幕間 世界中の剣豪、セレスティアに挑む
邪神戦争記録所が開かれてから、半年が過ぎた。
世界は、少しずつ落ち着きを取り戻していた。
死者名簿保全官は各地へ配置され、記録所には学舎の子どもたちや記録官が訪れるようになった。
剣神非信仰令も、完全ではないにせよ、広まりつつある。
祠を作る者は減った。
守り札を売る者も減った。
聖遺物を売る者も、少なくとも表立っては減った。
干し肉の神という誤解も、どうにか保存食の話へ戻りつつある。
だが、人の誤解は、形を変えて現れる。
今度は、剣豪たちだった。
始まりは、人間王国北部の剣士だった。
名を、ガレオス・ラグナという。
王国北部流剣術の達人。
五十を過ぎてもなお、若い剣士を十人まとめて打ち倒すと言われる男である。
彼は邪神戦争記録所を訪れ、剣神セレスティアが邪神を討った記録を読んだ。
そして、こう言った。
「一目、剣を拝見したい」
そこまではよかった。
剣士なら、剣神の剣筋を知りたいと思うこともある。
だが、彼は続けた。
「可能であれば、手合わせを願いたい」
案内役の記録官は、丁寧に答えた。
「剣神セレスティアは、試合相手ではありません」
ガレオスは頷いた。
「承知している」
「では」
「だが、剣を志す者として、一合だけでも」
「お断りします」
記録官は即答した。
それで終わるはずだった。
しかし、その話がなぜか広まった。
剣神セレスティアに挑めば、剣の極みに触れられる。
剣神に一太刀でも届けば、歴史に名が残る。
剣神に稽古をつけてもらえば、武名が上がる。
剣豪たちの間で、妙な熱が生まれた。
それは信仰ではない。
だが、危険な意味づけだった。
祀るな、と言った。
願うな、と言った。
商売に使うな、と言った。
では、挑むのはどうか。
剣士たちは、そこに抜け道を見つけたのである。
白樹の森の記録室。
ルシェル・クラルテ・アルヴァレインは、各地から届いた報告書を読んでいた。
表情は険しい。
ミレーヌ・エトワール・アルヴァレインは、その隣で別の手紙を読んでいる。
セレスティアは窓際に立っていた。
背には黒星。
左腰には閃白。
背には解白。
今日も剣は静かだった。
ルシェルが、最初の報告書を読み上げる。
「人間王国北部流剣術、ガレオス・ラグナ。剣神セレスティアへの一合願い」
次の紙。
「草原諸族、双月剣のハルバ。剣神と馬上剣で手合わせ希望」
次の紙。
「海の民、潮断ちのメルカ。水上足場での剣技比較希望」
次の紙。
「山の隠れ里、岩割りのトウガ。大剣同士の試し合い希望」
次の紙。
「人間王国王都剣術院、若手剣士一同。剣神セレスティア公開稽古希望」
セレスティアは、少しだけ目を閉じた。
「なぜ、こうなりますの」
ミレーヌが、手紙を一つ持ち上げる。
「こちらには、剣神様の一太刀を見れば一生の財産になる、と」
「財産にしないでください」
ルシェルが、さらに読み上げる。
「剣神に挑んだ剣士として記録に残りたい、と明記している者もいます」
セレスティアは、顔を上げた。
「それは駄目です」
「はい」
「わたくしへ挑んだことを、武名や家名の飾りにする流れです」
「はい」
「死者名簿の次は、剣士名簿ですか」
ミレーヌが苦笑した。
「お姉様、笑えません」
「はい」
黒星が低く鳴った。
『斬るか』
「斬りません」
閃白が澄んで言う。
『濁りはありますが、邪ではありません』
「分かっています」
解白が淡く告げる。
『剣神挑戦欲。名誉欲、技術探求心、畏敬、競争心の混合』
「分析しないでください」
ルシェルは真面目に記録しようとしていた。
セレスティアが見た。
ルシェルは筆を止めた。
そこへ、アウレリウス王が入ってきた。
