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あゆみとのパーティーは数日後に開催されたが、それはいわゆる女子会とは一線を画したものだった。結果的に由佳とランは、島田の仇討を完全に終わらせる結果になり、あゆみの手によって、伊豆の廃ホテルに酷い状態で縛り付けられていた桐谷恵美の霊は無事自由になることが出来た。二人は負傷したあゆみを病院まで送り、自宅に帰る頃にはもうすっかり朝になっていた。
「あゆみちゃん大丈夫かしらね。」
「いやしかし…あれかっこよかった。熱いわね、あの子。」
「そういやどうしてあんな怪我したの?」
「霊を癒すことなく始末する自分の能力に苛立ってコンクリの地面を思い切り殴ったの。」
「…熱いね。」
「それがまた、優しさから来てるっていうのがいいじゃない。」
まあ、手が治るまでは休むって言ってたし、とラン。
「今度はホントのパーティー出来たらいいね。」
そうね、と由佳。
「だけど、お互いを知るには飲み会よりもいい機会だったわね。」
ふふ、とラン。
「そうね。」
じゃあ…と二人はせーので
「とりあえず寝よう。」
と、お休みを言い合って自室に引っ込んだ。
次の日早く、吉田が訪ねてきた。
「姉さん、近隣五県に存在する組合計三百人、すべて姉さんの配下につきたいと代表のものから書状が届いております。」
「おぇ?」
由佳は変な笑いを浮かべながらそう訊き返した。
「私たちそういう…あれだっけ。」
「一応、島田組としてはまだ存在していますから。」
この前の征伐が余程彼らに危機感を与えたみたいですね、と吉田は付け足す。
あー、と由佳は頭をがりがりと書いた。
「わかりました、受け入れる旨、あなた方の流儀で伝えなさい。」
話はトントンと進み、豪華ホテルのホールを借り切って式が行われた。由佳は式の名前を聞いてはみたものの、まるで頭には入って来なかった。吉田の合図でもって壇上に上がり、いかつい顔の男たちを見下ろす。ガキじゃねえか、と、結構な数がざわつくのが聞こえた。由佳は黙って一礼し、ホテルの従業員たちに少しの間ホールを出るよう伝えた。従業員たちは一礼して大きな扉を開けて一列で出て行った。それを見届けると由佳は背中から巨大なムカデを出現させ、荒くれどもの外周を囲んだ。流石の猛者たちも青ざめざるを得なかった。
「あと一秒もあれば、あなたたち全員亡き者にすることも出来るんですよ。」
ふふ、と由佳は笑ってムカデを引っ込め、吉田に促されるままに盃で酒を飲んだ。
「あなたたちは今日から、武器からも、薬からも手を引いてください。真っ当な仕事だけを真っ当に行ってください。わかりますね?」
ハイッ、と引きつった返事が返って来る。
「私の仕事を手伝いたいとの要望もありましたが、要らぬお世話です。すべて私一人で足りる仕事です。あなたたちの仕事は、この組の名に泥を塗らぬように毎日を生きることです。古き良き任侠の道を貫いてくださいな。」
由佳は吉田に従業員を呼び戻すよう指示し、さあ、と手を叩いた。
「難しい話はここまで。宴と行きましょう。」
数時間経って、自宅。由佳はクダクタになってランの作った夕食を食べていた。
「もう本当に疲れました。共通の話題なんかまるで無いんだもん。」
「そりゃそうだ。」
「島田さんの知り合いくらいよ、普通に話せたのは。みんな基本的にビビりまくってるし。失礼しちゃうわ。」
「三百人を取り囲む人間から出て来るムカデを目にしてビビるなってほうが無理じゃないかしら。」
「う、うむ…。」
「そんな調子なら面倒ごとはこれで最後じゃない?」
「だといいんだけどね…この動きを制圧と勘違いした遠方の組々が連合軍となって押し寄せて来たりしなければいいのだけれど。」
「あら楽しそう。」
「あんたはほんとに。」
もしそんなことになったらどうしよう、と由佳はまだ考えていた。自分はあまり前に出ずにサポートに徹するようにしようか、などと、決まっても居ない戦の戦術を考えている間に夕食を食べ終えた。
「まぁなるようになれだね。面倒臭いだけで脅威ではないし。」
「そうよ、あなたは組長さんなんだから。でんとかまえてりゃいいのよ。」
ううん、なんだろうこの人生、と、由佳は仏頂面を作った。




