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「ハーモーニーサウンド」 中盤脱落のクソボンボンだけど ロボットには乗りたいので知識チートします。  作者: sirosugi
アフタスペース294 リンガット11歳

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39/42

35 アフタスペース294 新型ロボットを宣伝します。

 再びのアクションパート。ロボットが躍動する回かな?

 すったもんだあったが、ノホ爺の執り成しもあって取引は無難なところで落ち着いた。

 アーテムの注文については適正価格のなるはや納品。オプションパーツとジョイント部分については、ビックツリーが特許権を持ち、ゲザウゼと格安でライセンス契約をするという形となった。ブラヴールは難しいと言っていたが、ここに持ち込んだ時点で、ジョイント部分の基本的な設計は完成しており、残るは適合する素材の選別と工場でのライン化だけなこと、制御するためのプログラムも準備済みという事実を教えたら、手のひらを返してへりくだってきたよ。

 

「いやはや、私もまだまだ未熟、いや、リンガット様が私の予想以上の大物だったということですな。」

「かかか、ここで小金を得るよりも、ずっと儲けられようになったんだから気にするな。」

「たしかに、ジョイントと船体のオプション化にはそれだけの可能性を感じますが。」

「そうではないぞ、坊ちゃんといい関係を築けた、あの方の発想、それこそが金脈だ。覚悟しておけ、確実に忙しくなるぞ。」


 なんか、おっさんとじいさんがこそこそ言っていたけど、アーテム(原作キーアイテム)入手の目途がたったので俺は満足である。

 順調にいけば数か月、遅くても2年以内の実用化を約束してもらえた。原作よりも早くアーテムをはじめとしたジョイント型戦艦が各地で見られることになるだろう。そうなればペナント料やらライセンス料でも大儲けできる。

 お金なんて、なんぼあってもいいものですからね。

 そんなわけで、取引は予想以上に早く終わり後はのんびり観光でも、というわけにはいかない。やることはまだまだある。


「坊ちゃん、宇宙用のブースターの準備が終わりましたよ。」

「お疲れ、しっかし今回はノホ爺に助けてもらってばかりだね。報酬は期待してね。」

「ははは、ジジイに大金は使い切れんので遠慮しておきますよ。」

「そうなの、なら、専用の工場とか作ろうか?」

「わしを過労死させようとしてませんか、あんた。」


 有意義な取引から二日後。そんな会話が繰り広げられているのは再びの小型船のコクピット。場所は港ではなくゲザウザから提供されたテスト用のコースだ。大手企業であるゲザウザは各地にこういった施設を持っており、船の試乗やテスト飛行のために顧客でも借りることができる。

 今日はそこを間借りさせてもらい、新型ロボットのお披露目をするのだ。アーテムの注文も大事だけど、今回の旅はこれがメインの目的と言っても過言ではない。


『ではコンテナブロックおよび、新型機のテスト運用を開始いたします。パイロットはカタパルトへの最終確認を。』

 

 コースのスタートラインに並ぶのは、赤と青に塗り分けられた二つのコンテナ。既存の貨物用コンテナを改造し、簡易的な整備施設と発進用のカタパルトを組み込んだだけの試作品だ。推進装置もなく運ぶためには他の船で曳航する必要があるし強度も不十分な代物だが、見た目はそれなりにかっこいい。

 その扉がゆっくりと開き、中にある新型ロボットの姿がついにお披露目された。


「これは、また。」

「すごいでしょ、かっこいいでしょ。」

 

 ゲストとして招いたブラヴール達が感嘆の声を上げているのを見て、俺は誇らしい気持ちになった。それだけ新型のロボットは自信作だったのだ。

 サンブラーは素晴らしい機体だ。既存のコクピットブロックに手足をつけて人型に改造して実用化に至ったヨハン博士が素晴らしい研究者であることは間違いない。しかし、あくまで試作機であり、その設計思想から、既存の機械の延長上のロボットでしかないとも言える。

 対して、今回用意した新型は二足歩行を前提として0から設計されたものだ。

 手足駆動範囲を確保するために丸みを帯びた胴体には、各種センサーを詰め込んだヘッドユニットが乗せられ、最適化された手足はサンブラーのよりも細くシュっとしている。これらの要素のおかげで、重機の延長線だったサンブラーと比べて、そのシルエットはより人間に近づいている。背中に取り付けられたブースターのおかげでメカメカしさもあって、ナイスだ。 

 見た目だけじゃなく性能も段違いだ。より効率化された機体構造により稼働限界は倍近く伸び、耐久性や機動力も向上したことで、下手な小型船よりも動ける。何よりすごいのはより細かい作業を可能とするマニュピュレータだろう。そのあたりもしっかりとお披露目する予定だ。


 サンブラーの後継機「ミキサー」

 原作で軍用モデルとして販売され中盤まで各地のコロニーで主力として扱われていたものが、数年も早く実用化できたのだ。この感動を共有できる人がいないのが惜しまれる。

 

