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「ハーモーニーサウンド」 中盤脱落のクソボンボンだけど ロボットには乗りたいので知識チートします。  作者: sirosugi
アフタースペース297 リンガット14歳

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71 アフタースペース297 僕は悪い事をしていません。とは言えなかった。

事件の後片付けな話?

 リンガット様襲撃事件。それは更なる大事件への序章に過ぎなかった。


 なんてことはなく、事故現場の後片付けはハーメルさんに任せて俺はすぐに仕事に戻った。事故直後に下手人への最低限の聞き取りはしたが、詳しい調査は専門機関に任せるつもりだ。

 だってそうだろう。次期領主の襲撃、公務執行妨害および公共の設備の不正利用。器物破損に殺害未遂。と、罪状や関係者をあげだしたらきりがない。これを一つ一つ調べて、関係者を洗い出すなんて時間や人手がいくらあっても足りない。少なくとも、俺個人がしょい込む仕事ではない。司法機関の人達に頑張ってもらおう。

 今回の事件の後始末で俺がしたことと言えば、当日の護衛担当だった子たちに再研修を命じたことぐらいだろう。システムに頼らず、己の5感でも安全確認をする習慣とスキルを身に着けてもらいたい。

 するべきことは、事実の究明ではなく再犯防止だ。下手人をほどぼどに締め上げつつ、似たようなことが起きたとき、今度は事前に防げる体制を作るほうが健全だと思う。


「甘いと思う?」

「いえ、適切かと。」

「正直、クビにされていたら、人員の再配置が大変でした。」


 ハーメルさんもコルテオ君も反対はしなかった。むしろ穏便な対応にホッとしている様子であった。

 そんなわけで、関係各所が必死になって事件の筋書きを究明し、俺が納得する報告書を作り上げるのを待つという状況が数日続いた。その間は陳情書なども自粛されていたので、非情に穏やかに仕事にできた。

 まあ、待っていたのは、どうしようもない茶番だったわけだけど。

 

「リンガット様、アナタを善管注意義務違反および暴行罪で、訴えさせていただきます。」

「頭湧いてるの?」


 数名の取り巻きと共に現れたイムール憲兵長は、いきなりそう宣言した。

 善管注意義務というのは、委任された業務に対して社会通念上または客観的に求められる注意を払う義務のことをいう。つまり、任された仕事をちゃんとしなさいよってやつだ。まあ、これは分かる。

 だが、そこに暴行罪も加わるとなると、こんな顔にもなる。(真顔)


「そもそも、イムール憲兵長に捜査を依頼した覚えはないんだけど?」

「今回の襲撃事件は、取り締まるべき立場であるリンガット様が多くの違反行為を見逃し続けた結果です。この責任をとっていただきたい。」

「ふーん。」


 こちらが呆れているのは承知の上なのだろう。俺の冷めた視線にひるむことなくイムールは説明を開始した。


「まずは、移動ユニットの管理及び監視システム。こちらの担当者と関連する人間は4年前の事件から代わっていません。プログラムとマニュアルこそ更新されていますが、管理者がログの書き換えや割り込むことが出来る仕組みもそのままだった。」

「そうだね。緊急時に即応させるためにも専門知識のある彼らは外せなかった。」

「そうですね、ですが、そんな彼らは以前から金銭を受け取って監視システムに空白を作っていたそうです。主に目的は。」

「密輸や密売かな?」

「はい。」


 これは珍しいことじゃない。商人や著名人がちょっと後ろ暗い商談や秘密の会合なんてことをしたときに、管理者に賄賂を送って監視映像や移動のログを誤魔化すなんてことは良くある話だ。もともと、監視システムは万が一の事故や事件に即応するためのものであり、個人の移動ログはプライバシー扱いになる。ドライブレコーダーのようなものだろうか。自分の身の潔白を示すために任意でログを提出することはあっても、提出を拒否すること自体は違法ではない。まあ誤魔化すと、証拠偽造あるいは偽計業務妨害とかには問われるかもしれない。だが、事件にならなければ、記録を消すこと自体は罪に問われるものではない。


「移動ユニットの暴走について問い詰めたところ、犯人グループから金銭を受け取り、あの時間帯、あの場所での監視装置を一時的に止めていたと白状しました。」

「ああ、やってしまったか。」


 いつものように、安請け合いをして空白を作ったら予想外の大惨事になってしまったと。これは職務怠慢であり、善管注意義務違反だ。金銭を受け取っているなら贈収賄罪も加算されるな。

