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「ハーモーニーサウンド」 中盤脱落のクソボンボンだけど ロボットには乗りたいので知識チートします。  作者: sirosugi
アフタスペース296 リンガット13歳

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44  アフタスペース296  水の都につきました。

 ビックオーシャンへ着きました。

 ビックツリーが伝統的な円筒型。ギャラクシーが効率重視の球体型。

 コロニーの大半はこのどちらかが採用されている。対して、ビックオーシャンは円錐型という独自の形状をしている。


「あれが、コロニーなんですか?」

「初見は驚くよねー。僕も資料を見たときは首をかしげたよ。」


 それらに見慣れていると、ビックオーシャンの形状はかなり変わって見えるだろう。

 円錐形の頂点の角を丸く均したしたプリンのような形で遠目には三角形にも見え、それがいくつも並んでいるので、全体を俯瞰すると足つぼマットのようにも見える。


「居住区は先端の一部で、大半は水を循環させることで、浄水処理する設備なんだって。」


 遠目に見えるビックオーシャンの姿に首をかしげる乗員たちに、僕は立体図を見せて補足する。


「それぞれのコロニーの中心には重力源となる柱があって、それが回転することで疑似的な重力と水の流れを作る、そうやって水を循環させることで地球の海や川、真水と環境を作っているんだよ。」

「なるほど。となると人々が生活しているのは、壁面側ってことですか?」

「そうそう、そこらへんは他のコロニーと変わらないかな。」


 回転による遠心力で外壁側に疑似的な重力を発生させるのはコロニーの基本構造だ。円筒状のコロニーが多いのは各地の重力を管理しやすいからである。ギャラクシーは、スペースを有効活用するために回転に頼らないでブロックごとに重力発生装置を設置している。

 ビックオーシャンは、この円錐状の形を利用して、水の循環に差をつけることで各種水資源を生産しているらしい。


「ぶっちゃけ専門的すぎて、僕もよくわかってない。ただ、進入禁止エリアには許可なく入らないこと、水を汚染する可能性のあるものは持ち込まないこと。この二つは絶対だから、みんなも気を付けてね。」

「はい。」


 一通りの説明をして、大事な事を再度確認しておく。今回もギャラクシーのときのように小型船で前乗りするわけだけど、前回の商談とちがって今回は次期領主としての訪問となるので色々と説明しておく必要があったのだ。


「特にカナデ、自由行動は認めるけど、ルールの確認は絶対だからね。」

「わ、わかって、わかってますよ。」

『YES、ルールは守るぜ。』


 いろんな意味で問題を起こしそうなカナデには特に厳重に注意しておく。本当なら若いという理由で同行させたくないんだけど、彼を名指しで指名された以上、それもできない。

 そんなわけで、小型船の先発メンバーは、いつもの俺とスーザンに、小型船のパイロットとしてライスさんとアルさんだ。あとは先方の希望でミキサー4機が随伴する予定だ。

 ビックツリーで噂の最新ロボットを少しでも早く目にしたい、という一文があったので、ピカピカにしたミキサーを用意させてもらった。

 大人数を引き連れてもいいけど、正直趣味じゃないので少数精鋭。銃火器は持たせていないけど、その拳と機動力を考えれば、過剰戦力もいいところだ。


「じゃあ、行こうか。」


 どうせなら派手に行こう。ビックオーシャン側の誘導に従い小型船をゆっくりと発進させる。VIP用のゲートから入港し、そのままコロニー内へと侵入、指定された場所へと船を進めていく。


「見事なものですねー。」

「だよね。まるで海だ。」


 宇宙船の港の向こうに広がっていたのは、青い水面と水平線。ビックオーシャンの名前通りの光景だが、これはVIP向けの特別コースだ。入港してすぐに風光明媚な風景を楽しませつつ、関係者に訪問者の姿をお披露目するものだ。今もなお、各種センサーやカメラでこちらの様子がモニターされていることだろう。


