↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「ハーモーニーサウンド」 中盤脱落のクソボンボンだけど ロボットには乗りたいので知識チートします。  作者: sirosugi
アフタースペース297コーダ リンガット14歳 アビス訪問編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
87/96

77 アフタースペース297コーダ  やる気満々満々、準備万端で現地へ向かいます。

旅のはじまりはな話。

 アビスは、ビックツリーからコロニーを二つ挟んだ場所にあるため、わりと、いやかなり遠し遠い。しかもそこにあるのは外交と補給用の基地コロニーだけで、本隊は外宇宙を飛び回る研究船団で、宇宙の場所を問わず飛び回っている。そのため、必ずしもそこにいるわけではない。未知なる世界を開拓する船団は文字通り神出鬼没であり、原作でもコロニー戦争には参加しない中立戦力となっていた。

 まあ、彼らがもたらした宇宙の不思議物質や謎技術が、主人公たちの兵器の強化につながったりはしていたので、無視できる存在ではなかったけどね。あれだ、博士や電子精霊と同じ物語の整合性を取るためにとんでも存在というやつだ。


「深淵の旅団と縁を持てるなんて、流石は坊ちゃんですよねー。」

「そうだよね。それも向こうからの招待となれば、これまで頑張ってきたというもんだよ。」


 そして、彼らは徹底した合理主義者だ。原作のビックツリーのような特別な産物の無いコロニーや、クソボンボンなリンガットがアビスと縁を持つなんてことはなかった。それこそ、縁を持てるのはホープやビックオーシャンのような大物コロニーの関係者ぐらいで、ビックツリーの関係者としては俺が史上初かもしれない。それが、特産の林業ではなく次期領主の趣味の産物であっても大変名誉なことなのだ。

 そりゃあ、アーテムの艦橋でアルさんとそんな話にもなる。けして、原作の謎技術を手に入れられるからはしゃいでいるわけではないのだ。


「あの連中は、船も練度も段違いですからね。それに外宇宙の開拓なんてロマンの塊だ。船乗りの中にはアビスに所属するのが生涯の目標だってやつがいますよ。」

「へー、アルさんもそうだったり?」

「ははは、坊ちゃんのところより刺激的なら考えてもいいかもしれませんね。」


 これは意外な評価だった。ざっと資料を見た限りではアビスの船団は性能はいいが、航続距離と安定性を重視したものばかりで居住性はあまり高くない。それこそSF映画にでてくる鉄板で囲まれた無骨な舟で生活感のかけらもない。なにより外宇宙での探索は命綱なしの危険なものだ。過去には艦隊ごと行方不明になったなんて話もある。安定志向な俺としては憧れるけど、参加は拒否したいってなる。


「そうか、なら退屈させないように頑張らないとね、」

「ま、待ってください。坊ちゃんがそういうと冗談に聞こえないんですけど。」


 冗談に冗談を返す。こんな気楽な関係もアーテムの乗員たちにとってはいつものことだ。規則にうるさいライスさんですら、少し眉を顰めるだけで何も言ってこない。


「3級警報、観測班が未登録の船舶を複数確認、レーンの縁で不自然な挙動をとっているそうです。」

「「「宙賊だな。」」」


 突然入った警報に対して、その場にいたほぼ全員がそう判断して、居住まいを正した。アルさんは俺に目線だけ断りを入れて、全艦通信をいれる。


「当直のラーベにスクランブル。他の連中も待機させろ。念のためコルノは前面に移動、索敵をして奇襲に備えろ。」

「「了解。」」


 即断即決で指示をだすアルさんの目に迷いはなかった。通常、この段階の情報では警戒しつつ様子を見るのが定石だ。そして情報の確度が上がり、敵対勢力であると判断できてからスクランブルをかける。その時間差はわずか数分。お互いの距離が離れる宇宙では誤差のような時間。


『こちら観測班、ハウンド1。このエンブレムはハイフィッシュの残党だ。』

「まだ残ってたんだ。」

「殲滅する。いつもどおり足止めは任せたぞ。」

『別に俺達だけでも充分だけどな。』


 だがそういったわずかな判断の早さが、アーテムの強さでもある。アルさんの経験とESPによる予測は、多くのコロニーを荒し、その追撃から悠々と逃げていたサメですらからめとったらしい。


