あったかい話
どうも、しゃーなこと星野紗奈です。
今回は「あったかい話」です!
これを読んで、あたたかい気持ちになってもらえたらいいなぁ、と思います。
タイトルがざっくり過ぎてごめんなさい(笑)
それでは、どうぞ↓
お兄ちゃんは強くて優しい。お兄ちゃんは勇気があってかっこいい。
お兄ちゃんは、僕のヒーローだ。
「ただいま」
「お母さん、ただいまー!」
「翔馬、おかえり。おやつはテーブルの上に置いてあるから、手洗いうがいをしたら食べてもいいわよ」
「わーい!」
「龍馬はまたけがして。いつも何をやっているのよ。私に迷惑をかけないで頂戴ね」
「……うん」
お母さんはいつもお兄ちゃんに怒ってる。僕には、なんでお母さんがお兄ちゃんを怒るのかわからなかった。だって、僕はお兄ちゃんのいいところをいっぱい知ってるから。
月曜日は大雨で、捨て猫の親子に傘を貸してあげたから、ずぶ濡れになって帰ってきた。火曜日は、けがをした友達をおぶって家まで送ってあげたから、服に血が付いた。水曜日は、僕にぬいぐるみを作っているときに、たくさん指をけがした。今日は、落ちていた鳥の巣を木の上に戻そうとしたときに木から落ちた。
そして金曜日は、僕を助けてくれた。
金曜日の放課後、僕とお兄ちゃんは友達と公園でサッカーをしていた。
「こっちこっち」
「マークしろよー」
「パスだ!パス!」
「うぉあっ!」
友達が、ボールを強く蹴りすぎてしまった。ボールは弾みながら転がり、道路のほうへ行った。早く取ってこないと危ないと僕は思った。
「僕取ってくるよ」
「サンキュー」
僕は走ってボールを取りに行った。ボールを持って戻ろうとしたとき、お兄ちゃんの声が聞こえた。
「翔馬、危ない!」
「え」
次の瞬間、僕は強く押され後ろにしりもちをついた。
「痛っ……。お兄ちゃん何するん」
そこまで言って目を開くと、そこにはお兄ちゃんが倒れていた。周りには赤い液体が。
「お兄ちゃん?」
何かがおかしいと思ったのか、友達がこっちに走ってきた。
「龍馬兄ちゃん、どうしたの!?」
「そこのおじさんに早く救急車呼んでもらえ!」
しばらくして、お兄ちゃんは救急車で病院に運ばれた。
お兄ちゃんが車にひかれたとき、僕は何もできなかった。
「龍馬!何してんのよ!」
「ごめんなさい」
「車の前に突然飛び出すなんて、何馬鹿なことしてるのよ!私に迷惑かけないでとあれだけ言ったでしょう」
「ごめんなさい……」
お兄ちゃんはずっと謝っていた。お母さんはずっと怒っていた。でもこれはお兄ちゃんのせいじゃない。僕がボールを取りに行ったときに車が来ていないか確認しなかったのが悪かったんだ。なのに、お兄ちゃんが怒られている。こんなのおかしい。でも、僕には何も言えなかった。いや、怖くて声が出なかった。
「全く、翔馬とは違って物分かりが悪い子ね」
お母さんはそう言うと、病室を出て行った。
お兄ちゃんは救急車で病院に運ばれて、けがをしていることが分かった。でも、いつもとはけがの大きさが違った。血もいっぱい出たし、骨も折れた。
全部、僕のせいなんだ。
「ごめんなさい……」
「翔馬、急にどうしたんだ」
「僕のせいで、お兄ちゃんが」
「翔馬のせいじゃないから大丈夫だ。それに、翔馬はみんなのためにボールを取りに行ってくれたんだろ?」
「そうだけど……」
「お兄ちゃんは、翔馬が優しい子でうれしいよ」
「でも……」
「でも?」
「もうお兄ちゃんと遊べないよ」
お兄ちゃんと遊べないことは、僕にとってすごくつらいことだ。
「ちゃんとけがを治せばまた遊べるさ」
お兄ちゃんはへらへら笑いながら言った。
「でも、もうサッカーできないかもしれない」
「サッカーができなくてもキャッチボールはできるだろう?」
「あと、あと……」
「もういいだろ?これは翔馬のせいじゃないんだから」
「お兄ちゃんは僕のせいでまたお母さんに怒られちゃうんだよ!?」
いつもいつも、お兄ちゃんばっかり怒られてる。お兄ちゃんが良いことを一つするたびに、けがが増えていく。そのせいでお兄ちゃんはまた怒られるんだ。
「俺は、翔馬が怒られなければそれいいんだよ」
そう言って、お兄ちゃんはまた笑った。やっぱり、お兄ちゃんは強い。やっぱり、僕とは違う。
「お兄ちゃんは、やっぱりヒーローだ」
「俺はヒーローなんかじゃないぞ」
「え?」
お兄ちゃんは確かに僕のヒーローなのに。そう思ったとき、お兄ちゃんは言った。
「俺は、たった一人の、翔馬の兄ちゃんだぞ?」
その時のお兄ちゃんの笑顔は、とてもまぶしかった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!