「各自、周回フォーメーション。つつましくな。」

『かはは、了解。』


 小型船を囲むようにミキサーをゆっくりと旋回させ、まるでパレードのごとく行進させる。その繊細な操作だけで、ミキサーの性能はアピールできるだろう。パイロットたちは、この日のためにめっちゃ練習したし、今も緊張しているが、がんばってもらおう。

 

「しかし、すごいですね。こんだけの水があったらなんでもできそうですね。」

「うーん、そうだね。お風呂とか温泉とかもあるらしいよ、ここ。」


 堂々と進む船の中は呑気なもので、俺はアルさんと話しながら水面の様子をのんびりと眺めていた。


「あっ、魚だ。」

「まじすか。でけえ。」


 この場所は疑似的な海となっているため、マグロなどの魚も養殖されている。どうやって地球から運び込んだか知らないが、生物学的にも貴重な水生生物もいるらしい。これらを見せることで、ビックオーシャンの威厳を示す、そう言う狙いがあるとかないとか。ただまあ、他のコロニーで生活している人間に畏敬を抱かせるものだと思う。

 しかしながら、示威行為のために用意された場所ではなく、この場所も水産資源の生産地であり、養殖された海産物を回収する船などもチラホラと見える。見た目は旧時代の漁船のようなもの。原作では、ビックオーシャンへ逃げ込んだ主人公たちが漁船で釣りをして憩うなんてシーンがあったけ?


「リンガット様、ビックオーシャンより緊急通信です。」

「うん?」


 そんなことを思っていたら、緊急を知らせるアラート音とともにライスさんの緊迫した声が聞こえた。


「どうやらこの先で、船舶事故が起きたようです。救助活動をするために、進路を変更して欲しいとのことです。」

「わお、それは大変だね。」

「こちらでも捕捉しました。モニターに映します。」


 映しだされたのは、見事な事故現場だった。船同士が衝突したのか、片方の船からは煙が上がり、もう片方の船は後ろ半分が海に沈みかけている。前者は自力で動けるらしく、もう片方の船から距離を取ろうと必死に動いている。


「助けないで逃げるのか、ひでえな。」

「二次災害を避けたいんだろうね。船が沈むときは渦潮みたくなるから、故障した船だと引きずり込まれることがあるんだよ。」

「そうなんですか。」

「さすが、リンガット様、博識ですね。」


 俺以外のメンバーの反応には緊張感は感じられなかった。それもそうだろう。真空の宇宙で放り出されることを考えれば空気のあるコロニー内の事故なら全然余裕があるように見える。


「これはダメだな。」

「はい。」


 モニターしている間にも船首が持ち上がり、今にも沈みそうな舟。旧時代のビデオ映像か、前世の記憶ぐらいしかない。だからこそ、その状況のやばさがわかっていたのは俺だけだ。

 

「コードディープ1を発動。各員、フォーメーションを変更。」

『えっ?ここビックオーシャンですよ。』

「だからだよ。それに、何か問題?」

『失礼しました。各員、シャープ1を中心にフォーメーションを組め。』


 突然の命令。それに少しの戸惑いを見せつつもミキサーのパイロットたちは訓練通りにフォーメーションを組んだ。俺の乗る小型船から離れ、カナデの駆るシャープ1を中心に3機のミキサーが集まる。


「カナデ、バックパックを切り離してからは分かるね。」

『ええっと、あの船を助ければいいんだよな。』

「その通り、コースとか細かい指示は送るから、ともかく舟に近づいて。」

『いい、いいんですか。ここって。』


 他のコロニーないで、こんな勝手な事をしていいか?その答えはYESだ。だが、人命には変えられない。この手の事故は、一分一秒が惜しい。また、状況を見る限り、一番近いのば俺たちだ。


