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七歳で世界を変えた少年〜前世の知識と禁断の魔法理論で、僻地を最強都市に作り替える〜  作者: 霧里 野蒜


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第22話 転生者、火の魔道具を完成させる

 僕は家に戻り、部屋に籠った。

 火の魔道具を製品として完成し、それを売ることで村の収益とし、村で必要なものを購入したいと思ったのだ。

 今使っている火の魔道具は、鍋を置くためと火の燃焼効果を上げるため、馬の蹄鉄を重ね、それを3方向に置いて、空気が入り込めるような使用法だ。

 そのため、使うための準備が必要で、また、蹄鉄を重ねると鍋の重みでずれることもあり、使う人の火傷の危険が増してくる。これを解消しないと、まだ、完成とは言えない。

 これをある方法で解消する。

 この解決のヒントはあった。カミーラ王女のネックレスである。彼女のネックレスは聖魔法と風魔法が組み合わさって、聖魔法の力を風魔法で広げて、彼女の周りの毒のような危険物を無効化する効果をだしていた。それから、魔法を組み合わせると便利な魔道具が作れるのではと考えていたのだ。


 僕は家の机に魔道具の材料を異次元収納から取り出して並べた。しかし、作業をするには、窓を開けても薄暗く、十分な灯りが採れなかった。これでは、暗くて魔法陣の線が上手く引けない。学院の博士のあの光あふれる部屋が懐かしい。

 この暗さでは作業ができないため、火の魔道具で机を明るくした。明るいが、やはり、火の熱が顔に直接あたり熱い。これに耐えながら作業をした。しかし、熱すぎて集中力が続かなかった。

 この状態を解消するために、僕は火の魔道具の改良をする前に、灯りの魔道具を作るのが先決だと思った。

 灯りの魔道具としてイメージしたのは、ランタンだ。

 ガラスの製造は難しいと判断し、土魔法でランタン型の四角形を作り、それにスリットを入れ、火の灯りの熱を直接浴びないようにする。

 いつもの魔法陣に土の星を加え、その横に火の星を加えて、テストした。結果は、ランタン型の土の四角形もでき、火も出来るが、それが個別に出来るだけで、ランタンの中に火が入らなかった。中心核に魔力の注入を止めて、テストを中止した。

 考えた。

 そして、気づいた。

 魔法の順番かもしれない。

 そこで、並列に描いていた魔法星を、土魔法、その外側に火魔法の星を描いた。そして、テストした。魔力を流すと、今度は上手く、土のランタンの中に火が入った。明るいが火の熱が直接来ないので、熱くない。

 成功だ——そう思い、注入を止めてテストを中止した。

 上手くいったと余韻に浸っていたが、あることに気づいた。土が残っているのである。失敗したものも含めて、かなりの量の土が、魔法陣を描いた円盤に残っている。

 そういう物だと思えば気にならないが、やはり、作業する度に土で机が汚れるのは気になる。

 また、考えた。そして、思いついたのがシャボン玉である。シャボン玉みたいに水の膜を作る、その中に火を入れる。シャボン玉膜は薄いので弾けても水浸しにならない。それに火の熱で水蒸気に変わるし、逆に火の勢いが強くなった場合は、安全装置として水で消してしまうことができる。良い事だらけだ。

 考えた内容は素晴らしかったと思うが、やるのは難しすぎた。水でランタンの形が維持できないのだ。それを何度か繰り返したので、魔道具のブロンズ盤も机も土まみれから今度は水浸しになった。

 できないのかもしれない。水浸しになった机を見て考えた。シャボン玉は良いアイデアだと思っていたら、次のアイデアが浮かんだ。


 気づいた。

 そうだ——シャボン玉は球体だ。

 風を循環させて風の玉を作る。そこへ薄い水の膜を張る。まるで、空中に浮かぶシャボン玉だ。その中に、火魔法で火を灯せばいいのだ。


 僕は、魔法陣を描いた。

 中心核を書いて、その外側に風の星を描き、その外側に水の星を描き、さらにその外に火の星を描いた。そして、それが安定するように、外周円も描いた。

 僕は中心核に右手の人差し指から魔力を出すと、僕の指の上に丸い水の球体ができ、その中で炎が揺らめく、灯りが点灯した。そして、僕が魔力を止めると、火とともに水の球体も空中で弾けて無くなった。

 机も濡れておらず、魔道具だけが残っていた。

 成功だ。

 僕は思わず、小さく拳を握った。

 