王妃エルフィリアもいる。
王は報告書の山を見た。
「来たか」
セレスティアが問う。
「想定していたのですか」
「いずれ来るとは思っていた」
「なぜです」
「剣を振る者は、強い者を見ると試したくなる」
ゴルドの通信が、突然開いた。
「当たり前だ」
「親方」
「剣士なんざ、そんなもんだ」
「親方まで」
「ただし、馬鹿が多い」
「そこは否定しませんが」
ゴルドの背後には、バルドもいた。
バルドが静かに言う。
「剣神セレスティアに挑む、という行為自体が商品化、名誉化する危険があります」
「はい」
「勝敗以前に、挑戦した時点で看板になります」
「はい」
「そのため、個別に受けるべきではありません」
セレスティアは頷いた。
「受けるつもりはありません」
ゴルドが鼻を鳴らす。
「全員、工房の裏で炉掃除させろ」
「それは別の罰です」
王妃が静かに言った。
「剣士たちを完全に拒絶すると、別の形で騒ぎになります」
セレスティアは母を見た。
「どうすれば」
王妃は、少し考えてから言った。
「公開稽古ではなく、公開講話にしなさい」
「講話」
「はい」
「剣神に挑むのではなく、剣を持つ者が何を背負うべきかを話す場です」
ルシェルが筆を取った。
「剣神セレスティアによる剣士向け講話」
セレスティアは少しだけ嫌そうな顔をした。
「講話をするのですか」
王が言う。
「一度だけだ」
「一度」
「各地の代表剣士を集める」
「はい」
「手合わせはしない」
「はい」
「ただし、剣を抜くとはどういうことかを示す」
「示す」
王は静かに言った。
「お前は、邪神を斬った」
「はい」
「死者の眠りを汚す術式も斬った」
「はい」
「だが、人の名誉欲を斬るためには剣を抜かない」
「はい」
「それを、剣士たちに見せよ」
セレスティアは、しばらく黙った。
ゴルドが通信越しに言う。
「バカ姫」
「はい」
「いい機会だ」
「何のですか」
「剣士どもに教えろ」
「何を」
「剣は、抜けばいいもんじゃねぇってことだ」
セレスティアは、静かに頷いた。
「分かりました」
そして、七日後。
邪神戦争記録所の外縁広場に、世界中の剣豪たちが集まった。
人間王国北部流のガレオス・ラグナ。
草原諸族の双月剣ハルバ。
海の民の潮断ちメルカ。
山の隠れ里の岩割りトウガ。
王都剣術院の若手剣士たち。
ドワーフの斧剣使い。
竜人の槍剣士。
砂漠の曲刀使い。
森の短剣術士。
それぞれが武名を持ち、それぞれが自負を持っている。
広場には、観客も集まった。
ただし、記録所側は明確に掲示を出した。
剣神セレスティアへの挑戦会ではない。
公開試合ではない。
武名獲得の場ではない。
剣士向け講話である。
手合わせ希望は受け付けない。
祈願、供物、記念札販売を禁ずる。
飯は中庭で食え。
最後の一行は、ゴルド案である。
セレスティアは、広場の中央に立った。
黒星。
閃白。
解白。
三振りの神剣を携えている。
ただ、それだけだった。
剣を抜いてはいない。
剣豪たちは、息を呑んだ。
真神格の現世神。
剣神セレスティア。
邪神を斬った存在。
だが、目の前にいるのは、静かな少女の姿をした剣士だった。
ガレオス・ラグナが一歩前に出た。
「剣神セレスティア」
「はい」
「まず、非礼を詫びる」
セレスティアは少し意外そうにした。
「非礼」
「我らは、剣を求めるあまり、あなたを試合相手として見た」
「はい」
「しかし、ここへ来て記録所を読んだ」
「はい」
「あなたは、剣を抜く相手を選んでいる」
「はい」
「ゆえに、今日は聞きたい」
「何を」
ガレオスは深く頭を下げた。
「剣神にとって、剣とは何か」
