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神剣のセレスティア  作者: 玉響すばる


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第38話 剣神、目覚める

 セレスティアが眠ってから三日が過ぎた。


 白樹の森は、静かだった。


 静かすぎるほどに。


 王宮の中では、多くの者が動いていた。


 精霊通信は絶えず飛び交い、古記録庫ではルシェルを中心に封印記録の照合作業が進められている。


 王は各森、各国、ドワーフ諸侯、竜の谷、海の民へ正式な通達を送った。


 王妃は白樹の森の医療術師、精霊術師、記録官を集め、長期戦に備えた体制を整えている。


 ミレーヌは、自分にできることを探し、古い花名録と戦没者名簿の写しを照合していた。


 だが、セレスティアの部屋だけは静かだった。


 扉の前には、誰も立たない。


 侍女も入らない。


 護衛も近づかない。


 その代わり、部屋の内側に二振りの神剣がいた。


 黒星。


 閃白。


 二振りは寝台の傍らに置かれている。


 剣でありながら、ただの武器ではない。


 神剣。


 神の持つべき剣。


 黒星は重く沈み、閃白は澄んで静まっていた。


 セレスティアは、眠っていた。


 神格を得た者に、本来眠りは必要ない。


 疲労しない肉体。


 眠らずとも生きられる身体。


 超常的な回復。


 尋常ならざる精神力。


 それらを得たセレスティアにとって、睡眠は生命維持のためのものではない。


 だが、心には静けさが必要だった。


 死者を取り戻し。


 死を返し。


 眠りを与え。


 黒星と閃白が神剣となり。


 世界は第二次邪神戦争へ向けて動き出した。


 その全てを、すぐに背負わせてはならない。


 精霊王は、そう判断した。


 ゴルドも同じだった。


 だから、三日。


 たった三日。


 だが、セレスティアにとっては必要な三日だった。


 寝台の上で、セレスティアの白銀の髪が淡く揺れる。


 窓から差し込む白樹の光が、彼女の身体を照らす。


 しかし、影は落ちない。


 神格を得た影なき身体。


 その足元にも、寝台の下にも、影はなかった。


 黒星が低く鳴った。


『三日だ』


 閃白が答える。


『はい』


『起こすか』


『まだです』


『なぜだ』


『主は、まだ夢の中で別れを終えていません』


 黒星は沈黙した。


 閃白の言葉は正しかった。


 セレスティアは夢を見ていた。


 白い森の夢。


 名もなき森の夢。


 そこに、前世のセレスティアがいた。


 大剣を背負い、左腰に両手剣を差した、公爵令嬢であり剣聖だった頃の姿。


 だが、血に染まっていない。


 邪神格にも縛られていない。


 穏やかな顔をしている。


 今生のセレスティアは、その前に立っていた。


「あなたは、もう眠ったはずですわ」


 前世のセレスティアは微笑んだ。


「ええ」


「では、これは夢ですの?」


「あなたの心が、最後に作った場所でしょうね」


 今生のセレスティアは、前世の自分を見つめた。


 不思議な感覚だった。


 自分であり、自分ではない。


 過去であり、今ではない。


 同じ魂の流れにある者。


 けれど、今は別れなければならない者。


「わたくしは、あなたを救えたのでしょうか」


「救ったわ」


 前世のセレスティアは即答した。


「肉体を斬ったことが?」


「いいえ」


「邪神格を討ったことが?」


「それもあるわ」


「では」


「死を返してくれたこと」


 今生のセレスティアは、言葉を失った。


 前世のセレスティアは静かに続ける。


「私は、あの日に死んでいたの」


「はい」


「退路を守って、黒星を右手に、閃白を左手に、立ったまま死んだ」


「はい」


「それでよかったのよ」


「よかった?」


「後悔はあるわ。もっと生きたかった。ゴルド親方に帰ったと言いたかった。家族にも会いたかった」


「……」


「でも、あの日の選択は間違いではなかった」


 前世のセレスティアは、少しだけ寂しそうに笑った。


「けれど、その死を邪神に奪われた」


「はい」


「だから、あなたが返してくれた」


 今生のセレスティアは目を伏せた。


「わたくしは、あなたを祀りませんでした」


「それでいいの」


「剣聖とも刻みませんでした」


「それでいい」


「英雄とも」


「それでいい」


「公爵令嬢とも」


「それでいい」


「ただ、セレスティア、ここに眠る、と」


「十分よ」


 前世のセレスティアは、穏やかに言った。


「私はもう、剣を置きたかった」


 その言葉に、今生のセレスティアの胸が痛んだ。


 前世の自分は、剣聖だった。


 剣で守った。


 剣で道を開いた。


 剣で死んだ。


 だが、最後には剣を置きたかった。


 神でも、英雄でも、剣聖でもなく。


