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七歳で世界を変えた少年〜前世の知識と禁断の魔法理論で、僻地を最強都市に作り替える〜  作者: 霧里 野蒜


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第63話 転生者、王と会う

 父、ブルームバーグ公爵は言った。

 「もし、それが本当の事であれば、確かに、我が所領だけの問題では無くなるかもしれない。しかし、王への面会は至難の業だ」

 「アルス、王への面会は金がかかる。お前に用意出来るのか?ブルームバーグ家では出せんぞ」

 ジョージ兄が割り込んできた。

 「どれくらいでしょうか?」

 「さあな、一万Gくらいかなぁ」

 「それくらいでしたら問題なく出せます」

 「違った、三万Gだった」

 「出せますよ」

 「なら、五万Gだ」

 「出せますよ」

 「違った、十万Gだった」

 「出せますよ」

 「アルス、嘘をつくな、そんな大金、お前が持っている訳ないだろう」

 ジョージ兄が怒り気味に声を荒げた。

 「いえ、ありますけど」

 「何で、お前はそう、嘘をつくんだ」

 ジョージ兄の様子にブルームバーグ公爵が二人の会話を制止した。

 「おい、二人ともやめなさい。アルス、そんな大金を持っていても軽々しく答えるな。上に立つ者ほど、自らの財を軽々しく口にしてはならん。

 分かった。

 王へは取り次ごう。日を改めるから、何処に連絡すれば良い?」

 「では、フェルプス商会へお願いします」

 「分かった。ところで、アルス、お前が作った村は何と申す?」

 「はい、アルスブルクという村です」

 「アルスブルク?はて、どこかで聞いたような気がするが...」

 考え込む父に、セバスさんがすかさず助言した。

 「旦那様、今、王都で噂になっている伝説の村の名前でございます」

 「おう、そうであった。となると、ますます王に相談せねばなるまい」

 父が何かが分かった様に言った。

 「すると、フェルプス商会が売り出している魔道具は?」

 「はい、僕の村の生産品です。それに、エルザランドで提供している料理も僕の村の生産品になります。フェルプス商会は縁がありまして、村を作った時からの付き合いになり、村の生産品を販売してもらっています」

 「なるほど。そういう繋がりだったのか。アルス、それは誰かに話したのか?」

 「まだ、ここに居る人とフェルプス商会の人達だけです」

 「そうか、それも良かった。アルス、確かに今の状況はお前ひとりでは解決できない。私の力をしても無理かもしれない。下手したら、その価値の高さに村ごと没収される可能性もある」

 「父上、七歳のアルスの村ですよ。大した価値なんか無いでしょう」

 「ジョージ、謙虚になれ!

 アルスを七歳と馬鹿にして色眼鏡でみるととんでもないことになるぞ。

 フェルプス商会など、数か月前までは王都の誰も知らなかった。しかし、今はどうだ。王都で、十本の指に入る大商会だ。

 何があったか、分かるか?フェルプス商会は、灯りの魔道具を販売している。我が家にもある物だ。凄く使い勝手が良く便利な物だ。

 そう、誰しもに思わせる魔道具だ。それを販売して急成長をしている。我が工房で提供している水の魔道具の何十倍も売れている。

 そして、もう一つ手掛けている、エルザの店の食堂事業だ。この食堂に違和感を覚えなかったか?」

 「いえ、別に。王都にある高級で料理が評判の店ですね」

 「ジョージ、料理はともかく、これだけのゆったりした食事の空間を作れるのは何だと思う?私の見立てでは、この店には大きな調理場がない。調理場がないのに料理は温かかった。不思議だと思わなかったか?」

 「確かに、不思議ですね」

 「そうだとも、その不思議を作っているのがアルスであり、アルスの村だ。その不思議を販売しているフェルプス商会の利益は莫大だと思われる。その莫大な利益の一部がアルスの村にはある。だからこそ、ジョージが口にした十万G程度では動じなかったのだろう。

