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七歳で世界を変えた少年〜前世の知識と禁断の魔法理論で、僻地を最強都市に作り替える〜  作者: 霧里 野蒜


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第18話 転生者、村を追い出される

 カミーラ王女は結局、アルドさんが背負って、村まで帰った。

 村長に言われた。

 「その少女は?」

 僕が答えた。

 「盗賊団の首領です。洞窟にいたので連れてきました」

 村長が言った。

 「連れて来てどうするのです」

 「この村で一緒に暮らし、盗賊団を盗賊でなく、この村を守る軍団にします」

 「そんな事できますか?盗賊ですよ。死罪です。魔の山に捨て、魔物の餌にすべきです」

 「でも、彼らには止むにやまれぬ事情があったようです。許してもらう訳にはなりませんか?」

 「無理です。彼らは我々の村の生活を壊し、恐怖を与え続けました。気持ちで許せても、彼らの顔を見たり、声を聞いた時点でその恐怖が湧き上がるでしょう。到底許せるものではありません。殺すべきです」

 「そうですか?村では決して許してもらえないということですね。もし、僕の部下にすると言ったらどうなりますか?」

 「当然、アルス様も盗賊団の一味になりますから、この村から出て行ってもらいます」

 「そうですか?」

 僕は考え、クロードさんが言った。

 「坊ちゃん、だから言ったではありませんか?」

 それを聞いていた、カミーラ王女が小さな声で言った。

 「私達を殺すのか?」

 クロードさんは続けた。

 「捨て猫を拾うとはこういうことです。だから、皆、安易に情けをかけないのです」

 僕は決断した。

 「村を出よう」


 村長は誓約書を用意し、二度と村に入らないことを誓わせた。僕は迷わずサインをして、村を出た。

 クロードさんが言った。

 「坊ちゃん、どうしますか?」

 「うん、考えがある」

 僕は何も考えていないのに、強がりを言った。カミーラ王女はアルドさんが背負っていた。その背中でカミーラ王女が言った。

 「美味しい物はいつ食べれる?」

 クロエが言った。

 「村じゃないから、食べれない」

 カミーラ王女が言った。

 「じゃ、村へ戻ろう」

 クロエが言った。

 「バカだなぁ。戻ったら、お前が美味しく魔物に食べられることになる」

 「うげぇー、私は美味しくないよ」

 王女なのに、変な声を出した。

 「とりあえず、カミーラ王女たちがいた洞窟に戻ろう」

 僕は、穴に落ちた盗賊団改めフジャイラ国騎士団を率いて、以前のアジトに戻ることにした。


 僕はアジトの前に着くと、穴に落ちて負傷した騎士団員を聖魔法で治していった。

 また、手刀で眠っていた見張りを起こした。

 全員を前に、僕は言った。

 「貴方たちがフジャイラ国の騎士団であると、カミーラ王女から聞きました。盗賊団にまで成り下がるとは呆れて物も言えません。貴方たちに騎士団の誇りはないのでしょうか?それで、王女を守れるのですか?」

 幼い子供に説教されているのに神妙に聞いていた。

 馬で先頭だった大柄な騎士団長が言った。

 「負傷した仲間の治療、お礼を申す。我らにも事情があったのだ。我らは国を追われ、食うや食わずで逃げて来た。王女をお守りする中、お腹を空かした王女にお腹一杯になってもらう食料と王女の生活の世話に人が必要だったのだ」

 「だからと言って、村から強制的にそれを取り上げたら、この国の法律で罰せられても仕方ない事です。今回はたまたま許されましたが、今度、そう言う事を行えば、貴方方がお守りしている王女までこの国の法で裁かれ、もしかしたら、金額返済の為、奴隷として売られてしまうかもしれません」

 僕が言うと、騎士団長は答えた。

 「我らが誇るのは武力しかない。活かすには傭兵になるしかないが、この国ではその伝手もなく、盗賊をするしかなかったのだ。勿論、部下には罪はなく、すべての罪は責任者である私が負うつもりだ。しかるべき所に行く必要があれば、私の命を差し出す。連れていけ」