広場が静まった。
セレスティアは、ゆっくり周囲を見た。
剣豪たち。
若い剣士たち。
記録官。
子どもたち。
ゴルド。
バルド。
ルシェル。
ミレーヌ。
王。
王妃。
皆が見ている。
セレスティアは、口を開いた。
「わたくしにとって、剣は願いを叶えるものではありません」
風が吹く。
「名誉を得るものでもありません」
「武名を刻むものでもありません」
「誰かを従わせるものでもありません」
「自分の強さを証明するものでもありません」
若い剣士の数人が、息を呑んだ。
セレスティアは続ける。
「剣は、終わらせるものです」
「終わるべきものを、終わらせるものです」
「邪神を斬ったのは、邪神の存在がこの世界の理を侵し、死者の眠りを奪い、生者を素材にしていたからです」
「死者残響を汚す術式を斬ったのは、眠った者を偽名で縛ろうとしたからです」
「ですが、人の欲や迷いを、わたくしの剣で斬ることはしません」
「それは、法と記録と教育の仕事です」
ルシェルが静かに記録している。
セレスティアは、剣豪たちへ向き直った。
「あなた方は、剣を持つ者です」
「ならば、剣を抜かない力を持ってください」
広場が静まる。
「強くなれば、斬れるものは増えます」
「斬れるものが増えれば、斬ってよいと錯覚します」
「ですが、斬れることと、斬ってよいことは違います」
「剣士が最初に学ぶべきは、斬り方ではありません」
「斬らない理由です」
ゴルドが、腕を組んで黙って聞いている。
バルドも、真剣な顔だった。
セレスティアは黒星の柄に手を置いた。
剣豪たちの目が動く。
だが、セレスティアは抜かない。
「この剣を抜けば、多くのものを斬れます」
「ですが、今日は抜きません」
「あなた方は、邪ではない」
「死者の眠りを汚してもいない」
「魂の座を侵してもいない」
「世界の理を破ってもいない」
「ただ、剣を知りたいだけです」
「ならば、わたくしが剣を抜く理由はありません」
若手剣士の一人が、思わず声を上げた。
「ですが、一合だけでも見たいのです!」
周囲の剣士たちが、その若者を見る。
若者は赤くなったが、引かなかった。
「剣神の剣を見ずに帰れと言われても、納得できません!」
セレスティアは、その若者を見た。
怒らなかった。
「あなたは、剣神の剣を見たいのですね」
「はい」
「なぜ」
「強くなりたいからです」
「なぜ強くなりたいのですか」
若者は詰まった。
「それは」
「名を上げるためですか」
「違います」
「誰かに勝つためですか」
「それもあります」
「では、誰を守りたいのですか」
若者は、黙った。
セレスティアは続ける。
「答えられないなら、まだ剣神の剣を見る必要はありません」
若者の顔が歪んだ。
だが、セレスティアの声は厳しくない。
「強くなりたいという気持ちは、悪ではありません」
「はい」
「ですが、強さの行き先を持たない剣は、いずれ誰かを傷つけます」
「はい」
「まず、それを考えてください」
若者は、深く頭を下げた。
「はい」
草原諸族のハルバが笑った。
「厳しいな」
セレスティアはハルバを見た。
「そうでしょうか」
「剣を抜かずに負かした」
「負かしていません」
「いや、負けただろう」
若者は、顔を赤くしたまま、しかし小さく頷いた。
「負けました」
広場に、少しだけ笑いが起きた。
だが、馬鹿にする笑いではない。
学んだ者を見る笑いだった。
海の民のメルカが問う。
「剣神セレスティア」
「はい」
「では、我らは何を見ればよい」
「記録所を見てください」
「記録」
「はい」
「死者名簿」
「はい」
「三賢者の記録」
「はい」
「失敗事例」
「はい」
「聖遺物詐称品まで?」
