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「ハーモーニーサウンド」 中盤脱落のクソボンボンだけど ロボットには乗りたいので知識チートします。  作者: sirosugi
アフタースペース293 リンガット10歳

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24/41

21 アフタスペース293 外交という名の子守りを任されました。

 改めて、世界観の補足な説明になりそう・・・。

 300年前の宇宙進出以来、13あるコロニーには、それぞれ目的と役割がある。

 「ビックツリー」のように地球の生態系の一部を保全し、将来的な地球への帰還や惑星のテラフォーミングに備えるコロニー。

 原作で主人公たちの拠点になる「ビックオーシャン」のように、人類が生存するために欠かせない水や空気などを生産するコロニー。

 再生治療や義手義足の開発などを行う医療コロニーもあれば、造船に特化したコロニーや火星や木星などの惑星や、太陽系外への進出を目指しているコロニーなどもある。

 アフタスペース293年の時点では、それぞれに優劣はなく、お互いの強みを生かして共存共栄の資本主義な関係が維持されている。

 が、その中でもとりわけ歴史があるコロニーとして「ホープ」を一段上の存在として考えている人達もいる。


 まだ人類が地球を拠点としてた旧時代に作られた「ホープ」は、多くの犠牲を出しながらも宇宙開拓の先駆けとして活動し、画期的な技術やシステムをいくつも開発した。そして、多くのラグランジュポイント、地球の重力と遠心力が安定したポイントを発見したのだ。

 アフタスペース初期、各地のコロニー開発が成功したのは、「ホープ」によって積み重ねられたノウハウと、各種技術の土台があったおかげである。

 300年近く経った現代、13あるコロニーが繁栄を続けているのは、各地のラグランジュポイントとコロニーの質量関係を「ホープ」が監視、調整しているからだ。

 原作のストーリーを知っている僕としては、この賛美にはどこか話が盛られている気がしないでもない。しかしながら、13あるコロニーの中で最も歴史のあるのが「ホープ」であるのは間違いない。

 

「リンガット、お前には次代の「ホープ」の相手をしてもらいたい。言うまでもないが、次代の「ビックツリー」としてな。」

「マジですか?」

「言葉遣い。」

「・・・それは本当ですか、ホープの人がうちに来ると?」


 呼び出された執務室。お爺様から命じられた仕事は、そんな「ホープ」からのお客様への接待だった。

 最近は仕事量も分散できた成果、お爺様の顔色もだいぶ良くなった。抱え込むのではなく、部下や僕に色々と仕事を任せてくれるようになったのもいい傾向だと思う。

 だからこそ、仕事は真面目に取り組みたいが、今回は疑問が多すぎる。

 

「ホープって、うちとは真逆でしたよね。ホントにそんな遠くから?」

「ホープ家は、現在、次期領主であるゼーレ・ホープ殿のお披露目のために各コロニーを親善訪問されている。現在はビックオーシャンを出発し、こちらに向かっている、あと一週間ほどで到着予定だ。」

「それはまた、急ですねー。」 


 ゼーレ・ホープという名前に、僕の知識に赤信号とサイレンの音が鳴り響くが、今はそれどころじゃない。状況を把握しないと・・・。


「というか、親善訪問の話も、初耳なんですが・・・。」

「すまんな。双方の安全のために彼らの動向は領主クラス以外には極秘扱いとなっている。それに、コロニー間の移動は予定が読めん。」

「でしょうね。」


 コロニーは宇宙の決まった場所にあるのではない。「ハイパーレーン」と呼ばれる地球の衛星軌道上を常に移動ししている。

 地球から月までの半径38万キロメートル圏内に存在するいくつかのラグランジュポイントに計画的に建設されたコロニー群は、時計の文字盤のような位置関係を保ちながら周回し独自の軌道を作っている。

 例えるならば観覧車や回転寿司のレールの上のようなものだろう。一周230万キロメートルの「ハイパーレーン」は果てしなく長く、ご近所のコロニーでもその距離は、最短でも20万キロメートルになる。

 この世界の宇宙船はこのレーン内を平均時速1000キロメートルで移動する。ただの移動だけでも100日近くかかる。航路や船によって違うけれど、すべてのコロニーをめぐる旅なんてものは、船乗りが一生の夢に掲げるようなものだ。

