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異世界で自由に生きたい  作者: 鯖の味噌煮
3章
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回復と報酬



「娘は1年前から徐々に痩せていき、今はこのような状態だ。数ヶ月前からは意志の疎通も難しくなってね」



 見た目は凄くガリガリで意識も無いように見える。

 こうやって目の前で若い女の子がこんな姿になってるのを見ると、いくら僕でも少し思うところはある。



「国内の治癒魔法を使える人間には声をかけたのだが、怪我なんかの肉体的ダメージでは無いからね」



「誰も治せなかったと」



「あぁ」



 公爵は辛そうに答えた。



「だから君も治せなくとも気にする必要はない」



 そして、どこか諦めたように言った。



 きっと今まで色んな人間が試したんだろう。そのことごとくが失敗していった。



 だから僕にもたいして期待していないし、失敗した時に落胆しないようにしている気がする。



「とりあえず試してみます」



「あぁ、お願いするよ」



「では行きます」



 僕は彼女を治療する為にスキル聖女を発動して手に白い光を集める。

 そして、その癒やしの力で彼女の体全体を包み込む。



「おぉ! 神聖な力を感じる」



 公爵も聖女の力を見て目の色が変わった。実際に僕も手応えを感じている。

 ただ、ダリアを治した時と違って時間もかかりそうだし、何か魔力を持って行かれている気がする。



 だいたい5分が経過した頃に治療は完了した。



「お父様?」



「アンジェリカ!」



 目覚めた彼女を見て公爵は近くに駆け寄って行った。



 彼女はミイラのようなガリガリの姿から、線は細いが健康そうな状態に戻った。 

 何より意思疎通が出来るようになった事が回復の証だろう。



 というかこのスキルで治せなかったら治療することは無理な気がする。



 とはいえ、これで一件落着だね。



 公爵の人柄はルカが言ったように良さそうだ。



 つまり僕はお金と恩を売りながらもスキルの実験が出来たし、彼はこの国の誰も治療する事が出来なかった娘を治すことが出来てwin-winだったわけだ。



 聖女というスキルがどこまでの範囲を治療出来るのかは気になっていた。

 今回のお嬢様を治せるなら大抵のものは治療出来るだろう。



「アンジェリカ!」



 そう言って部屋にいきなり飛び込んで来たのは、どこかお嬢様に似て綺麗な顔立ちをした女性だった。



 多分公爵の奥さんなんだろう。



 3人は泣きながら手を取り合って幸せそうな表情をしている。

 助からないかも知れないという不安が大きかった中で治療に成功したらホットするし嬉しいだろうな。



「お嬢様を助けてくれてありがとう!」



 そう言って、感極まった様子のルカにもお礼を言われた。








・・・







 あれからひと段落して落ち着いた公爵から応接室に案内された。

 部屋の内装はうるさく無いくらいに豪華で高級そうなソファーや机などが置いてある。



「君たちには本当に世話になった」



 公爵は開口一番に感謝の言葉を口にして深々と頭を下げた。



「娘さんが無事で本当に良かったです」



「ありがとう、娘が回復したのも君のおかげだ! どんなに感謝しても足りないぐらいだ。心から礼を言うよ」



「いえ、お役に立てて良かったです」



「これが報酬の白金貨100枚だ」



 そう言ってお金が入った袋を机に置いた。流石は白金貨100枚だけあって置いた時にドッシリと音がした。



 これが1億円。

 日本で普通の高校生をやっていた僕には信じられない大金だ。



 日本にいた時だったら1億円で何が出来るんだろう?



 これだけのお金があったら好きな物を迷わずに買えるけど、僕って物欲があまり無いから買っても漫画とかグッズとかかな。

 


 あとのお金は貯金と両親に何かプレゼントを買いたいな。



 と言っても、日本にいた頃の僕には稼ぐ力が無かった。

 でも今は冒険者としても稼げるだろうし、無理に貯蓄に回す必要は無いかな。


 

「それと、君にはこれをプレゼントしよう」



 そう言って公爵から渡されたのは指輪だった。



「これは我が公爵家の紋章が入った指輪で、私たちが後ろ盾になると言う証でもある」



 それは便利だな。



「ありがとうございます」



「その他にも入り用の物はないか? 私の力と権限で出来る事であれば協力させてもらうぞ」



 大盤振る舞いだな。

 でも、現状で特に欲しいのも無いんだよな。

 それにここで欲張ってマイナスのイメージを受けるのは避けたい。



 あぁ、でも1つあった。



「それでは、彼女に会うメイド服が在れば頂いても良いですか?」



「そんなもので良いのか?」



「はい」



「君は欲が無いな」



 今日はダリアとメイド服プレイをすると決めているんだ。



 そうして、メイド服を貰った僕たちは公爵一家とルカに見送られながら屋敷を後にした。



 正直なところああいう場は慣れないし、早く帰ってダリアとあんな事やこんな事がしたかった。



 そして、その日の夜はいつも以上に盛り上がった。

 




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