 そんな人間を管理者として置いておいた俺にも任命責任が生じてしまうわけか。


「また、襲撃使われたドローンですが、こちらはスラム街で違法製造されたジャンク品と特定できました。」

「あの残骸から良く特定できたね。」

「ええ、苦労しました。ですが残骸及び監視映像からシリアルナンバーが確認でき、問い合わせたところ。」

「違法品だったと。」

「はい、公式ショップで販売されたものではなく、盗難品や廃棄品のパーツを組み合わせたものと推測されます。改造品なので、探知にも引っ掛からなかったのではないかと推測されます。」


 捜査が面倒になるのが嫌で、わざわざ粉々にしたのに、仕事熱心なやつである。

 小型ドローンは一般家庭にも普及している。娯楽や荷運びなどその扱いは様々だが、管理体制は旧時代の自動車のように徹底されている。購入時には役場への届け出が必要だし、定期的な点検が義務付けられている。個人での改造は許されているが、違法改造したものを私有地以外で使うのはアウト。また廃棄する場合もそれなりの手順が必要となる。そうなると、趣味に走った違法なパーツを求める人間や、廃棄の手間を惜しんで不法投棄するなんて人間もでてくる。

 

「管理体制はもっと徹底すべきかと。」

「いやいや、それは無理があるでしょ。領主にどうこうできる話じゃないから。」


 取り締まりをもっと強化して違法なショップや取引を捕まえていれば防げたと言いたいのだろう。けど、それは無理がある。ドローンや船などはコロニーが指定するショップから購入することが推奨されているが、ショップだけで需要を満たせていないのが現状だ。公式ショップでは賄いきれない供給を補うために中古販売や違法な転売などを見逃している。

 強権を発揮してこれらを取り締まると、供給不足以前に公式ショップの市場独占が起き、需要と供給のバランスが崩壊する危険もある。だからこそ、極端な独占行為や危険物を扱う取引は取り締まるが、基本的には市場原理に任せている。

 そこに難癖をつけられるのは、ちょっとやだなー。


「これらは、以前からご指摘させていただいてきたことです。法にも人間にも限界があることは我々も承知しています。」

「うんうん、そうだね。」


 なんかね、こう重箱の隅を楊枝でほじくるみたいに、ネチネチと言うよね、君たちは。


「しかしながら、今回の1件はリンガット様の認識不足や甘さによって引き起こされた事故と我々は判断しています。」

「事故? 事件じゃなくて?」

「ええ、事故です。」


 「事故」と言い切るイムール憲兵長の顔は晴れやかで自信に溢れていた。顔の一部となっていた眉間のしわがなくなり、まるで積年の腰痛が消えたかのようなつるっとしてハレバレとした顔だった。正直、普段の彼を知っていると、ちょっと気持ち悪い。

 

 あからさまに犯人がいて、その証言と証拠を俺が掴んでいることを知らないのだろうか?

 

「まず移動ユニットの暴走ですが、あの地域は走り屋の縄張りだったそうです。」

「走り屋?移動ユニットで?」

「はい。裏取りはとれています。見晴らしもよく交通の少ないあの場所では以前から何度も、非公式のレースを行われていたそうです。リンガット様の移動ユニットが進路をずれたのも、レースのために監視システムがダウンしていた影響だそうです。」


 んなわけない。


「さらに不運なことにレースに改造された移動ユニットの一部が暴走。ペアリング機能により他の車にも影響がでたそうです。」

「そして、暴走した一団が、停車していた僕の移動ユニットに突撃してきたと。本人たちから聞き取りはしたの?」

「はい、事故のショックで意識が朦朧としているようでしたが、聞き取れた内容とログからそのように判断しました。必要とあればデーターを提出させていただきます。」

「あとで、確認させてもらうね。」


 一応データーを受け取っておくが、改ざんどころか捏造されたものだろう。お爺様が見たらすぐ見抜かれるレベルだろうなって。


「暴走していたドローンもレースのイベント用のカスタム機でした。」

「そのわりには物騒だったけど。」

「移動ユニットに体当たりするようにプログラムされていたようです。どうにもチーム間でのイザコザがあったそうで、報復のための仕掛けだったようです。」

「こわ、なにそのデスレース。」


 そんな過激なことはコロニーの外でやってください。でもまあ、筋は通る。

 俺が視察を行ったのはトラブル発覚によるもので予定外のものだ。なので他の人がいるとは思わずにレースが開催され、それによってシステムトラブルがあったといわれれば、無理筋ではあるが、通らなくもない。


「うーん、つまり、僕は違法レーサーたちの違法な遊びに巻き込まれたと。だから事故だと?」

「お気持ちは分かりますが、彼らにリンガット様への悪意はありませんでした。むしろ、悪ふざけから事故を起こしてしまったことや、巻き込んでしまったことを後悔しているようでした。」


 いやいや、悪意も殺意もありまくりだったよ。なんなら、戦闘直後の尋問とか、抜き取ったブラックボックスの通信記録とか見せようか?