「はい」
セレスティアは、はっきり言った。
「剣士が見るべきものは、勝った記録だけではありません」
「失敗も見てください」
「欲で汚れた記録も見てください」
「死者を利用した者の記録も見てください」
「剣士は、力の使い方を間違えた時に何が起きるかを知らなければなりません」
山の隠れ里のトウガが腕を組んだ。
「剣の稽古ではなく、記録の稽古か」
「はい」
「面白い」
「面白くはないかもしれません」
「いや、面白い」
トウガは笑った。
「剣豪どもを集めて、記録を読ませるとはな」
ゴルドが後ろから言った。
「読め。馬鹿ども」
剣豪たちが振り返る。
ゴルドは腕を組んでいた。
「斬ることしか頭にねぇ剣士は、すぐ死ぬか、誰かを殺す」
誰も反論しない。
ゴルドは続ける。
「剣を見たいなら、まず死者名簿を読め」
「誰が死んだか知れ」
「何を守れなかったか知れ」
「何を終わらせたか知れ」
「それから飯を食え」
最後の一言で、少し笑いが起きた。
だが、ゴルドは真顔だった。
「腹が減った剣士は、判断が鈍る」
王妃エルフィリアが静かに頷いた。
「その通りです」
セレスティアは、もう驚かなかった。
その後、剣豪たちは記録所へ入った。
最初は、どこか不満そうだった者もいる。
剣神の剣を見るために来たのに、死者名簿を読むことになったのだから当然だった。
だが、読み始めると空気が変わった。
剣で死んだ者。
剣では救えなかった者。
補給路で倒れた者。
封印杭を運んで死んだ者。
名も分からないまま、役目だけ残った者。
剣豪たちは、無言になった。
王都剣術院の若手剣士たちは、ヴァルグレイン事件の記録の前で立ち止まった。
名誉欲が死者の場所を奪おうとした記録。
挑戦して武名を得たいと思っていた自分たちに、刺さったのだろう。
ルシェルが説明する。
「死者の名は、家名の飾りではありません」
若手剣士の一人が言った。
「剣士の武名の飾りでも、ないのですね」
「はい」
「剣神に挑んだ、と言えば名が上がると思いました」
「はい」
「それも、同じですね」
ルシェルは少し考えた。
「似ています」
若者は目を伏せた。
「恥ずかしいです」
「恥じるだけで終わらせないでください」
「はい」
「次に何をするかを考えてください」
「はい」
別室では、草原のハルバが干し肉騒動の掲示を読んで笑っていた。
「干し肉に加護はない。ただし空腹は避けられる」
海のメルカも笑う。
「剣神殿の理は分かりやすいな」
案内役の記録官が即座に言う。
「剣神殿ではなく、セレスティアです」
「ああ、そうだった」
ハルバは訂正した。
「セレスティアは、干し肉の神ではない」
「はい」
その頃、セレスティアは中庭にいた。
手合わせを避けるためでもある。
剣豪たちが記録所を見ている間、彼女は王妃の用意した食事を取っていた。
パン。
スープ。
果実。
セレスティア用保存食。
ゴルドが横に座る。
「どうだ」
「何がですか」
「剣士ども」
「思ったより、素直でした」
「剣士は馬鹿だが、真っ直ぐな奴も多い」
「親方は剣士が嫌いなのですか」
「嫌いじゃねぇ」
「では」
「面倒くせぇ」
セレスティアは少し笑った。
「分かる気がします」
ゴルドは保存食を一枚かじった。
「硬さはどうだ」
「保存食として適切です」
「まだ逃げるか」
「逃げていません」
「硬いと言え」
「硬いですが、美味しいです」
「よし」
ゴルドは満足そうだった。
午後。
剣豪たちは、再び広場へ集められた。
手合わせはしない。
だが、セレスティアは一つだけ見せることにした。
剣を抜くのではない。
剣を納める所作だった。
広場の中央に、一本の木杭が立てられた。
