表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「ハーモーニーサウンド」 中盤脱落のクソボンボンだけど ロボットには乗りたいので知識チートします。  作者: sirosugi


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/12

3 アフタースペース290 お爺様を説得しよう。1

 本格的に話が始まります。

 バタバタとした現場処理の後、僕は、コロニー内にある一番大きな館へと担ぎ込まれた。

 木と漆喰整えられた見た目で中身も基幹部分にわずかに金属を使っているのみで建材のほとんどに、レンガや木材が使われた天然の洋館。自然循環型コロニーでも特に珍しい旧時代的な洋館とそのロケーションは、ここが宇宙空間であることを忘れさせてしまう。そんな洋館だった。


「リンガット、無事か。」

「うが。」


 屋敷につくなり、たくましい力で思いっきり抱きしめられて、息が詰まる。またかよ、と思いつつその力にリンガットがきちんと愛されてることにちょっとだけ安心してしまう。


「お、お爺様、く、苦しいです。」

「す、すまぬ。無事と聞いていたが、事故の報告を聞いたときは生きた心地がしなかったぞ。」


 そう言って申し訳なさそうショボーンとするお爺様だが、そのまま僕を荷物のように小脇に抱えて執務室、いや寝室に運ぼうとする。子どもとはいえ7歳ならそれなりに重い、今年で60歳になるというのに、なんて元気な爺さんなんだ。

 レイウッド・ビックツリー。このコロニーの領主にして最高権力者であるお爺様は、年だなんだといいながらもバリバリの現役の人だ。

 身長180センチと高めの身長に白が混ざった茶色の髪を後ろで縛ってまとめているが、結んだ先がライオンの鬣のように広がっている。思えば作中のレイウッドも似たような後ろ髪を反り返らせた特徴的な髪形をしていたので、一族に共通するセンスなのかもしれない。見た目はすっきりとした紳士風なのに、孫を抱えて平然と歩くあたり、さすがは、ビックツリーの領主様だ。


「お爺様、話したいことがあります、なので執務室にお願いします。」

「う、ううむ、だが。」

「至急相談したいことがあります。このコロニーの今後に関わることです。」

「わ、分かった。執務室へ行こう。」

 

 真面目な口調で伝えればお爺様は、子どもの戯言も聞いてくれる。その器の大きさが部下たちから慕われる由縁であり、リンガットも彼の事が大好きである。だから抱えられるという状況も甘んじで受け入れられるというものだ。

 そのままずかずかと階段を登り、扉を押し上げてお爺様は執務室のテーブルに座った。僕には向き合う形で椅子とサイドテーブルが用意され、自然な流れでお茶とお茶菓子がサーブされる。土壌があり、農業が充実しているビックツリーのお茶は高級品であり、他のコロニーでは高値で取引されるが、ここでは当たり前に飲むことができる。

 その有難い香りと味を楽しんで心を落ち着けてからお爺様が話を切り出すのをじっと待つ。いくら孫とはいえ、執務室は公の場であり、領主の許可なく話すことは許されない。


「しつこいようだが、身体は大丈夫なんだな。」

「はい、御心配をおかけして申し訳ありません。」

「それならかまわん。事故は気を付けていてもおこる。大事なのはその後の対処と繰り返さない覚悟だ。」

「はい。今後はこのような不注意が起きないように気をつけます。今回悪いは僕の運です。」

「運か、ずいぶんと立派な事を言えたじゃないか。」


 僕の返事が面白かったのかお爺様の表情が少し緩む。だが、その顔は祖父ではなく領主のそれだった。幾度となく祖父の仕事を見てきたリンガットにとっては見慣れたものである。だが、その顔を向けられたのはリンガットにとっては生まれて初めてのことで、自然と背筋が伸びる。


「何があったか、お前の口から聞きたい。」

「はい、まず、僕はスーザンたちとともに、先日のお話通り、展望設備の視察へ向かいました。コロニーの回転運動はとても迫力があり、一見の価値のあるものだと思います。」

「そうか。あの光景はビックツリーならではの光景だからな。お前に見せたかった。」


 そもそもは暇を持て余したリンガットを楽しませるためにお爺様が提案したお出かけだった。視察というのも建前で、最近交流の少なかった孫を楽しませるために、いい感じの場所の視察を計画し、孫を同行させようとていた、と、今ならわかる。

