表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
七歳で世界を変えた少年〜前世の知識と禁断の魔法理論で、僻地を最強都市に作り替える〜  作者: 霧里 野蒜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
31/55

第31話 転生者、リザードマンの谷へ

 僕は翌日からある魔道具の開発を始めた。

 一つは、リザードマンの谷まで人を運ぶ車のような魔道具。

 二つ目は、リザードマンを動けなくする冷却の魔道具。

 三つ目は、リザードマンの目を攪乱する目くらましの魔道具。

 最後の一つは、まだ、誰にも言えない秘密兵器である。これを使うことになれば、作戦は苦戦している可能性がある。できれば使いたくない魔道具である。


 車のような人を運べる魔道具は、以前から構想していた。

 木で車輪を作り、車輪自体にモーターのような小型の風の魔道具を付けて、風の力で動くものを考えたが、しかし、車輪の向きを変える操舵機構が難しかった。この世界の技術というより、子供の僕の技術が追い付かず、早くも挫折した。

 次のアイデアは、魔法の世界である利点をいかした魔法の絨毯だ。

 こちらは考え方はシンプルである。絨毯では人を乗せて宙を移動するのは無理そうで、人を乗せるだけの木の箱を用意して、風の魔法陣で宙に上がり、風魔法で空中に見えない坂道を作り、その上を滑るように移動する方式を考えた。風の道の終端に風魔法を放ち、この木の箱を受け止めるようにして止まる仕組みだ。原始的だが、意外に簡単に上手くいった。

 自分でやることが多いが、仕組みがシンプルな分、成功する確率が高く、故障や失敗する確率は低くなった。カミーラ王女から魔素を取り込む仕組み(回路)を追加して、動作時間を長くした。

 次に、冷却の魔道具。これは知識にある人工降雪機を作ることで実現しようと思った。魔法では氷が作れたので、その魔法を魔法陣化した。これはすぐに上手くいったが、少ししか作れなかった。魔法陣に今迄以上の高出力の回路を追加して対応した。

 次の目くらましの魔道具は、闇の魔法陣から吐き出される墨を溶かしたような黒い霧を浴びせ、相手の視界を奪うのだ。この黒い雲を弓の形をした風の魔道具で飛ばす。相手に当たった黒い雲は一分程度浴びた者の視界を遮断する。


 僕はカミーラ王女に騎士団を集めてもらい、カミーラ王女に助けを求めるフジャイラの民の救出をすると話し出した。この救出計画は王女には事前に話し、理解を得ていた。

 騎士団長は何も言わず、静かに聴いていた。団員は興奮して騒ぎ出した。その騒ぎを団長が一喝した。それでも、ざわざわは消えなかった。生きたフジャイラの民に会えるというのが嬉しいのだろう。それも救出しに行くのだ。騎士団としての力の見せどころとなる。興奮しない訳にはいかない。

 しかし、僕がリザードマンの谷に向かうというと皆静かになった。

 騎士団長も僕を睨んだ。やはり、何も知らぬ王(?)の無謀な計画は阻止する必要があると考え始めたようだ。僕は王女の顔を見て、彼女が頷くのを確認し、話した。

 「今回は、騎士団は二つに分けます。リザードマンの谷に行くのは、僕と王女、騎士団長と団長が選んだ四人の団員で、残りの団員はここでこの村を守ることになります」 

 「えーっ」

 と、団員から声が上がった。その反応は、行くことに対してか、行かないことに対してかは分からなかった。団長がすかさず言った。

 「アルス殿、いや、王よ、貴方はリザードマンの強さをご存じか?」

 「いや、知りません」

 僕がそう答えると、さげすむような声が騎士団から上がった。その声が静まると、団長が話した。

 「リザードマンは強い。団員を死の地へ伴うことは忍びない。私一人を連れて行って下さらないですか?」

 団長は覚悟を決めたように言った。

 「いや、リザードマンが強いのはカミーラに聞いて分かっています。そのために、作戦があります。聞いてもらえませんか?」

 僕は作戦を話し出した。

 