 お前ならどうする?」

 「それが、本当なら、大きくならないうちに自分の物にしてしまいますね」

 「そういうことだ。今が、アルスの村アルスブルクは一番危険な状態と言う訳だ。誰が狙って支配してもうま味がある。だから、下手に王家に話せば、王家の糧になるのだ」

 「そうであれば、我が家の庇護を宣言すれば良いではないですか?」

 「アルスだけだったら、それでも良い。何せ、家を出たからと言って、息子だ。

 しかし、亡国のフジャイラの王女と結婚している。庇護は反乱ともとられかねない。だから、難しい」

 「アルスが本当のことを言っていればですけど、私は信用できません」

 「ジョージ、アルスを色眼鏡で見るなと言っただろう。では、どうして、王都でなかなか入れない、フェルプス商会のエルザランドで食事ができるのだ?」

 「それは...」

 とジョージが口ごもった。

 「それに、水の魔道具工房を修復し、お前を王都に呼ぶことを提案したのはアルスだ。そんなアルスが何故、他の魔道具を作れないのだ。それに今の水の魔道具は以前のものより、魔石の魔力の使用量が改善されているようだ。

 お前にそれが分かったか?

 お前も努力しなければ、ブルームバーグ公爵家はお前の代でなくなるかもしれないぞ。心しておけ」

 父からの叱責にジョージは顔を伏せた。そして、上目使いで僕を睨んだ。

 「アルス、話は聞いた。上手く行かぬかもしれぬ。それほど難しい話だ。その時は許せ。その時は、お前はその地を去るしかない。何故なら、お前だけでなく、王女の命も危うくなる。いずれにしろ、こちらからフェルプス商会に連絡する」

 その言葉で本日の会合は終わり、父と兄は去った。残された僕達は顔を見合わせる。

 カミーラ王女が言った。

 「アルス、ならば、村そのものを空へ逃がせばよいではないか?そうすれば誰にも文句を言われまい」

 「さすがに、それはできないと思いますよ」

 僕が答えると、王女は続けた。

 「そうでなければ村人を捨てることになる。其方は、すがって来た村人を突き放すことはできまい。何故、諦める?」

 「それはそうですが、現実的に難しい...」

 「できるはずだ。其方にはできる。

 考えてくれ。

 村人の為にも、私の為にも」

 カミーラ王女は僕にすがるような目を向けていた。

 「時間をください。今できる方法を考えます」

 僕が言うと、カミーラ王女が優しく言った。

 「それでこそ、私の夫だ。フジャイラの王だ」

 

 僕達はマギビスタ王との面会を待つ為に、それからまた、数日、王都で過ごした。王女は平民の恰好をして、クロードさんとカルロスさんをお供に王都の街を調査の名目で観光していた。僕は一人、部屋にこもり、空飛ぶ村の構想をしていた。

 村を浮かすのは風の力なのだろう、しかし、村と言う巨大な土の塊を風の力だけで浮かすことが可能か、土の塊を浮かす実験を繰り返した。

 風で浮かすと土の塊はどうしてもくずれてしまった。浮かす前にくずれないように水魔法を使ってみたが、土は泥となって崩れ、浮き上がるどころではなかった。

 その発想から何日も抜け出せないでいた。

 行き詰まっていたある日、僕は発想そのものを変えてみた。村を動かすのではない。人を動かせばいいのだ。

 すると、なんとなく、解決方法が分かった気がした。

 大きな移動の魔道具を造れば良いのである。それで、安全で安住の地が見つかるまで何処までも旅をすれば良いのである。

 宿題が終わったかのように清々しい気分になり、明日は、カミーラ王女とともに観光するかと思っていたら、ブルームバーグ家から呼び出しがあった。

 今度は、ブルームバーグ家へ来いという事だった。


 翌日、ブルームバーグ家からの馬車が来て、セバスさんが僕とカミーラ王女を乗せて行った。そして、広間に通された。

 案内された席に座ると、その向かいには、ブルームバーグ公爵である父と兄、そして、もう一人、知らない男が座っていた。

 僕達が座り、前を向くやいなや、その男は僕をじっと見た。

 「初めて会うな、アルス」

 男は静かに口を開いた。

 「私はマギビスタ国王ウィリアム二世――お前の叔父だ」

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