 ただ、セレスティアとして眠りたかった。


「あなたは、これからも剣を持つのね」


 前世のセレスティアが言った。


「はい」


「黒星と閃白を」


「はい」


「神剣になったのでしょう」


「はい」


「話すようにもなった」


「はい」


「大変ね」


 今生のセレスティアは、少しだけ笑った。


「よく叱られますわ」


「それはいいことよ」


「そうでしょうか」


「あなたは、私よりも止めてくれるものが多い」


 前世のセレスティアは言った。


「私は止まれなかった」


「……」


「だから、あなたは止まりなさい」


「止まる?」


「進むために止まるの」


 今生のセレスティアは、その言葉を胸に受けた。


「邪神本体との戦いが来ます」


「ええ」


「第二次邪神戦争になります」


「ええ」


「世界中の者が備えることになります」


「ええ」


「わたくしは、剣神として戦わなければなりません」


「ええ」


「なら、止まっている場合では」


「違うわ」


 前世のセレスティアは、静かに首を横に振った。


「あなた一人が走る戦争ではない」


「……」


「私の時代は、皆が追い詰められていた。時間がなかった。だから、命を代価にするしかなかった」


「はい」


「でも、今は十年あるのでしょう」


「あります」


「なら、世界に任せなさい」


 今生のセレスティアは、目を見開いた。


「世界に」


「そう。あなたが全部背負うのではなく、世界に生きる者たちに任せるの」


「ですが」


「剣神だからといって、世界の全てを背負う必要はないわ」


 その言葉は、黒星と閃白の言葉にも似ていた。


 ゴルドの言葉にも。


 精霊王の言葉にも。


 王や王妃の言葉にも。


 前世のセレスティアは言う。


「あなたは切り札でいい」


「切り札」


「最初から全部斬る剣ではなく、最後に届かせる刃でいい」


「……」


「そのために、休みなさい」


 今生のセレスティアは、少しだけ困ったように笑った。


「皆、それを言いますわ」


「皆が言うなら、正しいのよ」


「親方の声が聞こえてきそうです」


「飯を食え、でしょう」


「はい」


 二人のセレスティアは、同時に微笑んだ。


 やがて、前世のセレスティアの姿が薄れていく。


 今生のセレスティアは、一歩前に出た。


「待って」


 前世のセレスティアは、静かに首を横に振った。


「もう眠るわ」


「はい」


「私は、もうあなたの中に戻らない」


「……」


「記憶としては残る。でも、あなたの役目にはならない」


「はい」


「あなたは、今生のセレスティアとして生きなさい」


「はい」


「剣神として」


「はい」


「でも、バカ姫としても」


 今生のセレスティアは、思わず笑った。


「そこまで引き継がなくてもよろしいのでは?」


「無理ね」


「なぜですの?」


「ゴルド親方がいるもの」


 前世のセレスティアは、最後にそう言って笑った。


 その笑顔は、安らかだった。


 名もなき森で見た遺体の顔と同じ。


 だが、こちらは魂の別れだった。


「おやすみなさい」


 今生のセレスティアは言った。


 前世のセレスティアは頷いた。


「おやすみなさい」


 夢が白くほどけた。


 セレスティアは、目を開けた。


 白樹の森の光が、部屋に差し込んでいる。


 寝台の横には、黒星と閃白。


 二振りは、すぐに反応した。


『主』


『お目覚めですか』


 セレスティアは、ゆっくりと起き上がった。


「どれくらい眠りました?」


『三日』


「三日も」


『必要だった』


『必要でした』


 セレスティアは、少しだけ目を伏せた。


「夢を見ました」


『前世の主か』


「はい」


『眠ったか』


「眠りました」


 黒星は深く沈黙した。


 閃白は、澄んだ声で言う。


『では、主も起きる時です』


「そうですわね」


 その時、扉が控えめに叩かれた。


「お姉様?」


 ミレーヌの声だった。


 セレスティアは、柔らかく答える。


「起きていますわ」


 扉が開く。


 ミレーヌが顔を出した瞬間、ぱっと表情を明るくした。


「お姉様!」


 駆け寄ってくる妹を、セレスティアは受け止めた。


「ただいま、でよろしいのでしょうか」


「おはようございますです」


「おはようございます」


 ミレーヌは、セレスティアの顔をじっと見た。


「少し、穏やかです」


「そう見えますか」


「はい」


「夢で、前世のわたくしとお別れをしてきました」


 ミレーヌは、一瞬だけ目を潤ませた。


「眠れたのですね」


「ええ」


「よかった」


 ミレーヌは、強く抱きついた。


 セレスティアは、その背を撫でた。


 影はない。


 だが、腕はある。


 温もりも感じる。


 それで十分だった。


 やがて、ルシェルが部屋へ入ってきた。


 手には、厚い報告書の束。


