は授業が終わるまで一向に起きることはなかった。


「…んっ?」

「やっと起きたか」


現実世界でこんなことが本当にあって良いのだろうかと、櫻田はとても心配だった。

彼のような居眠り生徒が増えれば、教師を職としている人・そしてこれから教師になろうとしている

若者の未来が大変なことになっていくことに。


「おはよ、櫻田さん」

「おはよう。次移動教室だから、早く準備して」

「あぁ…次、移動か」と目を擦りながら机の中の教科書とノートを取り出し準備をし始める稲井。


他のクラスメイト達は既に移動しており、残っているのは櫻田と稲井の二人のみだった。なので早く

してほしいとイライラしていると、そこへ一人の男子生徒がC組の教室を訪れる。


「あっ、良かった。りゅーちゃん!」

畑本だった。しかも慌てている。理由は一つしかなかったので、櫻田は早速稲井に「何か忘れ物した

みたいだよ」と呟く。


「えっ?あぁ…今度は何を忘れたの?教科書?」

「ううん。違うの。教科書じゃなくて…30cm定規を忘れちゃったの!」

 どうやら美術の授業で使うために忘れないようノートに書いていたらしいが、朝寝坊して机の上に

 忘れてきたということらしい。


「はい。30cm定規」

「ありがとう!助かるよっ!」

「って、どこから出したんだ…?」


とりあえず稲井に30cm定規を借り教室に戻って行く畑本を見送った後、櫻田と稲井は急いで移動

教室へと向かったのであった。



そして放課後。掃除当番を終えた櫻田が教室に戻ると、まだ残っている稲井に声をかけた。

「あれ、どうしたの?まだ帰らないの?」

「あっ、おかえり。櫻田さんを待ってたんだ」

「えっ?…僕を?」


話を聞けば、畑本が30cm定規をまだ返してもらっていないらしくD組に行こうにも一人では行き

づらいということで櫻田が帰ってくるのを待っていたらしい。だが、待っている間に彼が帰っていた

らどうするつもりだったのだろうか?と思ったが、とりあえず櫻田は稲井と共にD組へと向かうこと

にした。


D組の教室へ行くと、東間がいたのですぐさま彼女に声をかけた。

「あぁ、道久君なら補習に行ってるよ。たぶんもうすぐ帰ってくると思う」

「そっか。じゃあ稲井君、D組で待たせてもらいなよ?僕は勉強会に行かなきゃいけないからさ」

「えっ…あぁ」

「東間もいるだろ?」

「もちろんだぜ!」

「だってさ。じゃあ、僕はこれで失礼するよ」

「あぁ、ありがとう。じゃあまた明日」

「うん。また明日」



そして少人数教室に辿り着くと、ある光景が目に入った。


「おいこらっ、結斗。てめぇ、またK大の過去問が入ってんぞ!?」

「良いじゃないか、試しに解いてみろよ。気分転換で」

「気分転換って何だよ?こんなのは気分転換って言わねぇんだよ!」

「文句言わず、さっさと解け」

「無視すんじゃねぇー!!?」


「こんにちは…」

「おう、櫻田」

「地味子、聞いてくれよ。こいつまた俺にK大の過去問を押しつけやがったんだ!お前もなんとか

 言ってやってくれ」

「…そう言われても困るんだけど」

「木崎、櫻田を困らせるな」

「そもそもの原因はお前だろっ!?困らせてねェし!」


S組に入るための勉強会なのに、明らかに宮間はK大を目指しているみたいで…よほど木崎のことが

大好きなのだなと櫻田は実感する。


「3年間なんてあっという間に終わるんだ。それなら過去問の一つや二つしても問題ないだろう?

 それともお前は就職するのか?高卒での就職は困難だぞ?」

「あぁーやめろやめろ!考えたくねぇー!!」


 受験を終えて自由の身になったのに、もう早くから進学か就職かの話になっている。早めに決めてい

 たら苦労せずに進めていける。だが、現実はそう甘くはない。櫻田だけではなく誰もが実感したであ

 ろう。


 やりたいようにやれるのなら、こんなに悩んだりなどしていない。

 そして、辛い思い何てしない…と。

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