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七歳で世界を変えた少年〜前世の知識と禁断の魔法理論で、僻地を最強都市に作り替える〜  作者: 霧里 野蒜


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第42話 転生者、混乱する

 夕食会を開いた。メンバーは、僕、カミーラ王女、スコッテイ王女、クロードさん、反対側には、ファビオさんと暁の光のメンバーであった。

 食卓には新しい料理で埋まっていた。ジャガイモを薄く切って揚げたチップス、少し、厚めにきって揚げたフライドポテト、次は鶏肉に小麦粉をまぶして揚げたフライドチキン、猪肉に小麦粉をまぶして揚げたカツフライ。トマトをペースト状に塗り、茹でたトウモロコシの粒をのせてこんがり焼いたコーンピザ。

 それにトマトソースを塩と胡椒で味付けしたスパゲッテイ、カリッと焼いたバゲットタイプのパンと柔らかいパン。

 これまでに僕が前世の知識で考えた新メニューで埋まっていた。


 食事を開始し、食べながら、ファビオさんが王都の話をし始めた。

 「王都での灯りの魔道具ですが、王都で大評判になっています。なにせ、明るく安全で、色んな場所で使える。王都の夜の生活を変えるものですからね。

 今回、我がフェルプス商会は元売りとして、シンジケートを使って販売を開始しました。前回、持って行った魔道具は瞬く間になりました。収益ですが、1Gが材料費で、5Gの卸価格で一つ売るごとに4Gの利益があり、その利益を商会と折半すると、アルス様に6000Gの利益をお渡しできます」

 ファビオさんの小鼻が膨らんでいた。僕は答えた。

 「ファビオさん、ありがとうございました。多分、ファビオさんのお話だと破格の利益だと推測しますが、正直に言いまして、その金額がどれだけの価値を持つか僕は分かりません。ただ、考えますと、住と食の改善が進んでいますが、衣服とか寝具とか衣料の改善ができておりません。衣服でなく、布や生地などの衣服の材料を買い付けたいのですが、よろしいでしょうか?また、灯りの魔道具を作る人が確保できると思いますので、魔道具の販売量を増やして頂けないでしょうか?」

 「どちらも問題ございません。それでも、お渡しする利益は余ると思いますが、いかがしましょうか?」

 「そうですね。それ以外に考えてもいないのですが、ワインとかエールとかウィスキーとかの酒造業を興すことも考えています。その事業を教えてくれる人を探してもらえませんか?

 要望ついでに言うと、今、移動の魔道具を考えているのですが、それを使って、王都の移動を行う実験をしてもらえませんか?」

 「了解いたしました。そちらも両方とも問題ありません」

 僕は王都のブルームバーグ家の様子を聞いた。

 「ところで、ブルームバーグの家で何か変わったことはありますか?」

 「うーん、貴族の事は私達では分かりません。ただ、一時期あった御家の噂が急になくなったのです」

 「不思議ですね」

 「本当に不思議です」

 「ただ、水の魔道具の性能が落ちたので、保証期間内の魔法陣の書き換えをお願いしたら断られたとか、以前販売した物のメンテナンスを行ってもらえ無くなったと悪評は出ている様です。貴族が運営している工房なので庶民は泣き寝入りと聞きました。良い製品だけど残念な事です」

 「そうですか、まだ工房があるのなら上手くやっていそうで安心しました」

 「いっその事、水の魔道具も作りますか?この村にある物を使いましたが、便利ですね」

 「いや、それはやめましょう。貴族に目をつけられると商会にも迷惑がかかります」

 「そうですか?まだ、かなりの売り上げが見込めるのに、本当に残念です」

 ファビオさんが本当に残念そうに顔をしかめた。もしかしたら、次の商品として、水の魔道具を考えていたのかもしれない。


 その時、クロエさんが言った。

 「おい、アルス。ここの料理はなんで王都にないんだ?」

 「それは僕が考えたからです」

 「ふーん、王都でも食べられたら嬉しいのにな」

 クロエさんは話しながらも、咀嚼していた。

 「こんな美味しい料理が食べられるのであれば王都に戻る事はない。ここにいて、村民になっても良い気がする」

 皆が黙々と食べていたが、その表情には満足そうな笑みが時々現れていた。さらにクロエさんが言った。

 「そうだ、アルス。この料理を王都でも食べられるようにするのだ。ファビオ、良い考えだろう」

 リオンさんがクロエさんを窘めた。

 「おい、ファビオさんには丁寧な言葉を使え」

 ”えっ、僕には良いってことか?”

