第七話
俺がこの世界に来てから五年が経った。
(向こうの世界では10日ほどだが)
五年の間に俺と天音の失われていた時間が戻っていった様な気がした。
ここには二人しかいないけれどそれでも充実していた。
毎日毎日をゆっくり噛み締めるように過ごしていった。
そんな日常が壊れるとは思いもせずに…
俺が先に起きてベッドの横の椅子に座っていた。
「おはよう、騎士。」
と天音が目をこすりながら言う。
「おはよう。」
これも五年間毎日繰り返されてきたことだ。
天音も俺の向かいの席に座る。
「ねぇ、今日どうする?」
「好きに決めていいよ。」
「どっか外行きたい。」
しばらく考えて
「じゃああのピラミッドでも行くか?」
と言った。
「あんなところってどうするのよ…」
「何ってループについての勉強だろ?」
真顔で返答する。
「そういうことじゃなくて…」
「じゃあどういうことだよ…」
ちょっと呆れた。
「だから…」
「だから?」
決して意地悪しているわけではない。
純粋にわからないのだ。
女の子と付き合ったことなんて一回しかない。
それも半年だけだ。
「じゃあ久しぶりに海にでも行くか?」
必死に考えたがここしか思いつかなかった。
「行く!!」
どうやら当たりのようだ。
「早く行こうよ~」
俺が椅子に座ったままぼーっとしていると天音に催促された。
「やっぱり昼寝にしない?」
「海行ってから。」
譲ってはくれないようだ。
「じゃあ行くか・・・」
眠さを必死にこらえて椅子を立った。
たらたらと15分歩いて俺と天音がloopで最初に会った場所に着いた。
「懐かしいな・・・」
「やっぱり元の世界に戻りたい?」
「戻りたい。」
「どうして?」
「家族にも会いたいし、それに文化祭だってあと一ヶ月だし・・・(ここでは17年ぐらい)」
「私は戻りたくないな・・・」
天音は波の音にかき消されそうなほどの小さな声で呟いた。
「どうして?」
「怖いの、みんなが変わって私のこと覚えていないと思うと・・・」
「・・・」
どうやって励ましていいのかわからなかった。
現に自分も天音のことを忘れていたのだから。
「ごめんね、暗い話になっちゃって・・・」
天音は元の世界で五年に相当するみんなとの共有時間がない。
それに比べて俺はたったの十日だ。
俺にはわからないが計り知れない漠然とした不安が天音にはあるのだろう
天音は元の世界で五年に相当するみんなとの共有時間がない。
それに比べて俺はたったの十日だ。
俺にはわからないが計り知れない漠然とした不安が天音にはあるのだろう
それなのに天音は精一杯笑顔を作っていた。
「こっちこそ・・・」
と言いかけた時不意に地面が暗くなった。
(雲かな?)
上を見上げると何か上から落ちてきた。
「逃げろ!!」
という暇もなく土煙と爆音が辺りを包み込んだ。
なんとか飛ばされる前に天音を抱きかかえるとそのまま吹き飛ばされた。
進行方向に背中を必死に向けた。
すると硬い壁のようなものにぶち当たった。
痛みを感じる暇もなく意識がどんどん遠のいていった。
学生の敵宿題に手間取ってしまいました。
次回、もう一人登場させるつもりです。
次回もお読みいただけると幸いです。
また引き続きコメントお待ちしております。