 ただ、今朝になって急用のはいったお爺様は同行できず、リンガットは1人で視察へ行った。そして、


「景色をよく見ようと思って手すりに寄りかかったのは僕です。そして運が悪いことに手すりのボルトが傷んでいたため、僕は展望台から落ちました。」

「ボルドが痛んでいたことは報告を受けている。なんでもお前が調査するように指示をだしたとか。」

「はい、落ちる過程で手すりの一部に異変を感じたんです。」

「感じた。」

「はい、事前に展望台の構造とメンテナンスの内容については説明を受けていました。だから、事故の原因が想像でき、早急な対応が必要と思われたので。あっ、」

 

 と、そこまで話して僕はあることに気づいて、あせった。


「お爺様、Lー28の対応で間違ってなかったでしょうか。すみません、指示だけだして、その後の確認を失念していました。」


 言うだけ言って丸投げしていた。スーザンの治療は目の前で見ていたし、まずはお爺様へ報告をと急かされてしまったので、そんな暇もなかったけど、忘れていたのは事実だ。


「うむ、自分の言葉の結果を確認するのを忘れないようにしなさい。幸いなことにお前の指示は的確、いやそれ以上の成果であったが、自分の言葉に責任を持つことは大事だ。」

「そうですか、それは良かったです。」


 ちなみにLー28というのは、空調の不調によるイレギュラーな故障などを想定した対応であり、この指示があった場合は、事故があった現場だけでなくその周辺の空調や、類似した設備の点検も行われる。場合によっては無駄手間になってしまい、リソースの無駄遣いとなるけれど。


「お前の指摘通り、展望台周辺の空調の湿度が想定よりも高かったらしい、その結果として想定よりも金属の劣化が早かったらしい。点検によって交換が必要な個所が数か所見つかったそうだ。」

「そうですか、それはよかった。」

「お前の判断のおかげで、未来の事故が防げた。よくやったな。」

「あ、ありがとうございます。」


 お爺様の賞賛は嬉しいがあの場では勢いで言った感があるのでむずがゆい。今思えば、まずはお爺様に報告する、あるいは、現地のスタッフに可能性を相談するという段階を置くべきだった。7歳とはいえ、僕は次期領主であり、その言葉に他の人達は従わなければならない。お爺様はあえていわないのだろうけど、自分の言葉に責任をもつとはきっと、こういうことなんだろう。今後に生かせるといいなー。

 なんだか、急に大人になったようで戸惑うリンガットがいるが、そこは僕がフォローしている感じである。こんなことになるのは想定外だったが、執務室での会話を望んだ目的は別にある。


「お前の働きはよくわかった。だが、次期領主であるお前を危険な目に合わせた。」

「そんなことはどうでもいいです。あれは防げない事故でした。むしろ、今後起こりうる事故を僕がなぜ防げたか、それを聞いてはくれませんか。」


 ここからの目的は2人。

 1つは、過保護なお爺様を説得して、この一件の責任を他の人に負わせないこと。

 今回の事故はイレギュラーな要素による事故だった上に、展望台で不用意に手すり触った僕が悪い。子どもが触った程度で転落事故になるまで劣化していたことに気づけなかったことには改善の余地はあるが、この程度のことで責任を追及したり罰則を与えたりしたら、お爺様の評判に傷がつく。そしてそれが周り回ってリンガットの評判を落とし、10年後の破滅につながるかもしれない。こんな些細な事で騒いで、怨みなど買うんてもったいない事はできないのだ。


「お前がどうして気づいたか。」

「はい。今はその話をすべきです。」


 そしてもう一つの目的。

 僕がESPに覚醒したことを報告し、その力と価値をお爺様に売り込むことで、僕の影響力を増やすこと。ある意味、リンガットの未来はこの瞬間、お爺様との対話にかかっていることになる。


「わかった、話してみろ。」

「ありがとうございます。」


 ほんの数秒の間、ぼくのことをじっと観察していたお爺様は、先を促した。

 とりあえず第一関門である、話を聞いてもらえるという状態にはもっていけたらしい。

 大事なのはここからだ。



 両親を飛ばして過保護な祖父の登場。なんか匂わせつつ、長くなるので、前後半に分けてます。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