 「そうだ、そうですよ。ここで作った料理を異次元収納で大量に王都に運べば、それだけで王都一の繁盛店になる。どうですか?アルス様、それも考えませんか?そのレストランは厨房がなく、異次元収納から料理を出すだけです。ですので、テーブルと椅子を用意すれば良い。ゆくゆくはこの村で作ったお酒を出せば、さらに利益が出る。我が商会は魔道具だけでなく、レストランを経営することになる。それに、高いお金をかけて料理人ギルドから人を雇わなくて済む。

 良いアイデアだ。

 アルス様、父と妹に相談しますので、早速、この料理を明日にでも一通りつくってもらえませんか?

 クロエさん、良い考えでした。採用させてもらいます」

 ファビオさんは急に食事に向き直り、

 「美味い、美味い」

 と、言って食事を食べ始めた。そして、呟いた。

 「言われれば、王族でも食べられない珍しい料理を堪能できる幸せは確かに、何ものにも代えることができませんね」

 そう言うファビオさんに僕は余計なことを付け加えた。

 「レストランにするとお店の整備で時間がかかりそうですね。それは、おいおいやるとして、まず、広場で屋台を並べそれぞれの食べ物を販売したらどうですか?一番安く誰でもできます。注文とったり、テーブルまで持っていったりすることもなくなりますよね」

 食事を中断し、ファビオさんが僕の方を向いて目を見開いた。

 「アルス様、まずそれをやらしてもらいます。王都に無い食べ物を紹介するにはいい方法です。それに、売れる食べ物は専門の料理店も考えられますしね。

 おー、考えきれない。この村は商売の種があり過ぎる。

 参った。どれだけ儲けろと言うのだ。

 あー、早速、父と相談します。我がフェルプス商会がこの国一の商会になるのが早くなりますね。

 あー、明日になるのが待ち遠しい。早く、王都に帰らなければ。

 アルドさん、暁の光は、明日、私と一緒に王都に戻るようにして下さい」

 ファビオさんに何か変なスイッチが入ってしまった。


 「えー、もう帰るのか?私はまだ色んな物を食べていない。もう少し、ゆっくりしたい」

 クロエさんが即座に反応すると、アルマさんがコクコクと頷いていた。しかし、アルドさんがリーダーらしく言った。

 「クロエ、リオン、アルマ。暁の光はファビオ殿の護衛が仕事だ。ファビオ殿に従う。明日、出発の準備してくれ」

 「...」

 「おい、返事が無いぞ」

 アルドさんが怒って言った。いつもは話し出すクロエさんでなく、リオンさんが返した。

 「アルド、我々は、今日この村に帰ってきたばかりだ。疲れてもいる。契約主の命令は絶対だという事も分かっている。しかし、疲労を抱えたままの護衛は失敗する可能性もある。ここはチームとしてファビオ殿と交渉してもらうのもリーダーの役割ではないか?あと一日ゆっくりできれば我々も回復する」

 急に緊張した雰囲気になったこのリオンさんの発言にファビオさんが反応した。

 「あー、私の都合で申し訳ありません。私は王都からの帰り道にゆっくり睡眠をとりましたが、護衛の方々は夜の寝ずの番がありましたね。確かに休養は必要です。明日は休みとして明後日の出発にしましょう。

 と言う訳でアルドさん、申し訳ないのですが、予定変更させて下さい」

 「いえ、こちらこそ、申し訳ありません」

 と、ファビオさん、アルドさんが共に頭を下げた。

 

 「ファビオさん、明日、移動の魔道具のテストをします。それと、クロードさんに料理を作ってもらう時間も必要です。やはり、明日は村での時間が必要です。ゆっくり、僕たちに付き合ってください」

 僕がファビオさんに言うと、ファビオさんも笑顔で答えた。

 「アルス様、申し訳ありません。儲け話に舞い上がって、自分を忘れてしまいました。これは、父が言う、焦って掴む人は儲けが少ないという言葉の通りです。もう少し、一晩寝て、考えを整理してみます」

 「そうですね。その方が良いと思います」

 と、僕が答えると安堵の空気が流れた。

 その時、クロエさんが言った。

 「アルス、ファビオ殿は村民だが、我々は村民ではない。明日から食事はどうなるのだ」

 「そうですね。前世の知識では我が村に貢献した人を名誉村民として称えました。暁の光を名誉村民として迎え入れます。カミーラ、良いでしょう?」

 カミーラ王女に聞くと、答えた。

 「構わん。では、いくぞ。アイディー」

 ファビオさんと暁の光に魔法がかかった。

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