表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕のキャラが崩壊します!!  作者: さくら
I・夏休み+勉強合宿
22/75

帰って来た長男

夏合宿が終わった後、櫻田は家の仕事と(夏休みの宿題を含む)勉強に追われていた。

時々東間から遊びの連絡を受けていたが、無視。そうしていると連絡を寄こさずに直接家を訪ねてくる

ようになり、もっとめんどくさいことになってしまう。弟のように可愛がっている茅野瀬が今年受験生と

言うこともあって遠慮しているのだろうが、櫻田の妹も彼と同い年。それは東間もよく知っているはずだ

った。だが、「力よりは頭良いでしょ?」と言われてしまえばもう何も言えなかった。いや…この場合、

他に言い返せる文句が見つからずに、櫻田は黙り込んでしまったと言う方が正しいのかもしれない。


静かにすることを条件に櫻田は東間を自分の部屋に入れることにした。彼女はゲーム機を持参していた

ため、静かにプレイする。それだったら家で一人ゲームしてても良いんじゃないか?と思ったが、

ある意味彼女も寂しがり屋な部分があるのかもしれない。


「櫻田、もうお昼だぞ?昼飯がてら休憩したらどうだ?」

「うん。じゃあ何か作るよ」

「そうめんがいいなぁ~」

贅沢ぜいたくなこというなよ。まぁ、夏だから作っても良いけど」

「本当!?やっりぃー!!」

「真保も部屋で勉強してると思うから呼んでくるよ」

「おう」


櫻田は隣の部屋にいる真保を呼ぶために扉をコンコン!とノックする。

「真保、いる?お昼にしよー」

「はーい!!」


ガチャン

「何作る?」

「東間がそうめん食べたいって言うからそうめんにしよう。暑いし」

「うん。そうだね、そうめんにしよう」


それから三人で下の階に下り、台所でそうめん作りを開始しあっと言う間に冷麺れいめんの出来上

がった。


「うぅ~美味い!」

「おおげさだな」

「でも暑い日に冷たい物食べると良いよね。生き返るよ」

「そうだけどさ…東間のリアクションが」

「お前が低すぎるんだよ」

「はいはい。リアクション・テンション両方とも低いですよーだ」

櫻田は東間に言われて少しムカッときて、子供のように拗ねてしまう。

「あははっ。なんかお姉ちゃんが二人出来たみたい」と二人の会話を聞いていた真保が笑ってそう言う

と「おぉ!?真保ちゃん私の妹になる?」と東間が冗談なのか本気なのか分からないようなことを言い

始めた。

「真保、冗談でもそんなことを言うな。調子に乗るから」

例え友人であっても姉妹になるのは御免だと思っていると、東間がまたしてもとんでもないことを言い

始める。

「じゃあ私が姉で櫻田は妹な」

「はぁ?誰がお前の妹になるって言ったんだ?」

「お前はそもそも姉というより妹ポジションだろ?真保ちゃんの方がしっかりしてるじゃないか」

「生まれるのが早かったってだけのことだろうが。それなら…うちの兄貴達の方もどうかと」

「確かに岬お兄ちゃんはともかく、勇お兄ちゃんはだらしがないよね?」


東間との姉妹妄想から、実の櫻田兄妹の話に切り替わるとさすがの東間も黙り込んでしまう。

別に兄妹の中が悪いと言うわけではない。そんなに歳が離れているわけでもないので会話はなんとか

成立するし、喧嘩してもすぐに仲直り出来る。けれど、やはり兄二人の差は妹の目から見ればかなり

離れているようだ。


「そういえば、夏休みなんだからそろそろ家に帰ってくる頃じゃない?」

「あぁ~でもバイトする~なんてこと言ってなかったか?」

「でも、そろそろお盆も近いし帰ってきても良いんじゃないかな?皆でお母さんのお墓参りとか

 したいし、お父さんもお休みの日に行こうって」

「そうだね…」


ガチャン!

