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「ハーモーニーサウンド」 中盤脱落のクソボンボンだけど ロボットには乗りたいので知識チートします。  作者: sirosugi
アフタースペース293 リンガット10歳

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24 アフタスペース293 コロニーを案内しました2

 偉い人を接待するのも大変だ。

 リンガット・ビックツリーはゼーレ・ホープに心酔していた。

 物心ついたときには両親の姿はなく、唯一の肉親である祖父も物と場所を与えるだけで構うことがない、そんな孤独な生活の中で出会ったゼーレの自信あふれる姿に彼は為政者として君臨する自分の未来を見たのだ。リンガット本人が、作中でゼーレについてそう語っていた。

 彼のような為政者になりたいと、伝統的なビックツリーの館を古臭いと改築させ、身に着ける装飾は他のコロニーから取り寄せた一流の貴金属に替えた。

 彼の理想に近づくために、スラムを弾圧し、美しい街並みを作ろとした。297年にホープが独立を宣言したときは密かに助力し、無理をして資金や兵力を供出した。

 作中でも、思わせぶりに「あの御方」とか「あの御方のように」とか言ってたいし、どんな無茶な要求にも嬉々して答えていた。

 その最たるものが、サイト40の秘密研究所だろう。コロニー間の協定で禁止されていた武器開発と戦艦の建造は、莫大なコストがかかる上に、バレたら周辺のコロニーから敵対され孤立するかもしれない危険な役割だ。それすらも作中のリンガットは嬉々して受け入れていた。


 クソボンボンであったが、ゼーレとホープに対する忠義は本物だったのだ。


 だというのに、2人の出会いのエピソードは回想シーンもなければ、設定資料にも記されていなかった。なんならゼーレとリンガットが直接やり取りをする場面は通信やメールを含めて一切なく、リンガットの片思い説や厄介オタク説などもあった。


 まあ、おそらくは、この親善訪問での交流がきっかけだったんだろう。実際、対面してからここまでの視察の最中、ゼーレの姿は堂々したもので、為政者としての自信と威厳に満ち溢れていた。


「次は、サイト40を見せてもらうことが可能かな?」

「あ、兄上、そんな急に。」

「いやいや、リンガットならば用意しているだろ?」

「ええ、御期待に応えられるように準備はしてあるので、ご安心を。」


 案内される設備を笑顔で視察し、そこの苦労や良さについて的確に見抜いて賞賛するゼーレの態度は確かに好感が持てた。一方で、アレを見たい、ここに行きたいと次々と要望を出すマイペースっぷりには、周囲の人達もうんざり、もといお疲れの様子だった。


「それでは、サイト40へと向かいましょう。ただ、申し訳ありません、移動ユニットは小型のものになってしまうのですが。」

「かまわん、その方が早くつくのだろう。」

「ええ、専用の経路を通るので30分ほどで移動可能です。」

「わかった、お前たちもそれでいいな。」


 確認の言葉をアニモやお付きの人達に投げかけるが、答えはまたずに到着した移動ユニットへと乗り込んでいく。自信があるのはいいけど、迷わず先頭車両に乗り込むのは待てとなる。


「殿下、お待ちを。」

「くそ、お前たちはアニモ様と一緒に。」


 ほらほら、護衛さん達が慌ててるじゃないか。警備体制は万全だけど、迂闊に単独行動をするのはよくないぞ。

 

「ルートはインプットされてます、閉めたら目的地までは自動でつきますから。」


 慌てて乗り込もうとする護衛の人たちにそう声をかけると、彼らはピタリとかたまり、素早く集まり顔を見合わせての無言やり取りが行われた。その時間は数秒ほどだったが、激しい視線のやり取りのあと、1人の護衛さんが意を決して移動ユニットに乗り込み扉を閉めた。


「リンガット様、感謝します。」

「いえいえ、では現地でお会いしましょう。」


 残った護衛さんたちは短く礼を言って、他の移動ユニットに分乗していく。本来ならばゼーレやアニモから離れるのは良くないけど4人乗りだからしょうがないよねー。


「やっと一息つけますねー。」

「まあ、30分ぐらいだけどね。」


 小型の移動ユニットを用意していたのは、少しでもたくさんの場所を見て回りたいというゼーレの要望に応えた結果だ。コロニー内の移動や流通のラインは、移動ユニットを基本として設計されている。今回は、団体様向けの大型ユニットで移動していたが、効率重視なゼーレなら我慢できなくなるんじゃないかと思って用意させていたが、思わぬ形で役に立った、

 少なくとも次の目的地までの移動中は、あの無駄にキラキラした笑顔を見なくてもいい。お付きの人達も少しは気を抜いて休めるだろう。


「すまない、リンガット。兄上はときどきあんな感じに話を聞かないんだ。」 

「いえいえ、まったく気にしてないですよー。」


 申し訳なさそうに頭を下げて、移動ユニットに乗り込むアニモもどこかほっとした様子だった。

 こちらの意図が伝わっているようで何よりだ。

 別に恩を売るわけでもないし、仲良くなりわけでもない。だけど、素直にお願いされれば可能な限り答えるのがホストの役目だろう。

 それでいて、お客様が快適に過ごせるようにさりげなくフォローする。こういうおもてなしの精神は、元日本人な僕だからこそ思いつけるものだ。


「さすがです、リンガット様。」

「そうかな?まあ、好感触ならいいよね。」


 このまま、そつなくこなして、ホープとは今後ともよい関係を築けたらと思う。

 一方で、原作のリンガットのような尊敬する気持ちは少しも湧いてこなかった。


「面倒な客だなー。」

「リンガット様・・・お疲れ様です。」


 スーザンの漏らしたこの言葉が全てだ。嫌いではないが、メンドクサイ。それがゼーレ・ホープに対する僕の印象だった。

 少なくとも心酔するような男ではないな。

リンガット

「休みたい場合は即ホテル。料理や買い物を希望された場合やアクティビティを希望される場合も想定して準備しています。どんな要望だってかなえて見せる。」

スーザン

「ここまで準備する?が全て当たっていますね。」


 なんだかんだ、めっちゃ接待能力が高いリンガット様。

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