 僕の作戦を説明した。

 「まず、移動の魔道具で谷の近くまで移動します。

 そこで塹壕を掘り、夜を待ちます。

 夜になったら、雪の魔道具で谷を雪で埋めます。

 リザードマンは寒さに弱い。

 動きが鈍ったところへ闇の魔道具を使い、視界を奪います。

 その隙に、囚われた民を救出し、移動の魔道具で脱出します」

 さらに、続けた。

 「救出する民は30人程度と聞きます。ですので、移動の魔道具の人数制限を考えると戦える団員は多く乗れません。危険ですが、王女は連れて行きます。囚われているフジャイラの民と話せる唯一の人だからです。彼女がいないと作戦自体が味方にも伝わりません。良いでしょうか?」

 「うむ」

 騎士団長は考え込んだ。作戦の危険性を考えているのだ。そして、話始めた。

 「なるほど、リザードマンは雪の季節になると里や村を襲わないと言います。雪で彼らの動きを封じ込めるということは分りました。そして、彼らの視界を塞ぐ魔道具も分かりました。でも、彼らも知恵が無い訳ではない。戦う者も出てくるでしょう。その時はどうしますか?」

 「その時は、あまり使いたくないのですが、これを使います」

 僕は秘密兵器をだした。


 最後の秘密兵器は高温の魔道具であり、一瞬で数千度の熱源に変わる。上手く敵にあたれば一瞬で燃やし尽くし、最悪、追っての道を塞ぐことができる。

 「この魔道具は強力な熱を出し、当たったものを焼き尽くすのです」

 僕は、その魔道具を広場の真ん中に投げた。突然、大きな火柱が上がった。すると、どこからクロードさんの絶叫が聞こえてきた。

 「火柱が上がった。敵が来ました。坊ちゃん、敵の襲撃です」


 それから、騎士団は視界を塞ぐ魔道具の訓練をした。カミーラ王女は囚われている妹と連絡した。僕はクロードさんに高温の魔道具の事で怒られ、リザードマンの谷に行くと言って、僕がいなくなったら生きていけないと泣かれ、ついて行くと言って駄々をこねられた。王女が説得し、渋々、クロードさんは留守番となった。


 カミーラ王女の案内により僕等は移動の魔道具で三つの山脈を越え、リザードマンの谷に近づいた。その谷の台地真ん中を川で分けられており、それぞれが住む地域が違うらしい。上級リザードマンは川を挟んで右側に住んでおり、左側が一般リザードマンが住んでいて、そちらにフジャイラの囚われた民は奴隷として住んでいる。

 気づかれないように下流から近づき、左側の岸で住居がかすかに見える場所に三か所塹壕を掘り、夜になるまで待機した。

 谷の訪れが早い夜を待って、雪の魔道具を動かし始めた。僕はその雪を風魔法で谷の上流側に飛ばしていった。一時間程度の稼働で、谷は雪で埋まった。それを待って、僕等は行動を開始した。

 移動の魔道具で静かに近づき、所々にいる歩哨を闇の魔道具で混乱させた。見えなくなって闇雲に動き回るリザードマンを僕が土魔法で落とし穴に落として、行動不能にしていった。

 王女の通信により、奴隷たちのいる建物を特定した。見張りがいないことを確認し、壁から離れてもらい、僕がその壁に土魔法で穴を開けた。

 薄暗がりの中に人の姿があった。

 「助けに来ました」

 その声に人が次々と出てきた。小さな僕を見て、一人の女の子が驚いていた。しかし、王女を見つけ、走って行った。彼女が妹のスコッテイのようだ。

 残りの人は見ると、幸い、重い鎖でつながれている人はいなかったが、怪我人と病人はいた。団員に手伝ってもらい、皆、移動の魔道具に乗り込むことが出来た。

 ”順調だ。良かった”

 と、思ったら、

 ”ヒュッ”という風を切り裂く音がして、僕の近くの騎士団員の足に矢が刺さっていた。

 振り返ると、雪の向こうに、弓を構えた影が見えた。

 さらに、矢の音がした。

 僕はその影に向かって風のブレードを飛ばすと、弓の攻撃が止んだ。

 僕が急いで移動の魔道具に乗り込もうとした時、川の向こうから、地面を揺らすような足音が響いた。

 次の瞬間、巨大な影が雪を跳ね飛ばしながら現れた。

 ”どーん”

 という地響きとともに鎧を着たトカゲの化け物が口を開けていた。牙に絡みつくような長い舌が薄暗がりでも赤いのが分かった。

 ”やはり、戦うのか”

 僕は心を決めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