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「ハーモーニーサウンド」 中盤脱落のクソボンボンだけど ロボットには乗りたいので知識チートします。  作者: sirosugi


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5 アフタースペース290 リンガット・ビックツリーの優雅な朝

 優雅なボンボン生活

 タイトル変えました。(5月4日)

 カーテンの隙間から差し込む光に、僕は目を覚ました。

 木造の建物は手入れが行き届いていて温かみがあるし、綿で作られた羽毛布団とシルクで作られた寝巻は非常に心地よい。そんな場所で、朝日とともに起きれるのは。この世界において、とても贅沢なものだ。

 

「朝か・・・。」


 気づけばあの事故から一か月。僕とリンガットが共存するようになった当初は、宇宙空間とは思えない生活に驚いたり、疑問を持ったりしたが、最近がすっかり慣れてしまった。


 例えば、宇宙空間に浮かぶコロニーなのに朝日があるのかとか。

 宇宙空間に昼も夜もない。ただ、植物の成長や人間の健康維持にには適度な暗闇が必要となるため、ビックツリーを含めた多くのコロニーでは、24時間で照明が調整され、疑似的に昼と夜が再現される。より先進的なコロニーでは区域ごとに時間をずらすことで人や設備を無駄なく動かすようだが、そうなると色々とややこしいので、24時間の周期は基本的に13のコロニーで統一されているらしい。

 まあ、おかげで宇宙というより、どこぞの別荘地のような朝なのだけれども。寝ぼけてそんなことを考えていると、いつも通りに扉がノックされる。


「リンガット様、スーザンです。」

「おはよう、スーザン。」

 

 時間通りに部屋に訪れる侍女のスーザンに挨拶をして、ベットから降りて、ベットサイドの椅子に腰かけ、差し出されたタオルで顔をふく。程よく温かい蒸しタオルで顔を脱ぎって意識をさっぱりとさせていると、テーブルにはいい香りのカフォオレが置かれる。7歳の子供が飲むのはどうかと思うけどカフェインが少なめで乳脂肪分と砂糖もたっぷりななんちゃってコーヒーモドキらしい。


「今日も時間通りですね、」

「それはスーザンもでしょ。」

 

 キレイなメイドのお姉さんと微笑み合って迎える朝。なんとも金持ちな朝であるが、これが領主の孫である僕の日常だ。どうだ、うらやましかろう。


「本日はどのように。」

「いつも通り、情報収集。今日は史料編纂室に行ってみたいなー。」

「了解しました、それではこちらをお召しになってください。用意を進めておきます。」

「はいはい。」


 ぼくの要望を聞き、スーザンはそそくさと着替えを用意し、空になったカップやタオルと共に部屋からでていった。寝起きに侍女とくれば、着替えのお手伝いなんかをされそうな流れだけど、7歳のリンガットの向上心と前世青年な僕の自尊心(羞恥心かもしれない)が、自分での着替えを選ばせた。

 

 着替えを済ませて食堂まで降りる。タイミングが合えばお爺様と一緒に食事をすることはあるがタイミングが合うことはほとんどない。なので、1人で簡単に済ませる。シャキシャキとしたレタスとトマトのサラダとハムサンドに野菜スープとシンプルながらボリュームのある食事をもきゅもきゅと食べる。これまた宇宙空間というよりリゾート地のような感じだけど、ハムとパンに関してはそれっぽく造られた合成食材らしい。

 なおトマトやレタスなどの農作物はビックツリーの特産品でもあり、領主一族である僕らが日々、それを食して品質を確認するのも役目なので、食事も仕事なのだ。

 

「さて、行こうか。」

「はい。」

 

 食べ終わり、片付けは他の使用人たちに任せて、屋敷をでる。ここで馬車でもでてきたら、いよいよだけど、待っていたのはワゴン車のような見た目の移動ユニットだ。四角いフォルムでガラス張りの自動ドアがスライドすると二人掛けの椅子が向かい合うように並んでいる。まるで特急電車の個室席のようなものだが、車輪や運転席といったものはなく、別端末で入力した目的地まで自動で運んでくれるエレベーターのようなものだ。1から10まで人工物であるコロニーでは、ポピュラーな移動手段らしい。


