コスプレと変態店長
いつもとは違う一夜を過ごして僕の野望は膨れ上がっていた。
昨日のメイド服を着てヤルのは最高に盛り上がっていつも以上に興奮した。
だからこそ、ルカに教えてもらったオーダーメイドで注文の出来る服屋に行って地球にあった衣装を準備する。
というわけで、紹介してもらったお店に行こうと思う。
ダリアはまだ寝ているので起こさないように置き手紙を置いていく。
内容は買い物に行くけど午後には戻りますと言うものだ。
「いらっしゃいませ!」
店に入ると元気なお姉さんの声が聞こえる。
「すいません、オーダーメイドで服を作りたいんですけど」
「かしこまりました、ただいま店長を呼んでまいります」
そう言って店員の女性は一度バックヤードに下がって行った。
「お待たせしました」
それから数分後に小柄な女性が話しかけて来た。
多分この人が店長なんだろう。
「オーダーメイドで注文したいという事ですが、どのような服をご希望でしょうか?」
「そうですね、こんな感じの衣装が作りたくて」
そう言って僕は制服、スーツ、クリスマスコスチューム何かをイメージして描いた紙を渡した。
まさか異世界で自分好みの美少女を描くという趣味が役に立つとは。
そんなガチでは無かったけど僕はイラストレーターを目指そうと思った時期もあった。
実際の進路でも専門の学校に行くか普通の4年生大学に行くかどうかで悩んでいた。
でも、イラストレーターになりたいと自信を持って親には言えなかったし秘密にもしていた。
それにこれ1本で生きていくというのが、どうしても想像出来なかったから普通の大学に進学する事にした。
あとは、絵の上手い一般の学生で居たかったというのはあるかも知れない。
専門学生になったら上手くて当然という評価になるし。
実際に絵の上手かった中学の同級生が美術科のある高校で自分は凡人だと自信を無くしていた。
まぁ、そんな過去の事は異世界で力を手にして冒険者として生きている僕には関係の無いことだけどね。
「見た事ない服ですね」
この世界にはスーツやクリスマスコスチュームは無いみたいだ。
学園はあるだろうから制服自体はありそうだ。でも、もしかして貴族なんかじゃ無いと学校には通えないのかも知れない。
「この服を美少女が着たら萌えませんか?」
「うーん?」
そう言われた店長は目を瞑りながら考え始めた。
そして数分が経過して、気付けば店長の鼻からは赤い液体が垂れ始めた。
「絶対領域! あの太ももに挟まれて死にたい! ハァハァ……」
何を妄想しているのかは知らないが、鼻血を気にする事なく荒い鼻息で興奮する店長。
「どうでしたか?」
「最高です! おっと、これは失礼」
こちらに返答を返した事で正気に戻ったのか店長はハンカチで鼻血を拭いていた。
「いやー、すいません。つい癖で鼻血を出しちゃうんですよねー」
その癖は絶対にアパレルショップの店員には向いて無いだろう。
まぁ、だから自分で店をやっているのかも知れないけど。
「しかし、これは良い服ですね」
「そうですよね」
この変態っぽい店長ならこの服たちの良さが存分に分かるはず。
「ちなみにこのスーツという服は僕の国では仕事着だったんですよ」
「何ですと!」
「そう考えるとよりエロく無いですか?」
「エロい! あの服を着て上司に迫られて断れない美少女!」
仕事着というワードを聞いただけでそこまで想像出来るとは流石は変態だ。
というか、そういうシチュエーションって異世界でも流行っているのか?
そういうビデオがあるわけでも無いのに。娼館でそういうプレイが出来たりするのかな?
「このサンタ服を着た美少女も良いけど、オトコの娘もあり!」
「もしかしてルカの事ですか?」
「そうです、お知り合いなんですか?」
「この店にもルカの紹介で来たんです」
さらっと知り合いで妄想してたのか。でもルカにサンタコスは似合いそう。
どうせならスカートの裾を持ち上げて、挑発的に上目遣いしてほしい。
「分かります!!」
「え、もしかして声に出てた?」
「はい」
「そっか」
「本題に戻して、オーダーメイドという事ですがサイズはどうしますか?」
あ、忘れてた。
そっか本人を連れてきた方が良かったのか。直接コスプレしてもらう服を買いに行くのに抵抗があって呼ばなかったんだけど。
「ごめん、忘れてた。今度本人を連れてくるよ」
「かしこまりました」
今日は服を作って貰うことは無かったけど、意気投合した店長と話しが進み、結局店を出たのは昼過ぎだった。
一旦ホテルに戻ることにする。まだダリアが昼食を取っていないなら一緒に食べたい。
そうして部屋に戻るとダリアの姿は無く、変わりに置き手紙があった。
この女の身柄は預かった。
返してほしくば夜中に一人で森の中まで来い。
やってくれるじゃん……
全員まとめてぶっ殺す!!
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