 それから、僕は使い勝手をよくするために、細かな追加をした。

 一つは、浮かんだ球体が作業しやすい高さで止まるよう、位置を制御できるスライドバーを用意した。

 二つ目は、水の膜を三段階で薄い、普通、厚いを作り、光の明るさを高、中、低と選択できるようにした。

 三つ目は、異常に熱くなった場合に自動的に水量を増やして火を消す、安全回路を加えたのだ。

 それにより、この灯りの魔道具は必要なところを明るくし、熱くもなく、安全なものになった。今は魔石を置いて、実際使ってみているが、すごく快適だ。これで、火の魔道具の改善が出来る。


 僕はそれから火の魔道具の改善をし始め、灯りの魔道具で採用した方法で、まず、土魔法で鍋を支える足を作り、火魔法が発動するように変えた。これで五徳のような、鍋を乗せるものを一緒に持ち歩く必要が無くなる。ただ、土魔法で作った土のゴミは残る。 

 灯りの魔道具は風魔法と水魔法を加えたが、鍋を温める火の魔道具に、火の勢いを強くしたり、最悪消してしまう可能性のある風魔法や水魔法を使えば、必ず、性能低下を起こす。その点、土のゴミはできても土魔法を使う方が効率も良いし、安全でもある。

 売ってもらうはずのファビオさんに相談してみよう。


 僕は、ファビオさんを呼んできた。一緒に、フェルプスさんとエルザさんもついてきた。商売に関しては商会の人に聞くのが良いし、話も早い。そう思って、三人に、今回の火の魔道具の改良点を報告する。

 そして、販売するのに、問題ないかを判断して欲しいと言った。

 ファビオさんは機能としては便利だが、毎回、土が残るのは掃除が大変だということで難色を受けた。エルザさんは掃除は大変だが、土魔法を加えた今の形で販売した方が良いと言ってくれた。最後のフェルプスさんは、火の魔道具そのものより、蹄鉄の代わりに専用の鍋置きを作った方が良く、火の魔道具は改善しなくても良いのではという話をされた。

 あまり評判が良くない。

 少し、がっかりしていると、ファビオさんが灯りの魔道具を指差して言った。

 「アルス様、この明るくて丸いモノはなんですか?」

 「これは、灯りの魔道具です。部屋が暗くて作業ができないので、作ってみました。火の魔道具の改造もこれがあるからできたのです」

 「そうですか?便利そうですね」

 「えー、便利に使えると思いますよ。このスライドバーを触れば、高さを変えられます。こうです」

 僕がスライドバーを触って、灯りを部屋の天井近くまで上げる。

 「部屋全体が明るくなりますよね。明るさも変えられるのです。今が中程度の灯りなので、これで一番明るい灯りになり、ここを触ると、一番暗い灯りになります。眠る時にはこれくらいが良いと思います」

 「凄い」

 ファビオさんが黙ってしまった。それでも僕は話し続けた。

 「それに中は明るさの元は火ですが、これを水で覆っているので、例えば、木でできた天井にぶつかっても自動的に消えます」

 「その灯りの魔道具は消すとどうなりますか?」

 ファビオさんの代わりに、フェルプスさんが質問した。

 「通常は薄い水の膜なので、火に炙られて空中に消えてしまいます。やってみましょうか?」

 僕は、中心核から魔石を取り除いた。灯りが消え、部屋が薄暗くなった。

 「ほら、暗くなりましたよね。これじゃ、作業ができないので作ったのです。また、暗いので灯りを点けますよ」

 僕は中心核にまた、魔石を置いた。天井付近で灯りが輝き始めた。

 「アルス様、間違ってます」

 フェルプスさんが言った。

 「順番です」

 「何の順番ですか?」

 「魔道具を販売する順番です。最初に販売すべきは、その灯りの魔道具です。火の魔道具はそれからでも構いません。その灯りの魔道具をフェルプス商会に扱わせて下さい。絶対、損はさせません。そして、フェルプス商会は全面的にアルス様をサポートします。必要な材料を教えて下さい。明日にでも調達をかけ、早い段階でこちらに持ち込みます。ファビオ、どうした、しっかりしろ。この村にいるお前の肩にフェルプス商会の未来がかかっているのだぞ」

 「すいません、失礼しました。どれくらいの利益でるか?思わず計算しておりました。アルス様、この灯りの魔道具は世の中の常識を変えてしまいます。それ位の製品です。父も申しました通り、絶対、売れます。そして、私は売って、売って、売りまくります」

 と、絶叫した。

 エルザさんが言った。

 「アルス様、その灯りの色は変えられないのですか?」

 「それも変えられますよ。火の温度を変えると色が変わるのです。見ててください。こんな感じです」

 僕は赤い色からオレンジ、黄色、白、青に灯りの色を変えた。

 「素敵」

 エルザさんに褒められた。僕は鼻高々だった。

 その横でフェルプスさんはまた、口をあんぐり開けたままだった。

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