 コロニーを旅するというのは、過酷で、コストのかかるものだ。それは領主クラスの上流階級の人間でも変わらない。

 だというのに、すべてのコロニーをめぐるとは・・・。


「これは、コロニーで続いている伝統だ。リンガット、お前なら、ホープの始まりと役割はもう理解しているだろ?」

「宇宙への移住を計画、提案したのが初代ホープ様で、うちを含めた各地のコロニーの配置を決めたんでしたよね?」

「そうだ、現代においても、各地のコロニーの質量や情報を監視し、ハイパーレーンが維持されるように各コロニーに働きかけるのは、「ホープ」の役割だ。その役割を自覚するため「ホープ」を継ぐものは、修行として各コロニーを親善訪問をする。そして、各コロニーはそれに協力する。そう言う協定があるのだ。」

「なるほど、壮大ですね。」


 壮大過ぎて草生えそう。

 これってあれだよね。どのくらい接待したかで、後々の外交に影響が出るパターンだ。

 ゴマをすって気に入られるか、力を見せつけて舐められないようにするか。そういった指標もなく僕に任せてくれたことから推測するなら、この接待は、次代の「ビックツリー」としての僕を見極めるテストのようなものなのかもしれない。


「ちなみに、いらっしゃるのは?」

「うむ、現領主の御子息であるゼーレ・ホープ殿と弟のアニモ・ホープ殿が、大使として訪れられる。後はお目付け役として、先代領主であるヘルツィヒ・ホープ殿が同行されているそうだ。」

「なるほど、流石に当代のホープ様達は来ないんですね。」

「そうだな、本来ならヘルツィヒも同行はしないのだが、ヘルツィヒとワシは、個人的に交流あってな。そちらはワシが相手をする。」


 孫の仕事に便乗して遊びに来ると。いや口に出さないよ。


「つまり、ゼーレ様とアニモ様の歓待をせよと?」

「ああ、基本的なプランは既に組ませてある。いつも通りの観光プランだ。お前にはそれをもとに、お二人を歓待するプランを組んで欲しい。」

「わかりました、任せてください。」


 いつも通りのプランでいいなら、楽な仕事だ。

 ここ「ビックツリー」は林業と農業で栄えたコロニー。他のコロニーにはない、貴重で高価な生鮮食品をふんだんに使った料理やイベントを用意しておけば、それだけで極上の体験となる。セキュリティーとか衛生面の問題はあるが、こういう時は素のコロニーを見せればいいので気楽でいい。


「そうだ、先方の希望として、サイト40の視察があるが、いけるか。」

「なんとかします。」

 

 そっちも想定内。今やビックツリーの最先端となったサイト40を自慢しないわけがない。


「頼もしいな。だが、無理はするなよ。気になることは必ずだれかと相談して決めること、そして、プラン修正後はわしにも確認とること。この二つを忘れないように」

「はいはい。アリの研究所も入れときます。」

「あ、ああ。」


 お爺様がアレコレ言ってきていたけど、生返事。僕の意識は接待プランの構築に向けられ、気づけばそれに没頭していた。


 何せ、相手は、あのゼーレ・ホープだ。

 何を見せて、何を語るか。それで僕の運命が変わると言っても過言ではない。


 まさか、こんなタイミングで、彼と遭遇するとは思わなかったよ。


 リンガット君が、ホープ関係者を警戒する理由は、次回以降に・・・。


 月から地球の距離が38万キロメートル。そこから、月軌道の直径は76万キロメートルで、全周は約230万キロメートル。それを13で割るので、各コロニーの間の距離は約18万キロメートルですが、四捨五入にして20万キロメートルです。

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― 新着の感想 ―
地球の周囲を周回する衛星軌道に乗る第一宇宙速度ですら秒速7.9km≒時速28400kmですので地球の重力振り切りラグランジュポイント間を行き来する宇宙船の速度が時速1000kmは遅過ぎるかと
月の軌道上のラグランジュ点は地球を挟んで反対側の一点と、地球と月を結ぶ線から±60°の二点の三つだけで、それ以外の場所は徐々に地球か月に落ちていくことになるらしいですよ
>現領主の御子息であるゼーレ・ホープ殿と弟のアニモ・ホープ殿が、 →アニモはゼーレの弟なのか、現領主の弟なのか、どちらとも読めてしまうような…。  たぶん甥と叔父ではなく、兄と弟なのかな?
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