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七歳で世界を変えた少年〜前世の知識と禁断の魔法理論で、僻地を最強都市に作り替える〜  作者: 霧里 野蒜


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第17話 転生者、盗賊団のアジトで出会う

 「おじさん、道に迷ったんだ」

 僕は見張りの男に声をかけた。

 「この先の村に行こうと思って馬車で眠っていたら、皆いなくなっていた。森を歩き回ってたらここにたどり着いたんだ。村への行先を教えてくれない?」

 男は気さくそうに笑った。

 「うん、その村な、今、俺たちの親方が行ってるから、少し待てば戻ってくる。また村へ行くはずだから、その時に連れて行ってもらいな」

 よし。

 食いついた。

 男は僕を値踏みするように見ながら聞いてくる。

 「ところで、お前の家族は何をする為にあの村に行ったんだ?」

 「よくは知らないけど、お父さんの商売で行くと言っていた」

 「へー、商人か?」

 もう一方の見張りが寄ってきて話しかける。

 「王都では有名な商会をやっている」

 僕がそう答えると、二人の目の色が変わった。

 「へぇ……そりゃ金持ちなんだろ?」

 「まあ、それなりには」

 すると最初の男がニヤつきながら聞いてきた。

 「で、なんであの村なんかに行ったんだ?」

 「王都の公爵の息子が住むことになって、その荷物を持って行ったんだよ」

 「おー、そうか、良い事をきいたぜ」

 見張り二人が目配せする。片方が言いながら、手招きする。

 「おい、坊主、疲れただろう。こっちへ来て休みな」

 僕が近づいた瞬間だった。

 ガシッ。

 男が僕の両腕を掴む。

 「あんまり、人を信用するのも良くないよ。悪い人も一杯いるからね。俺たちは悪い人なの。分かる?」

 見張りが言い、顔を見合わせて笑う。僕は彼等に言う。

 「オジサンたち、悪い人だと最初から分かっていたよ」

 「なんだよ、小僧。強がりなんか言って」

 と、見張りの一人が言うと、

 ”ドゴッ”

 彼等の背後に回っていたアルドさんとリオンさんが、一瞬で手刀を首筋へ叩き込む。

 見張りたちは声も上げずに崩れ落ちた。

 そして、力の無くなった彼等を茂みに引きずって村人に渡し、紐で縛りその辺りに転がす。とりあえず、見張りの制圧が上手くいった。

 次に、僕はアジトの中に向かって叫ぶ。

 「見張りのオジサンどうしたの?何でこんなとこに寝ているの?」

 「起きてよ、起きてよ、おきて!」

 僕が続けざまに叫ぶと、穴の中から音がして、男が出て来た。

 「どうした、小僧。あいつらは何処に行ったんだ?」

 「あっちで何かあったって言って行ったんだけど、急に倒れたんだ」

 僕は茂みを指差す。その男が茂みの方を見た時、アルドさんが背後に周り、首筋に手刀をあてる。男が倒れた。これで見張りは全員片付いた。

 

 洞窟は薄暗かったが、目が慣れると、所々の灯りと岩の切れ目からの光が見えてきた。大きなテーブルがあり、飲み物と食べ物が散乱していた。目を凝らすと、かなり大きな広場のようになっており、奥の方に陽の光が漏れていた。奥の方に人が居るようだった。十数名の女が鎖で繋がれていた。また、その横には扉があり、南京錠がかかっていた。

 村人が後から乱入してきて、家族の無事を祝う抱擁が始まった。良かった。それを横目でみながら、僕たちは横の扉をあけるために、鍵を弄ったが開く気配がなかった。仕方ないので、僕が魔法を使うことにした。以前、ゴブリンロードに使った風魔法だ。風の魔力の回転により円周上に真空を起こし、切り裂くブレードを作った。それを南京錠のU字型の金属部分にぶつけた。

 ”ギーンン”