 だが、彼はそれをすぐには渡さなかった。


「姉上。起床直後に読む量ではありません」


「では、なぜ持ってきたのですか」


「私が持っていないと、姉上が取りに行きそうなので」


 黒星が低く鳴った。


『妥当』


 閃白が続く。


『主なら行きます』


「行きませんわ」


 三者の視線がセレスティアに集まる。


 セレスティアは、少しだけ目を逸らした。


「……少しだけ考えました」


「正直でよろしいです」


 ルシェルは小さくため息をついた。


「父上と母上がお待ちです」


「分かりました」


「ただし、まず食事です」


「報告は」


「食後です」


 黒星が言う。


『食事が先だ』


 閃白も言う。


『主は、食べながら報告書を読むことを禁じます』


「なぜ先に釘を刺しますの?」


『前例がある』


「黒星」


『多数ある』


「閃白まで」


 ミレーヌが笑った。


 セレスティアも、少しだけ笑った。


 食堂へ向かうと、王と王妃が待っていた。


 王は、娘を見るなり静かに頷いた。


「起きたか」


「はい、お父様」


「顔色は悪くない」


「神格を得ていますから」


「そういう意味ではない」


「はい」


 王妃が椅子を示した。


「座りなさい」


「はい」


「食べなさい」


「はい」


「報告は食後です」


「皆、同じことを言いますわね」


 王妃は微笑んだ。


「皆が言うなら、必要なことです」


 セレスティアは、夢の中で前世の自分に同じことを言われたのを思い出した。


 少しだけ笑う。


「そうですわね」


 食事は温かかった。


 白樹の実の粥。


 焼いた川魚。


 豆の煮込み。


 少量の肉。


 酒はない。


 セレスティアは何も言わなかった。


 それだけで、王妃が少しだけ満足そうにした。


 食後。


 王は、ようやく口を開いた。


「セレスティア。お前が眠っている間に、世界は動き始めた」


「はい」


「邪神封印の限界は、十年」


 セレスティアは、静かに頷いた。


「夢の中でも、何となく感じていました」


 ルシェルが報告書を広げる。


「各地の人柱封印に異常が出ています。北方氷原、南方砂漠、西海底楔、東山脈封印、灰樹外縁、風樹古谷など、複数箇所です」


「邪神が、忘れられた犠牲へ触れているのですね」


「はい」


 セレスティアの虹色の神眼が、わずかに揺れた。


 だが、開きすぎない。


 必要な分だけ見る。


 黒星が低く言う。


『主、今は見るな』


 閃白も言う。


『報告を聞いてください』


 セレスティアは、そっと目を閉じた。


「分かりました」


 王は続けた。


「第二次邪神戦争への準備体制に入る」


「はい」


「だが、お前一人の戦いではない」


「はい」


「世界全てが備える」


「はい」


「お前は切り札だ」


 その言葉に、セレスティアは顔を上げた。


 夢の中で、前世のセレスティアが言った言葉と同じだった。


「切り札」


「そうだ」


 王ははっきりと言った。


「最初から全てを斬る剣ではない。最後に届かせる刃だ」


 セレスティアは、静かに息を吸った。


「前世のわたくしにも、同じようなことを言われました」


 王妃が目を細める。


「夢で会ったのですね」


「はい」


「なら、なおさらです」


 王妃は言った。


「前世のあなたも、今生のあなたに休み、任せることを望んでいるのでしょう」


「はい」


 ルシェルは、報告書の別紙を出した。


「姉上には、すぐに全ての封印地へ向かっていただく予定はありません」


「では、何を」


「まずは会議です」


「会議」


「各種族、各国、各森、ドワーフ諸侯、竜の谷、海の民を含めた第一次連合準備会議を開きます」


「わたくしも参加するのですね」


「はい。ただし、主役ではありません」


 セレスティアは、少しだけ驚いた。


「主役ではない」


「はい」


 王が頷く。


「世界の戦争準備の会議だ。剣神セレスティアを崇める場ではない」


「はい」


「お前に全てを背負わせる場でもない」


「はい」


「お前には、できることと、できないことを明確に話してもらう」


「できないことも」


「そうだ」


 王の声は厳しかった。


「できることだけを示せば、世界はお前に寄りかかる」


「はい」


「できないことを示せば、世界は自ら立つ」


 セレスティアは、深く頷いた。


「分かりました」


 黒星が低く鳴った。


『必要な言葉だ』


 閃白も言う。


『主は、できないことを言う練習が必要です』


「そこまでですの?」


『必要』


『かなり』


 ルシェルがすぐに記録した。


「剣神セレスティア発言訓練項目。できないことを明示する訓練」


「ルシェル」


「重要です」


 ミレーヌが真剣な顔で言った。


「お姉様、何でもできますと言っては駄目です」


「言いません」


「本当に?」