ただの木杭である。
セレスティアは黒星へ手をかけた。
剣豪たちが息を呑む。
空気が張り詰める。
しかし、セレスティアは抜かなかった。
ゆっくりと手を離した。
それだけだった。
若い剣士たちは困惑した。
ガレオスだけが、目を見開いた。
「今のは」
セレスティアは言った。
「斬れると判断しました」
「はい」
「ですが、斬る理由がありませんでした」
「はい」
「だから、抜きませんでした」
広場は静かになった。
「これが、今日見せられる剣です」
ハルバが、ぽつりと言った。
「抜かない剣」
セレスティアは頷く。
「はい」
「地味だな」
「はい」
「だが、難しい」
「はい」
ガレオスが深く頭を下げた。
「学びました」
他の剣豪たちも、次々に頭を下げた。
王都剣術院の若手剣士たちも、深く頭を下げる。
セレスティアは、それを見て言った。
「剣を学ぶなら、記録所へ来てください」
「はい」
「死者名簿を読んでください」
「はい」
「失敗事例を見てください」
「はい」
「そのうえで、自分の剣を何のために使うのか考えてください」
「はい」
「それでもなお、斬るべきものがあるなら、その時に抜いてください」
剣豪たちは頷いた。
その日の夕方。
広場には、一つの新しい掲示が増えた。
剣神セレスティアへの手合わせ申請は受け付けない。
剣士はまず記録を読め。
死者名簿を読め。
斬れることと、斬ってよいことは違う。
剣を抜かない力を持て。
飯を食え。
最後の一文は、やはりゴルド案だった。
ルシェルは、その下に整文を加えた。
剣術修行者は、邪神戦争記録所において、死者名簿、失敗事例、剣神非信仰令、死者名簿保全規則を閲覧し、武力の扱いに関する責任を学ぶこと。
ゴルドはそれを見て言った。
「長い」
ルシェルは答えた。
「必要です」
「横に短いのがあるからいい」
「はい」
白樹の森へ戻った夜。
セレスティアは食堂で夕食を取っていた。
ミレーヌが嬉しそうに言う。
「お姉様、今日は誰も斬らなかったのですね」
「はい」
「剣も抜かなかった」
「はい」
「でも、剣士たちは学んだ」
「たぶん」
ルシェルが言う。
「記録所の利用申請が増えそうです」
「剣士たちの?」
「はい」
「よいことです」
「ただし、手合わせ希望は全て拒否します」
「お願いします」
王妃が、セレスティアの皿に保存食を一枚置いた。
「今日はよく話しました」
「はい」
「食べなさい」
「はい」
セレスティアは保存食を噛んだ。
硬い。
「硬いですが、美味しいです」
ミレーヌが笑った。
「保存食として適切、ではないのですか」
「今日は、こちらでよいです」
食堂に笑いが広がった。
その頃、グランガルドのゴルド工房では、看板が更新されていた。
剣神に挑むな。
まず死者名簿を読め。
斬れることと、斬っていいことは別だ。
バカ姫は剣を抜かなかった。
それが今日の稽古だ。
飯を食え。
バルドは看板を見て、静かに頷いた。
「これは良い看板です」
ゴルドが鼻を鳴らす。
「当然だ」
「父上にしては、かなり教育的です」
「俺はいつも教育的だ」
「そうでしょうか」
「そうだ」
工房の弟子たちは、看板を読みながら笑っていた。
だが、その言葉は残った。
剣神に挑むな。
まず死者名簿を読め。
斬れることと、斬っていいことは別だ。
その日以降、邪神戦争記録所には剣士たちの姿が増えた。
彼らは剣を置いて、名簿を読む。
失敗事例を見る。
記録官に質問する。
そして、中庭で飯を食う。
剣神セレスティアに挑むためではない。
剣を抜かない理由を学ぶために。
それは、邪神戦争後の世界にとって、小さくない変化だった。