 と、言う音が続いて、やがて鍵が落ちた。僕たちは、盗賊が隠しているはずの宝物を期待して扉を開けた。明るい光が漏れた。何か、人が動く気配があった。


 「誰じゃ」

 声が聞こえた。声の方を見ると少女がいた。僕は予想もしていなかったことに言葉を忘れた。

 「誰かって聞かれても、あんたが誰なのか分からないんだから答えようがないよ」

 クロエさんがいきなり答える。そうだ、その通りだ。

 「人が住む部屋にいきなり侵入する礼儀を知らぬ者に、問いただすのは道理かと思うが、教養無き者に道理を問うても埒が開かないと母が言っていた。無礼は許そう。私はカミーラ。フジャイラ国の王女じゃ」

 「フジャイラ国?王女?そんな国知らないし、あなた、頭おかしくない?」

 クロエさんがあけすけな質問で返すと、その女が言う。

 「失礼な物言いが治らない、その方は何者じゃ、名を名乗るのが礼儀だろう」

 「名はクロエ。マギビスタ王国の冒険者で弓使いをやっている。この頼りなさそうな坊ちゃんをそこの村に送って来た。あんたはなんでここに居るんだ?」

 「私は悪辣な反逆者に国を追われ、騎士団長に守られこの地にフジャイラ国再興のために移り住んだ。そのあたりに、騎士団長がいただろう、細かい事情はあの男が知っている」

 「騎士団長?いた?」

 クロエさんが僕たちを見回す。僕が言う。

 「もしかしたら、落とし穴に閉じ込めた盗賊団の団長のことですかね?見張りにいた人達は団長と言えるほどの貫禄はなかったですし」

 「そうかもな」

 クロエさんが簡単に言う。

 「そうか、あなた達は食うに困って、村を襲った盗賊だったんだ」

 カミーラと名乗る少女が言う。

 「盗賊?馬鹿なことを言うな。団長は借りているだけだと言っていた」

 クロエさんは容赦ない。

 「まぁ、借りると言う名の武力で相手の許可を得ない方法。強奪だ。あなた方は、自分達がされたことを、見知らぬ人にやっているのだ」

 「しかし、我々が生きるためには必要なことだ」

 カミーラが言う。クロエさんは止まらない。

 「必要なことかもしれないが、やってはいけないことがある。お前たちはこの国で罰を受けるのだ」

 リオンさんがそのクロエさんの毒舌を止める。

 「おい、クロエ。その割には今朝、アルマの分のリンゴを皿からとって食べていただろう。アルマが泣きそうになっていただろう。それはいいのか?お前が言える立場か?」

 「私の妹だから、アルマは良いのだ」

 「アルマはアルドの妹だ。無理やり、妹にするな」

 

 僕は言う。

 「カミーラ様、あなたがフジャイラ国の王女であることを示すモノを何かお持ちですか?」

 「少年、お前はちゃんとした言葉遣いができるのだな。我が国民であれば皆私の顔を覚えているのだが、よかろう、私が王女である証拠を見せよう。これが母から渡されたネックレスだ」

 カミーラは胸元に下げていた翡翠のネックレスを見せる。美しい緑色だった。僕はそれから強い魔力を感じた。その魔力は今迄感じたことのない魔力だった。僕は、アーネスト博士の研究室から持ってきた眼鏡をかけて、再び、ネックレスを見た。その不思議なネックレスからは聖魔法と風魔法が同時に発動していた。そして、彼女の周りを常に聖魔法で守っていた。

 凄い。

 その秘密が知りたい。僕は彼女に問いかける。

 「カミーラ様、貴方が王女であることは分りました。しかし、ここでは話がしづらいので村まで行きませんか?多分、騎士団長もそこにいると思います」

 「どうして、行く必要があるのだ?」

 カミーラさんが言うと、また、クロエさんが言う。

 「ここが暗くて汚ないからだ」

 皆がまた顔を見合わせる。僕が続ける。

 「それより、ここに長くいては体にもよくありません。村にはきっと美味しい物があります」

 「坊ちゃん、そういう事を言うと後で困りますよ」

 クロードさんが注意する。しかし、その言葉に王女が反応する。

 「では行くとするが、私は長く歩けない。誰が背負うのだ?」

 「えっ」

 どこからともなく声がでる。そして、クロードさんが言う。

 「坊ちゃん、だから捨て猫に甘い言葉をかけてはいけないのです」

 見回すと、僕以外の人が困った顔をしていた。

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