「お待ちを。」


 先んじでスーザンが中に入り、安全を確認し、目的地を入力する。それが完了したら、再び降りて僕に乗車を促す。先の事故以来、こういった安全確認は彼女の癖になっている。正直、オートメーション化が進んだコロニーに置いて安全対策は徹底しており、ここまでする必要はない。だというのに、こうして先んじて確認し、乗り降りの際は何があっても対応できる場所に待機しているのだ。


「そのまま乗っててもいいのに。」

「そういうわけにはまいりません。」


 もともと、そういう性格だったのだろうけど、先の事故を未然に防げなかったことへの後悔と、その後、僕の働きかけもあって大きなお咎めもなかったことへの恩義から、彼女はすっかり過保護になっている。そんな彼女が近くにいるおかげで、お爺様も安心して外出の許可をくれるので助かっている。


 移動ユニットはそのまま、空中へと浮かびコロニーの反対側にある行政区画へと移動する。そこは木々に溢れた領主の屋敷の周辺とは異なり、近未来的(僕視点)なメタリックな街並みだ。等間隔にビルや建物がならび、その間を無数の移動ユニットとドローンが飛び交い、遠目の窓にはコロニーを出入りする宇宙船が見える。

 この場所は人口管理や輸出入などの交渉を行うコロニーの心臓部の一つであり、お爺様も普段はここでお仕事をされている。機能を集約させたことで、ややごちゃごちゃしており、他の生産プラントとの温度差がすごいことになっているが、今となってはすっかり見な慣れたものだ。

 そんな行政区画を抜けた先にある一つの建物。史料編纂室と言われる場所が今日の目的地だ。外観はほとそん色ないのに、人や物の出入りがすくないせいか、どこか暗く感じるのは、ここが閑職と呼ばれる窓際な部署だからだろう。


「やあ、ジルオール。」

「これはこれは、おはようございます。リンガット様。こんなところに今日もようこそ。」

「あいからずの自虐っぷりだねー。」

「ふふふ、おかげ様で楽しませていただいていますよ。」

 

 建物の中に乗り入れた移動ユニットを出迎えたのは、室長「ジルオール」だ。黒縁の眼鏡に後ろで縛られた黒い髪に猫背と、僕的には親近感がわく恰好だが、一般的には陰険そうな印象を受ける青年だ。聞けばまだ26歳で、若くして公職(それも管理職クラス)を任せられるほどの実力があるのだが、経験が足りないと、この場所の監理を任されているらしい。1人で・・・。

  

「今日は何をお探しで?」

「なんだと思う。」

「そうですねー、先日は歴代の作付け記録でしたから、本日は土壌管理と肥料開発の記録あたりでしょうか。」

「正解。さすがだね。」

「ならばこちらのストレージにまとめてありますのでどうぞ。」


 1人で任されているのは、ジルオールがめちゃくちゃ優秀だからだ。

 100年以上の歴史を誇るビックツリー、その歴史と蓄積された情報は膨大である、紙やストレージなど様々な記憶媒体で保管されたそれらは、整理されることなく無秩序にため込まれていた。量こそあるが、ほとんど情報には需要がなく、整理されることも閲覧されることもなく、ただ保管されているだけった。

 要は閑職、窓際と言われる果ての部署である。ジルオールは優秀過ぎるが故、周囲から嫉妬されて、この部署に回されたらしい。初対面が本人から聞いたので確かだ。

 だが、彼はそれで終わらなかった。

 ジルオールは、僅かな期間でそれらを整理し、必要に応じて引き出せるようなシステムを構築した。図書館の閲覧システムのようなものだけど、彼に頼めばどんな記録にすぐに出てくる。なんなら、前回の閲覧履歴から、必要な情報を先回りして用意しておいてくれるのだ。


「無駄にすごいよねー。」

「使い道がない知識ばかりですが。」

 

 と、本人は自嘲気味だが、この優秀さは、ここで腐らせておくのは惜しいし、放置するのはあまり危険だ。今すぐにでも味方に引き込んでおきたい。

 わざわざこの場所に足繁く通うのも、彼に会い、人柄を見極めるため、あわよくば味方に引き込むためだ。


 スーザンとジルオール。この二人が僕の記憶にある通りの人物ならば、確実に仲間に引き込みたい。

 キャラ設定補足

 スーザン・・・18歳 リンガット付きの侍女。見習いであったが、事故の一件から正式に採用された。

 ジルオール・・・26歳 若くしてコロニーの行政区画で働いていたが、優秀すぎて周囲から疎まれ左遷された。

 2人の詳細については次回さらに詳しく。

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