「人命優先。なんか言われても、僕が何とかするよ。」

『カナデ君、命令は絶対よ。』

『フォローは任せとけ。』


 少しだけ戸惑っていたカナデだけど、俺の指示や仲間のミキサーからの激励ですぐに覚悟が決まる。


『シャープ1、ハイブユニットをパージ。潜水モードに切り替えます。』

『OK。魅力的な変身シーンだ。録画しといてくれよ。』


 そんな通信とともに、カナデがコクピットにあるボタンの押す。すると彼の乗るミキサーのバックパックがパージされ、塔載されていたブースターがゆっくりと落ちる。


「落とさないでね。」

『了解です。』


 チームの中の1機がパーツを切り離し、他の機体はパージしたパーツを回収し、フォローする。万が一のときに機体パーツを現場に残さないための段取り。これがフォーメーションデイープ1だ。今回の場合、パージしたパーツに残留している燃料による水の汚染に配慮してのものだ。事前に可能性は示唆していたので、パイロット達に迷いはない。

 まあ、そっちは重要ではない。カナデの乗るシャープ1の動き、そっちはばっちり録画しておこう。

 バックパックを切り離したミキサーは、水面に落下しながら各部の装甲がスライドさせて、細かい隙間を埋めて気密性を上げる。両腕をバンザイさせると、両腕につけられていた楕円形の盾が組み合わさって、船の船首のような形となる。そして、着水と同時に脚部から空気を噴射して加速していく。


「よし、大成功。」


 これは、ビックオーシャンに売り出す予定の水中移動用のオプションパーツだ。あとでお披露目するためにカナデの機体に装備させておいたんだけど。まさか、いきなり使うことになるとは思わなかった。

 宇宙での活動を想定しているミキサーは、気密性は高いし生命維持装置も搭載されている。真空と水中という違いこそあるが、ちょっとした改造で充分応用が可能なのだ。

 まあ、パイロットは戸惑うだろうけどね。


『こ、こわ、おも。なにこれ。』

『Be.cool。これが水ってやつだ。機体に問題ないから、このままいけ。」


 ぎゃーぎゃーわめきながらも舟へと近づいていくシャープ1に感心しつつ、接近コースと持つべきポイントを解析して送る。水の流れや舟の状況、こういったものを考慮しないとミキサーが触れたことで状況が悪化する可能性があるのだ。


「カナデ、近くで一回止まってから、そっと持ち上げるんだよ。」

『了解です。』


 本来なら勢い任せなカナデじゃなく、他のパイロットに任せたかったんだけど、水中装備をつけていたのはシャープ1だけだったので致し方ない。


「沈みそうな舟に連絡は。」

「オープンチャンネルで呼びかけています。」

「じゃあ、聞こえてるね。今から持ち上げるから、船にいる人達はどこかにつかまって衝撃に備えてね。」


 向こうの通信があったとしたら、悲鳴か歓声か、少なくともモニターに移されている範囲では、船に乗っている人達は手近の柱やロープにしがみ付いている。


「よし、やれ。」

『了解』


 そのまま、ミキサーは変形を解除、二足歩行に戻り水中から船をゆっくりと持ち上げる。足元からはジェット水流による噴射。ブクブクと泡立つ水面でその半身は見えないが徐々に舟は持ち上がっていく。


「シャープ3、フォローを。」

『了解、これ任せたぞ。』


 ある程度、船隊が持ち上がったのを確認したところで、空中から別のミキサーに船を支えてもらう。こちらはクレーンのようなものだが、パワーは充分だ。


『リンガット様、船体の保持が成功しました。』

「そのまま発着場まで運んじゃって。カナデ、もう少しだけ我慢ね。シャープ4はパーツをアーテムまで運んでもらえる。シャープ2はこのまま僕たちの護衛で。」

『『了解です。』』


 鮮やかな救出劇からの、きびきびとした動きを見せるミキサーたち。

 それを見てビックオーシャン側がどう思ったかは知らない。

 が、ロボットが活躍したので、俺は満足である。

 

 

 到着早々のトラブル発生、これからどうなる。


 補足 ビックオーシャンの形状について

 コロニーの形状はCEガンダムな世界を参照しましたが、検証していくうちに、三角フラスコみたいな形に落ち着きました。


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― 新着の感想 ―
少し読み返すとかしたらいいんじゃないですかね
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