 まあ、イムール憲兵長がそういう形で収拾をつけたいのなら、それに付き合ってあげるのも上に立つ者の役目だ。変に責任追及して仕事が増えるのも嫌だし。

 システムトラブルによる不幸な事故。再発防止に努めつつ、そう決着をつけたいのだろう。


「ただですね、問題はその後です。」

「はい?」

「リンガット様が、敵襲と判断して破壊された作業機械。こちらは全くの無関係でした。彼らは次の現場へ移動していただけの一般人でした。」

「いやいや、そんなわけないでしょ。」


 暴行罪ってそういうことかーーーーー。


「恐れながら、事故で混乱されたリンガット様は一般車両へ攻撃をされてしまったようです。」

「はは、笑える。」


 作業機械たちも暴走していたというなら分かる。だが、一般人?そんなわけないだろ。


「確認作業はちゃんとしましたよ。まさか通信装置が壊れていたとでも?」

「通信インフラにもトラブルがあったようです。」

「だとしても、警告メッセージは届くだろうし、警告灯は見えていたはずですよ。」


 ここは譲れない。向こうの非を問う気はないが、俺が悪いみたいな表現は避けて欲しい。万が一がないように、ちゃんと何度も確認作業はをしてから、暴れてたんだから。


「そうなのですか、彼らも心身衰弱状態でして、まともに聞き取りが出来てないんです。」

「へえー、僕のほうのログと移動ユニットのカメラの動画は渡したはずなんだけど。」

「え、ふむ、再度確認しておきます。」


 さらっと流されるが、イムールの額にわずかに皺ができた。これは想定外だったようだ。

 これは、俺のデーターを見てないなー。というか、事故の前から筋書きが書かれてたと見るべきかな。


「言いたいことは大体わかった。あの日、あのルートでは非公式なレース大会が行われていた。それによって交通システムにトラブルが発生して、事故が起きた。それを悪意ある襲撃と判断した僕は、そのまま勘違いして関係ない通りすがりの作業機械のチームに襲い掛かった。と、言いたいわけだ。」

「・・・状況を整理しますと、そのように。」

「情報確認が甘すぎない?」

「し、しかし、聞き取りした情報では。」

「あれー、心身衰弱のため、まともな証言はとれなかったんじゃないの?」


 下手人とイムール達の関係は分からない。だが、自分たちの都合の良く話を作りすぎだ。俺があえて伏せている情報がなくとも、ちょっと精査すれば矛盾が生まれる話。いくらでもひっくり返せる話だ。

 それでも、今回の件を「事故」としたいなら、それでもよかった。

 

「と、当時の状況ははっきりしていません。ですが、リンガット様が無関係の市民に暴行を働いた。我々はそう判断しています。」


 だが、俺を悪役にしようとするのはやりすぎだし、手口も幼稚すぎる。そんなことを言えば、俺がどんな行動をとるか、予想できないわけがない。イムールや彼の取り巻きたちはそれぐらいには優秀なはずだ。


「どうしたもんかねー。」


 その、あまりの無謀さに判断が遅れてしまった。

 これは反省すべきことだろう。


「見苦しいぞ。いい加減にしないか。」


 もう数秒速く判断を下していれば、この不快な声を聞かずに済んだというのに。


リンガット「僕は悪くない。」

イムール 「管理責任は問えますよね?」

リンガット「そっちは致し方ない。」


 陰謀うずまく中で、次回はついにあの人が登場します。


 

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― 新着の感想 ―
>その、あまりの無謀さに判断が遅れてしまった。 >これは反省すべきことだろう。 >「見苦しいぞ。いい加減にしないか。」 >もう数秒速く判断を下していれば、この不快な声を聞かずに済んだというのに。  …
ここまで言いたい放題されてるのは 舐められすぎだろう。 非情の手は濫用すれば暴君だが、全く用いなければ、舐められる。 ここは、クソパパンを残虐に処刑して、見せしめてもええんやないだろうか。(名案)
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