「さて、新型のお披露目だ。二人ともよろしく頼むよ。」

『『了解。』』


 俺の号令とともに、カタパルトで加速し飛び出していくミキサー2体。機体こそ違うけれど原作の出撃シーンのようでかなりかっこいい。いろんな角度から撮影しているし、あとで編集してそれっぽいPVを作ろう。


「あれぐらいシュっとしている方がかっこいいよねー。」

「ですな、あれだけシュっとしたデザインならばプロモーション用としても人気がでそうです。」

「見た目だけじゃなくて、性能もすごいんだよ。」

「それは楽しみですな。」 


 なお、同席しているのはブラヴールとその側近さん。他にも何十もの船が周辺に停泊してテストを見学している。計測に特化した観測船も存在し、なんなら他の企業のロゴのついた船まである。

 造船メーカーに限らず人型ロボットとその運用方法は興味を引かれるものだったらしく、情報の坩堝であるギャラクシーで開催された今回の運用テストは、ゲザウザを含めた多くの企業から見学の申し込みがあった。原作知識のおかげで成功は確信していたけど、改めて人型ロボットのポテンシャルの高さに驚かされた。


「まあ、特別な事はしないけどね。」

「そうなのですか。」

「今回はただの飛行テストだから。」


 運用テストそのものは新型船の試乗と変わらない。まずはコースの外周をぐるっと回って調子を確認。その後は設置されたマーカーを目印にしたジグザク飛行に、各地に設置されたコンテナを指定の場所へと運搬したり、デブリを模した障害物の除去など、一般的な小型輸送船がおこなう業務をミキサーたちは次々にこなしていく。


「すごいですな、あのサイズで中型船級の加速と小型船並みの機動性。エンジンの出力を過不足なく移動に転化できているからか?」

「デブリ除去の繊細さも素晴らしい。専用の機材を使わずにあれだけの精度で回収できるなら、あれ一機だけで数船分の仕事ができるぞ。」


 ギャラリー反応は上々。正直なところ、この結果はパイロットであるカナデとアルさんの技量頼みところはあるけるど、人型ロボットのポテンシャルの高さは充分すぎるぐらいアピールができている。

 これはまた注文が増えそうだ。


『緊急アラート、緊急アラート。』


 と思っていたら突然警告音がなり、コクピットのライトが赤く光って視界が染まった。


『未登録の船と思われる物体が当宙域に高速で接近中。警告への反応はなし。接触まで10分を推定。即時避難を提案いたします。』


 テンプレの警告文。これが意味するところは。


「宙賊。なんでこんなところに。」

「ブラヴールさん?」


 胡乱気な瞳で視線を向けると、ブラヴールは全力で首を振っていた。どうやら、彼も預かりしらぬトラブルらしい。

 宇宙空間は広いようで狭いので、ちょっとした接触が大きな事故に繋がることもある。だから船同士が近づくときはお互いの位置情報や登録について最低限のやり取りをするのがマナーだ。それをせず、未登録のまま接近してくるのは略奪を目的とした宙賊と判断されてもおかしくない。てか、宙賊だね、これ。

 とりあえず。


「護衛船はゲストの安全と避難誘導を最優先。胡弓に連絡して応援を呼んで。」

「了解しました。各船、緊急マニュアル067に従い、迎撃の準備を。ゲストの船に不埒ものを近づけさせるな。」

『了解。』


 ここで慌てて対応が遅くなればなるほど相手の思うつぼだ。まずはライスさんに指示を出して迎撃の体勢を整えさせつつ、ゲストたちを避難させる。主催側としてゲストたちの安全を確保は最優先事項だ。


「ブラヴール、御社の警備体制についての苦情はあとでさせてもらうとして、この場は僕らで仕切らせてもらうけど構わないね。」

「え、ええ。お任せします。」

 

 残り4分。

 どさくさに紛れて指揮権をもらう。そのままゲストたちの船をテストコースから離れさせ、護衛船に防衛体制を整えさせる。胡弓所属の乗員たちは優秀なのですぐに準備が整う。


「リンガット様。この船も避難を」

「それはだめでしょ。主催者が真っ先に逃げ出しだしたら、今後に影響するし、何より仁義に反する。ライスさんもそれで構わないよね。」

「はい、リンガット様の乗る船の安全は私が保証します。」


 俺ファーストなスーザンの言葉を船乗りの流儀で否定する。ブラヴール達には悪いが、この状況でもっとも狙われそうな主催者が逃げては迎撃もままならない。俺たちが避難するのは、ゲストたちの安全が確保できてからだ。

