13 アフタースペース291 未確認生物と遭遇したい
SFアニメ特有の不思議生物な話
人型ロボットの実用化に必要な要素の一つである基本設計や骨格については博士がいずれ作り出してくれるだろう。そうなるともう一つの要素を探さないといけない。手に入れたくなるというのが人間じゃないか。
「おはようございます。リンガット様・・・。」
「ふわ、おはよう、スーザン。」
「また、夜更かししてネットサーフィンですか。夢中になるのはよろしいですが・・・。」
「わかってるよ。」
博士の移住のためのもろもろの手続きを終えたあと、僕は、時間を見つけてはネットの情報を漁るというまるで、オタクのような日々を送っていた。
目的は言うまでもない、もう一つの要素の手がかりを見つけるためだ。
「オカルト系サイトに情報はなし、ハッキングやウイルスからも手がかりはなかった。あとはどこだろうか?」
「連日、何をお探しなんですか?」
「うーん、ちょっとした希少生物かな?」
「生物?」
「うん、まあ眉唾なんだけどね。」
「そうですか、リンガット様って時々子どもっぽいことをされますね。」
「だって8歳だよ。」
「ふふふ、そうでしたわね。」
眠気でぼんやりした頭でスーザンと会話しながら、僕は手がかりの無さに歯噛みしていた。
僕が探しているのは、この世界の不思議生物たちだ。宇宙アニメらしく、ハーモーニーサウンドには、色々不思議な生物が登場する。ネットワーク内に存在する自我をもったAIこと電子生命体に、宇宙空間を自由に泳ぎ回る宙ザメや小惑星に営巣している巨大アリなど、謎な生物が存在する。太陽系、それも地球の軌道上のコロニー群であるはずなのに、ストーリー後半や番外編などでは結構な種類が登場して世界観を揺るがしたため、ファンからは賛否両論であった。そのため、生物兵器なのか、宇宙の神秘なのかという深堀りはなく、そういうイベントとして消化された。
これらの不思議生物の生態の研究や採取できる素材によるブレイクスルー。人型ロボットの実用化に必要なもう一つの要素は、これらの生物との接触なのだ。
だというのに、全く手掛かりがつかめない。
アフタースペース291年の時点でこれら不思議生物の存在は確認されておらず、本編では主人公である「カナデ」の端末にしれっといるAIがそれだったりした。身近な味方が実はすごい存在でしたって展開はワクワクするけど、その大本がどこにあるかわからないままだ。
簡単にはいかないと思っていたけど、大本命であるヨハン博士があっさりと見つかったので、こっちもどうにかなるんじゃないかって甘い考えもあった。
結果は惨敗で、連日の寝不足である。
「ふふふ。」
「うん、どうしたの?」
うんうんとうなっていら、上品に笑うスーザンの姿が目に入った。なんだかとてもゴキゲンだ。
「失礼しました。リンガット様がまるで、新米猟師のようでして。」
「猟師?」
「はい、獲物を探して力いっぱい走り回ってしまうせいで、獲物が警戒して姿を隠してしまう、あるいは視野が狭くなって見逃してしまう。新米猟師にありがちなことだなと。まあ、リンガット様のなさろうとしていることと比べるのも失礼ですが。」
「そんなことないよ。無意味に焦ってたのは確かだし。」
なるほど、今の僕の姿はたしかに滑稽だ。
このSFな世界に猟師なんていう人もいるけど、自然環境や地球の生態系の再現を目的とした「マウンテン」や地球に帰還するために環境改善を研究している「アース」などのコロニーも存在し、そこでは旧時代の職業、農家や猟師などの職種も存在する。そういえばスーザンの一族は「マウンテン」から移住してきた人達って前に聞いたなあ・・・。
「じゃあ、獲物を探したいときはどうするの?」
「基本的には痕跡を探しますね。足跡や糞、過去の目撃情報などから住処や通り道を予測して待ち構える。ときには追いかけますが、それでは効率が悪いです。あとは罠なども有効です。」
「なるほど・・・。」
「ただ、罠も工夫が必要です。野生の獣というのは意外と賢いし、敏感です。普段と違うと悟ればすぐに気づいて逃げ出します。同じ場所に同じ罠を張るのは悪手です。」
「何事も工夫が大事ってことだね。」
「その通りです。さすがですリンガット様。」
彼女からしたら子供への読み聞かせのようなものだったが、このやりとりは僕に天啓を与えた。たしかに闇雲に探すよりは何倍もいいかもしれない。
そういえば、居場所も狩りの方法も心当たりがあったな。それができそうな人材にも心当たりがある。
あれ、意外とうまくいってしまうんじゃないかこれ?
思考だけで終わってしまった・・・。
次回は不思議生物捕獲作戦です。