 「いえ、団長。貴方を責めているのではないのです。ただ、貴方の判断で、王女含めて部下を幸福にしたり、不幸にも出来たりするのです。ですので、軽々しい判断は止めてください、お願いします」

 僕が言うと、騎士団長は素直にうなずき、答えた。

 「分かった」

 「それで、幸い、僕は食料と少しばかりのお金があります。僕も村を追い出されたばかりです。そこで、あなた方を雇いたいと思いますが、いかがでしょうか?」

 「それは考えさせてください」

 と、騎士団長が言うと、クロードさんが返した。

 「そこは、喜んでやりますと言うところですよ」

 その言葉に、騎士団長は目を白黒させた。


 僕とクロードさんで洞窟の前に机を置き、冒険者たちに手伝ってもらい、昼食とした。僕の約束通り、雇われればご飯が食べられると分かって、僕への騎士団の信頼度も上がった。カミーラ王女も良く食べ、

 「これが美味しいものか?本当に美味しいな」

 と言いながら、肉を食べ、パンを摘まみ、リンゴを齧り、水を飲んだ。その様子を見て、クロエさんがカミーラ王女に言った。

 「口に付いているよ」

 「おおっ」

 カミーラは肉汁のついた口元を袖口で拭いた。

 「あなたは本当に王女なの?女性の慎みは教えられていないの?」

 その言葉に反応したリオンさんが言った。

 「お前に言われるとは、王女が本当に可哀そうだ」


 僕は住む所と作物を作る畑を確保するために、この洞窟の前に大きな広場を作ろうと思った。

 風魔法で風のブレードを作り、洞窟の前の木々を次々と切り倒した。

 「なっ……」

 騎士団員たちが目を見開いた。

 僕が風魔法を使った瞬間、騎士団でも苦労する木の伐採が簡単に行われていった。

 「こんな精密な風魔法を……子供が?」

 騎士団員たちがざわめいた。

 「倒れた木を回収しますので、手伝ってもらっていいですか?」

 僕は騎士団員に声をかけた。驚きのまま動かなかった彼らは僕の言葉で動き出した。倒れた木々を騎士団員に手伝ってもらい、闇の魔道具の異次元収納に保管して行き、やがて、切り株だけが残り、辺境の村の居住区ほどの広場ができた。


 それから、昨日もやった、土魔法で三枚の壁を作り、残り一枚を入口側として半分の高さにし、上が開いた四角い仕切りを作り、入口を布で塞いだ。これを、僕たち用、騎士団用に五つ、それより小さいのをカミーラ王女用に一つ作った。

 その家々の前には、皆で使う集会所兼食堂を作り、その横に、村で作ったレンガの竈を異次元収納から取り出して設置した。

 もう騎士団は僕の動きに驚かなくなっていた。


 クロードさんは、アルマさんとクロエさんを交えて、小麦粉を練り、パンを焼き始めた。王女もパン焼き作業を興味深げに眺めていた。その香ばしい匂いが辺りに広がり、自然と王女含めてフジャイラ国の人々の厳しい顔つきが綻んでいった。

 アルドさんとリオンさんは辺りの調査を兼ねて狩りに出かけた。僕と騎士団は、木を切った切り株の掘り起こしを行っていた。


 僕が土魔法を使い、切り株の周辺の土地を緩くし、騎士団で木の根を切り、掘り起こした。騎士団員は力自慢が多く、順調に作業が進んでいった。

 僕は、異次元収納の魔道具に切り株を回収し、切り開いた土地が分かるように回収した切り株を置いて行き、簡単な柵を作って行った。最後に土魔法をかけて整地をすると、100メートル四方の開けた土地ができた。

 しかし、考えた。何かが足りない——この広い土地を見ながら、そう思った。

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