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七歳で世界を変えた少年〜前世の知識と禁断の魔法理論で、僻地を最強都市に作り替える〜  作者: 霧里 野蒜


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第45話 転生者、イベントを考える

 結婚式を開催することにした。

 期日をファビオさんと暁の光が王都から帰って来た日の翌日に決めた。

 結婚する人として選ばれたのは、騒動を起こしたフジャイラの男とその元になった吃音の女だった。当初は双方とも反発していたが、何度か話し合いの場を設けるうちに、意外にも互いを理解し始め、最終的に二人は自ら結婚を選んだ。

 さらに、新居をフジャイラの民の住居とトーリが連れて来た住民の集合住宅の間に作り、双方から監視できるようにした。それにより、双方の勢力の均衡と調和が保てると考えたからだ。

 そして、結婚式の最大のイベントが両陣営のおける綱引き大会である。

 綱引き大会に出場する三名の中には、女性を一人入れる事を条件としている。フジャイラの民側にはスコッテイ王女が参加する。綱引きの勝者チームには、カミーラ王女から優勝トロフィー、メダルが授与される。副賞は賞金を優勝者全員に50PT、唐揚げ食べ放題券、ロールケーキ食べ放題券とした。

 賞品をアレオス騎士団長とトーリさんには告げ、ルールを説明した。綱の中央に布切れを結び、それをお互いの陣地まで引き込んだ方が勝ちとなる。

 「なるほど、誰もが見てて分かるし、相手の体に触ることもできず、不正がしにくい。面白いですね。ただ、我々は騎士団から選出しても良いでしょうか?」

 騎士団長が言うと、僕が答えた。

 「はい、一人だけですよ」

 「そうですか?それであれば私が出ましょう」

 騎士団長が言った。それを聞いて、トーリさんが驚いたように僕の方を向いた。

 「それであれば、私も出ましょう」

 ライバル心むき出しであった。僕がさらに言った。

 「ここを会場にしますので、練習は自由に行ってください。怪我や手の皮がすりむけたらいつでも言ってください。

 治療します。

 あー、肝心なことを言い忘れていました。

 魔法は禁止です。魔法を使った時点で反則負けとなります。あくまで、力と力で正々堂々と戦ってください」

 「分かりました」

 と、声が重なった。二人は一瞬、火花が散るがごとくにらみ合い、そして分かれて言った。


 僕は会場の準備を始めた。

 村の真ん中にある池の傍の広場に礼拝堂を作り、その先に綱引きの競技場を作った。当日には何か、それ以外のイベントを用意しようと思ったが、その時は何も思い浮かばなかった。


 結婚式の日を心待ちにしているうちに、王都へ向かっていたファビオさんたちが帰って来た。暁の光の面々に加え、移動の魔道具を操る騎士団の御者二人も一緒だった。


 ファビオさんが僕のいる魔道具開発工房にやって来た。僕は火の魔道具を改良して今度は暖房の魔道具を作っていた。僕の中のアルスの記憶だと冬は雪が降ることがあり、かなり寒い日があった。この対策として、火魔法に風魔法を加えて、部屋全体を暖める魔道具を作り、テストを繰り返していた。そこに、ファビオさんが帰村の挨拶に来たのだ。

 「アルス様、王都から帰ってきました。おや、今は何を作られているのですか?」

 ファビオさんは明るい声で話しかけて来た。

 「暖房の魔道具です。冬になれば厳しい寒さが訪れます。薪が無くても部屋を暖めることができるものです」

 ファビオさんは一瞬押し黙った。その表情を見て、僕は何を考えているのか察した。おそらく販売のことだろう。先回りした。

 「この魔道具が完成したら、ファビオさんに販売していただくことを考えています。ところで、灯りの魔道具の王都での販売状況はどうでした?」

 僕が聞くと、その言葉にファビオさんが自身を取り戻し、ニコニコしながら答えた。

 「順調そのものです。言い方が大袈裟になるかもしれませんが、一万個の灯りの魔道具は飛ぶように売れました。父や妹からはまた、すぐにでも欲しいというので、また、でき次第、王都に行くことになりそうです。

 今回の販売でのアルス様の取り分は二万Gとなります。以前の利益と合算して、二万六千Gですが、千Gを使ってご要望のあった布類を王都で買い求め、この異次元収納に収納して持ち帰りました。お渡しします」

 「ありがとうございます」

 僕は無限収納の闇の魔道具を受け取った。

 「私が預かっているアルス様の所持金は残り二万五千Gとなります」

 ファビオさんは続けた。

 「アルス様の作られた移動の魔道具も素晴らしいですね。最初は速さに戸惑いましたが慣れれば快適でした。強行軍なら一日で王都まで到達できそうでしたが、今回は途中の街まで行けたので、野宿せずに済みましたよ。

 それに、朝早くこの村を出て夕方に王都に着けるようになったら、もう辺境と言われないかもしれませんね。

 私の移動の魔道具を見て、父もぜひ欲しいと言っていました。しかし、まだ、これは一台しかなく、今のところ私しか乗れないのだと断っておきました」

 話しぶりからフェルプスさんに自慢げに話し、父を越えたと思わせたかったのかもしれない。今回の移動は魔道具を使うと本当に楽だったようだ。

 良かった。

 「さらに、こちらで持って行った料理ですが、父も妹も大絶賛でした。妹などは感激のあまり涙を流しながら食べていました。本当に美味しくて、気に入ってもらえたようです。

 私がこの料理を使った食堂の話をしますと、父がすぐ興味を持ち、早速、食堂を確保し、開店準備中です。料理さえあれば成功間違いないということで、妹に任せ、彼女の成果とするようです」

 それに関して僕は提案をした。

 「それなら、この村に調理工場を作りましょう。そこで作った料理を一日で王都に運び、食堂で提供する仕組みも一緒に作りましょう。商会で御者をする人を見つけてもらえれば、魔道具の運転できるよう指導しますので、商会だけで運営ができると思いますよ」

 「願ってもないことです。それであれば、妹のエルザの差配で色々工夫ができそうです。父も妹も喜ぶと思います。私は、アルス様のその暖房の魔道具でまた儲けさせていただきます。よろしくお願いします」

 ファビオさんはさらにニコニコになった。そして、次の結婚式と綱引き大会の話題となった。

 「えー、それは面白そうですね。どちらが勝つか賭けの対象にしてはどうです? 村も盛り上がると思いますよ」

 ファビオさんの提案に僕はなるほどと思った。公式な賭けを運営するのはまともなことかもしれない。カミーラさんと話し合う必要がある。

 「ファビオさん、良い提案ですね。考えてみます」

 「それが良いと思いますよ。どうせ、村民の間ではそれに近い事が行われるようになると思いますから」

 「そうですよね」

 「ところで、あまり良い話ではないのですが……」

 ファビオさんの表情から笑みが消えた。

 「実は、ブルームバーグ家の工房で、水の魔道具の生産が止まっているようなのです」

 「え?」

 僕は思わず聞き返した。

 水の魔道具は、あの工房の看板商品だったはずだ。

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