「……言わないようにします」


「黒星様、閃白様、お願いします」


『任された』


『お任せください』


 セレスティアは、少しだけ肩を落とした。


「家族だけでなく、神剣まで全員監視役ですわね」


 王妃は微笑んだ。


「それが必要な人だからです」


「お母様まで」


 だが、不思議と嫌ではなかった。


 むしろ、安心した。


 一人で背負わなくてよい。


 できないことを言ってよい。


 切り札であって、世界そのものではない。


 セレスティアは、ようやくその言葉を心の底で受け入れ始めていた。


 その夜。


 白樹の森では、第二次邪神戦争準備に向けた正式通達の写しがまとめられた。


 ルシェルは、その末尾に一文を加えた。


 剣神セレスティアは、邪神本体へ届く刃である。


 されど、世界を支える柱ではない。


 世界は、自ら立たねばならない。


 王はそれを見て頷いた。


「よい」


 王妃も頷く。


「セレスティアのためにも、世界のためにも必要な一文です」


 セレスティアは、その文を読んだ。


 少し前の自分なら、胸がざわついたかもしれない。


 自分が支えなければ。


 自分が守らなければ。


 自分が斬らなければ。


 そう思ったかもしれない。


 だが、今は違った。


 黒星が背で静かに言う。


『主は刃でよい』


 閃白が続ける。


『全てを背負う柱ではありません』


 セレスティアは、静かに頷いた。


「はい」


 その頃、グランガルドでは、ゴルドが新しい看板を読んでいた。


 白樹の森から送られてきた正式文の抜粋である。


 剣神セレスティアは、邪神本体へ届く刃である。


 されど、世界を支える柱ではない。


 世界は、自ら立たねばならない。


 ゴルドは鼻を鳴らした。


「やっと分かりやすい文が来たな」


 古参の職人が尋ねる。


「親方、看板にしますか」


「当然だ」


「そのままですか」


「いや」


 ゴルドは筆を取った。


 そして、いつもの太い字で書いた。


 剣神セレスティアは切り札。


 世界は自分で立て。


 バカ姫に全部背負わせるな。


 古参の職人は少しだけ笑った。


「分かりやすいですな」


「だろう」


「姫様が見たら」


「文句を言う」


「でしょうな」


「だが、必要事項だ」


 看板は鍛冶場の前に立てられた。


 町の者たちは、それを見た。


 そして、誰も笑わなかった。


 最後の一行だけは少し笑いを誘ったが、それでも皆、意味を理解した。


 第二次邪神戦争は、セレスティア一人の戦いではない。


 世界の戦いである。


 剣神は刃。


 世界は手。


 手がなければ、刃は振るえない。


 白樹の森の夜。


 セレスティアは自室の窓辺に立っていた。


 空には星が出ている。


 足元に影はない。


 背には黒星。


 左腰には閃白。


 遠く、名もなき森の方角へ意識を向ける。


 神眼は開かない。


 ただ、思うだけにする。


「眠っていますか」


 返事はない。


 それでいい。


 前世のセレスティアは、眠っている。


 今生のセレスティアは、生きている。


 そして、生きている者は、次の準備をする。


「黒星。閃白」


『何か』


『はい』


「わたくしは、切り札でよいのですね」


 黒星は低く答えた。


『刃は、鞘に収まる時間も必要だ』


 閃白は澄んで続けた。


『抜くべき時に抜かれるから、刃です』


 セレスティアは、静かに微笑んだ。


「では、今は鞘の中ですわね」


『そうだ』


『はい』


「退屈ですわ」


 黒星が沈黙する。


 閃白も沈黙する。


 少し遅れて、黒星が言った。


『三日眠って、もう退屈か』


 閃白が続ける。


『主の休息訓練は、まだ必要です』


 セレスティアは、少しだけ頬を膨らませた。


「神剣は厳しいですわ」


『主が危うい』


『かなり』


 セレスティアは笑った。


 その笑いは、白樹の森の夜に静かに溶けた。


 世界は動き始めた。


 神々も、地上の者たちも、死者の名を探す者たちも、鍛冶師も、王も、精霊術師も、皆が備え始めている。


 十年後。


 邪神封印は限界を迎える。


 それまでに、世界は立たなければならない。


 セレスティアもまた、刃として研がれ続けなければならない。


 だが、今夜だけは。


 セレスティアは窓辺で星を見上げ、静かに息を吐いた。


「前世のわたくし」


 小さく呟く。


「わたくしは、世界に任せることを覚えます」


 星は答えない。


 それでよかった。


 答えは、自分で作るものだから。


 セレスティアは、窓を閉じた。


 明日から、会議が始まる。


 剣神セレスティアとして。


 だが、全てを背負わないために。


 世界を支える柱ではなく。


 世界が握る、最後の刃として。

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