「これは大戦果だね。」

「まだ、油断はできません。坊ちゃんは座ってくださいね。くれぐれも自分もなんて。」

「言わないよ、そんなわけだから、ハウンドチームは相手の逃げ足をきっちりつぶしてね。」

『了解でさー、やりすぎて、背骨をへし折っても怒らないでくださいよ。』


 まったくもって頼りになる人達だ。高い金を払って雇った甲斐があるというものだ。


「まったく、坊ちゃんと一緒だと、退屈しませんな。」

「えっなにそれ、失礼な。まるで人を疫病神みたいに。」

「いやいや、船に乗るたびに宙賊と遭遇するなんて、坊ちゃんぐらいですからね。」

「まじ?」


 そんな軽口を叩いている間に、ハウンドチームはいつものように敵を奇襲して、囲い込み、後続部隊連携してあっさりと倒していく。数隻の船、それも加速もしていない状態なら、例えサメであっても大した脅威にはならないな。


『こちらラーベ1。敵勢力の無力化を確認。回収作業に移ります。』

『ハウンド1、了解。周辺はしっかり見張っておくからゆっくりでいいぞ。』


 発見から30分、接敵からは数分とかからず入った通信に、俺を含め乗員たちの空気はやや緩む。


「艦内の連中は、まだ気を緩めるな。いくら何でも軽すぎる。」


 そこにアルさんの一喝がはいる。えっどういうこと?


「あからさまに目立つ上に動きも遅い。いくら残党とはいえハイフィッシュがそんな馬鹿なことをするとは思えません。あれは、ミキサーを引き寄せる罠。本命は。」


 俺に説明するために声にだして考えを口にするアルさん、それを証明するように、今度はシステムが激しい警告をだした。


『警告、レーダーに高速接近する物体あり、詳細は不明。』

「そらきた、シャープチームをを後方に射出。トリルチームは艦隊直衛にはいれ。」


 なるほど、囮とはそういうことか。あからさまに敵ですという船で襲撃して相手の注意を引き、その隙をついて別動隊が奇襲を仕掛ける。艦隊戦の教本でそんな戦術を見た気がする。囮にする舟は捨て駒か自動運転にすれば、すぐに判別できない。優秀な艦長はそれを雰囲気で見抜くらしいが、俺にはさっぱりだった。アーテムの性能とパイロットの練度で先手を取れたものだと思って気を抜いていた。


「まあ、これも経験です。それに今回はこっちも派手に動いてましたから。敵も手が尽きたと思ったんでしょうね。」


 少しだけ落ち込んだ俺に、アルさんは笑ってそう言った。確かに今回の旅は大所帯だ。

 引き連れているのはアーテム型の戦艦が2隻。ミキサーチームはハウンドやシャープを含めて4チーム、予備機も含めると20機のミキサーを持ってきている。パイロットの練度も加味して、打撃力だけならコロニー所属の艦隊にも匹敵する。ほかにもヨハン博士を筆頭に研究所の精鋭メンバーと、研究用のモジュールユニットも搭載している。

 アルさんが艦長だから即応からの速攻ができている。が、彼でなくてもこれだけの戦力があるなら、そこらの宙賊など相手にならないだろう。


「備えあればなんとやらだねー。」


 ほどなくして、奇襲の成功を確信していた宙賊もあっさりと撃退され、そのスクラップは回収された。相手の運が悪いのか、目が悪いのか。最新鋭の戦艦2隻相手に喧嘩を売るなんて無謀なことをよくしたものだと、俺は場違いな感心をしてしまった。


リンガット「動かせるものはほとんど持ってきた。」

アル   「どこと戦争する気なんです?」

乗員   「また、宇宙の化物と遭遇したりしないですよね?」


 色んな意味で信頼が厚いリンガット様でした。


補足

コルノ・・・アーテム型2番艦 最近造られたミキサー運用の船

ラーベチーム・・・アーテムに所属するミキサーチーム 詳細は後日

トリルチーム・・・アーテムに所属するミキサーチーム 詳細は後日

サメ・・・ハイフィッシュの別名。由来はドイツ語の「サメ」その行為の残虐さからそういう蔑称があります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。