 てか、逃げる気はないんだけどね。


 残り3分。

 レーダーに映された予想進路に、宙賊の誘導が成功したことが確認できた。


「狙いはミキサーか。僕の可能性もワンチャンあるかと思ったけど。」

「テスト機の破壊、あるいは強奪が目的の一撃離脱戦法ですね。コロニー付近の宙賊はよくやる手口です。競合他社から依頼されたんでしょう。お手間をかけて申し訳ありません。」

「まあ、想定してたけど、ほんとにあるんだね。こんなあからさまなこと。」


 予想進路はコンテナへと帰還しているミキサーたちの進路と交差していた。こういったイベントは企業や依頼人の威信に関わることなので警備は厳重だ。そんな中に突っ込んで無差別に略奪行為なんてことをしていたら、すぐに迎撃、撃墜されてしまう。だが、事前に情報を入手し、高速で接近し、相手が浮足だっている間にピンポイントで攻撃して、すぐに逃げるという戦法ならば、わりとうまくいくことが多い。新兵器、新商品の飛行なら、機密保持のために護衛を少なめにしていることもあるし、人命を優先して迎撃がバタつくからだ。

 なんなら、ブラヴールが言ったように、競合他社が妨害のために支援している可能性だってある。

 ここで、わが身可愛さで俺が真っ先に逃げ出そうとしたら、その隙をつかれて、ミキサーが強奪されていただろう。


「まあ、がっつり迎撃するけどね。」

「この期に及んで止まらないところをみると、相手も腕に覚えがあるようです。アルはともかく、カナデは脱出させた方が。」

「いやいや、その必要はないよ。だよね。」

『もちろんです。』

『売られた喧嘩は買い叩くけど、いいよな。』


 残り2分

 ミキサー2体がコンテナに到達し、飛び込む様に乗り込んでいく。はた目には突然のトラブルに避難したと思えるだろう。だが、コンテナは市販のそれと変わらない。こんなタイミングで仕掛けてくる宙賊なら武装しているだろうし、すぐに壊されてしまうだろう。


「リンガット様、あれはさすがにまずいのでは、コンテナごと持ってかれますよ。あっ、あえて餌を用意して他の被害を防ぐ作戦ですか。」

「なわけないじゃん、チーズを狙うネズミのために、皿を用意する馬鹿はいないよ。」

「しかし、的が大きくなっただけですよ。」

「うん、そうだね。」


 だから、すぐに出てもらう。コンテナに戻ったのは準備のためだ。


 残り1分

 レーダーだけでなくカメラにも宙賊の姿が見えた。船体が黒いのは宇宙の闇に溶け込むため、とげとげしたフォルムなのは無理やり増設されたブースターと火器の類がてんこ盛りだからだ。原形が分からないほど改造された船はもちろん違法で危険なものだ。少しでも操作を間違えれば爆発してバラバラになるような危うさの代わりに、速度と瞬間的な火力に関しては軍用艦をもしのぐ性能。それらを使って略奪し、軍や警察などが来る前に逃亡をするのが宙賊の手口である。


「やばかったね。ゲストが狙われてたら守り切れなかったかもしれない。」

「そうですね、デコイがうまく機能してくれたようです。」

「いやいや、デコイって、スーザン言い方には気を付けてね。それだと僕がド畜生だ。」

「がはは、あの二人なら問題ないですよ。いや4人か。」


 危険な船、それも10隻。状況的にはかなりの被害を覚悟しなければいけない戦力だった。だというのに、俺やスーザンたちビックツリー組は動じなかった。まあ、クォーターさんだけが無言でプルプルしてたけど、彼はそれが平常運転なので気にしない。


「宙賊がシーカーミサイルを発射。狙いはコンテナです。」


 接敵直前、10隻の船から大量のミサイルが発射される。このミサイルには炸薬はなく対象の針のように突き刺さる。破壊力こそ低いが追尾性能が高く、衝撃で船の動きを止めるによく使われる手法だ。

 ただのコンテナに使うには贅沢なものだが、そこまでの情報は流れていないらしい。

 次々と突き刺さり剣山のようになるコンテナ。もはや廃棄するしかないほどボロボロなコンテナの扉が開き、ミキサー2体が再び発進する。当然ながら、無傷で。


「蹂躙してあげよう。」

『任せろ。ボコボコにしてやるぜ。』


 残り0分。

 史上初の人型ロボットによる宇宙戦は、大勢の企業関係者に目撃されることになった。

 兵器としての価値も存分に宣伝させていただくとしよう。

やっとジム的なロボにたどり着きました。

次回はもっとバリバリ動かす予定・・・。

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― 新着の感想 ―
シュっとしたスマートなジム的ロボなのかもしれませんが >サンブラーの後継機「ミキサー」 脳内でビジュアルがミキサー大帝になっちゃったでござるよ・・・
 原作主人公の立ち位置的にザクっぽい。・・・ズダじゃないよね。
>ジム的なロボ 試作機が、完成された量産機には勝てないって事を、見せつけてくれるかな? …多分無理。
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