「ただいま~!!」

「あっ、噂をすれば帰って来た」

「あぁー暑かったぁ~」


「「おかえりなさい。岬お兄ちゃん」」

「…柳、真保」


実家に帰ってきて、妹達のお出迎えに岬は感動して二人を同時に抱きしめる。

「ただいま~!!あぁ、もうなかなか休み取れなくてお兄ちゃんマジで死んじゃいそうになっちゃった。

 真保、お前身長少し伸びたんじゃないか?」

「うん。少しだけ伸びたよ」

「そうかそうか、良かったな~。受験勉強頑張ってるか?側にいてやれなくて本当にごめんな。本当なら

 勇が勉強を教えてやれれば良いんだけど、あいつめんどくせぇーって言って全然教える気ゼロだから

 本当に役立たずのクソ兄だよな?」

「そっ、そんなことないよ。勇お兄ちゃんも大学受験とかで忙しいんだよ」

本当は岬に同意したいところだが、真保は勇のことを考えてフォローする。


「真保は優しいな。受験勉強頑張れよ」

「うん。ありがとうお兄ちゃん」

「柳、お前はあまり変わってないように見えるけど…「身長は一cmしか伸びていない」

「そうかそうか。大丈夫だよ、女の子は小さい方が可愛いからな」

「いや。小さすぎるのも良くないだろ?お兄ちゃん見たいに」

「柳、お前はどうしてそんなにネガティブ発言ばっかりするんだ?お兄ちゃんのガラスのハートを壊す

 つもりなのか?」

「ガラスのハート?どこがだ?」

「そんなことより、友達は出来たか?またいじめられてないかお兄ちゃん心配で心配で」

「心配いらない。ちゃんと一人でなんとか生きている、けど」

「けど?」

「何人かとは…親しくしているから大丈夫。あと東間もいるしな」

「おっ、お邪魔してます…」とここで挨拶をするタイミングを逃した東間が恐る恐る岬に挨拶をする。

それを見た岬はふと思い出して顔がパッと明るくなった。

「そっか。美雪ちゃんも同じ学校だったことすっかり忘れてた!?それなら安心だ」

「全員男子ですけどね」

だが東間のこの発言で、彼は一瞬で「安心」が「不安」へと一気に変わってしまう。

「…えっ、男子!??」

受け入れられなかったのか少しの間が空いて、彼はようやく現実を受け止めて驚く。

「東間、余計なことを言うなよ!?」

「いやぁ~だってお兄さん、絶対女友達だって勘違いしてると思ってたからさ」


確かに普通妹の友達となれば、誰でも同性の友達だと思うだろう。しかし、櫻田が親しくしているという

のは木崎、宮間、畑本、稲井の四人で全員男子である。


「柳、男子と親しくしてるってどういうことだ?!ひょっとして脅されてる?脅されてるのか!?」

「いや…脅されて、は…ないよ」

「やっぱり脅されてるのか!?相手はどこの誰だ?教えなさい!!」

「いや。お金とかを取られてるわけじゃないんだよ。勉強を教えてもらってるんだ」

「…柳が勉強?」

「お姉ちゃんこの間夏合宿でその人達と勉強会に行ってきたんだよ」

「夏合宿…そいつらと?」

「東間も含めて四人だけど」

「海とか花火大会とかして楽しかったですよ~」


「…なにもされてないよな?」

「えっ?」

「何もされてないよね!?夏合宿ってことは泊りだったんでしょ?何も…何もされてないよね!??」

「お兄ちゃん、何を言ってるの?」

「ナンパとかいろいろだよ!!?」

ナンパならまだ分かる。だが、「いろいろ」と言う部分に関してここにいる中では恐らく岬でしか知ら

ないことが何件か存在する。だが妹達の純粋な心が汚されることを恐れて…いや、ただ単にこれを妹達

の前で言ったら嫌われるかもしれないと考え、あえてオブラートに包んだ言葉を言ったのである。

「いや、ナンパなんてされるわけ…」


『地味子、外見なんて関係ねぇよ。他の奴らがどう見ようたって関係ねぇ。お前は女なんだから

 ちゃんとそこら辺考えろ。変な奴らに絡まれたりしたらどうするんだ』


ここで、木崎に言われた言葉を思い出し櫻田は最後まで言うのをやめる。


「どうした?」

「…ううん、なんでもない。とにかくナンパはされてないから心配しないで」

「それなら良かった。真保も友達と遊びに行く時は気を付けろよ?二人共可愛いんだから、変な男共に

 狙われたら大変だからな」

「うん」

「もしそんな奴がいたら勇か俺に連絡しろ。そいつ、地獄に送ってやるから」

「「えっ…それはちょっと」」

「大丈夫だって。これは兄として当然のことなんだからさ」


櫻田岬は見ての通りの妹バカ。つまりシスコンであるが、彼も最初からそうだったわけじゃない。

彼がこうなってしまったのは、櫻田が…つまり柳が下の名前のことで同級生からいじめを受けて、

ある日泣きながら家に帰って来たことがすべての始まりだった。もう学校なんかに行きたくないと

言って部屋に閉じこもるという事件が発生したのだ。事件というのはおおげさかもしれない。けれど

櫻田家にとっては…重大な事件だったのだ。だがそれから一週間後には再び学校へ行くようになった。

行きたくないと言ったその当日に母が学校に電話をかけて「うちの子が泣きながら家に帰って来たん

ですけど……同級生だと思うんですけど、お心当たりはありますか?」と担当教師に電話で聞き、兄二

人によって同級生達を説得。だが、暴力沙汰を起こせば容赦はしないとまで当時小学生だった兄達が

脅しをかけることによって、それ以来彼女がいじめを受けることはなくなった。本人は二人の兄から「

こらしめといた」としか言われておらず、そこまで深く彼らから聞きだすことはしなかったが、真実を

告げるにはあまりにも言葉が短すぎる。


岬と勇はこの件を「柳閉じこもり事件」と名付け、それ以来岬はシスコンとなったのである。

勇に関してはシスコンというほどではないが、特に妹絡みのことに関しては絶対に言うことを聞かない

と彼が一人で何をやらかすか分からないので、要請があり次第彼の指示に従っている。だが、勉強を

教えろとか家事手伝いの問題に関してはまた別。


「あぁ~お腹すいちゃった。何か作って~」

「そうめんまだ残ってるよ」

「じゃあそれもらおうかな?」

「分かった」

「じゃあ冷蔵庫からきゅうりとかにかまぼこ出さないと…しまっちゃったし」と櫻田は先に台所へと

 入って行く。


「あぁ~やっぱり我が家っていいなぁ~」

「お兄ちゃん、早く座って座って」

「お兄ちゃん、卵いる?いるなら焼くけど?」

「いる~。柳の卵焼き久し振りに食いたい」

「はいはい。じゃあ今から焼く~」


賑やかな長男が帰って来たことにより、櫻田家の賑やかさは3倍になったのであった。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