カップラーメンと同じ……
「これは……キャラメイクで一番大事なのは顔だと思うんだけどさ」
【毒】のパラメーターの割り振りが終わって、次はキャラメイクで合っていはいたんだけど、予想外の事が起きた。見た目は装備で変化するので、他の人と違うようにするのは顔だと俺は思ってる。半魔という種族でも顔の形ぐらいはと思ってたのに、鏡に写っている姿に驚いた。
「何でガスマスク? 俺の職業は【毒】なのに、対策するための防具じゃないの? 逆だろ?」
頭装備のガスマスクが固定装備になっていて外れない。顔で変更出来るのはガスマスクからでも見える目の部分だけ。髪型はガスマスクが頭全体を覆う形になっているから無理。丸い形で格好悪いぞ。
「半魔とバレないように顔を隠すためだとしても、この方が目立たないか? ……ここまで来てグダグダ言っても仕方ないか。これに合わせた体型にするべきだよな。【毒】という職業柄、細身にするか。性別も男のままで……」
装備は武器が一つ。防具は頭、上半身と下半身。職業次第では盾もある。後はアクセサリーが二つまで。頭装備のガスマスクもとい【毒抑えのマスク】、体は【旅人の服】と【旅人のズボン】と防具の防御の数値は合計して10。【毒抑えのマスク】が固定とも合って+6。【旅人の服】と【旅人のズボン】は各+2。武器は【木彫りナイフ】で+2。
ヤク中 性別 男
右手 木彫りナイフ +2
左手 なし
頭 毒抑えのマスク +6
上 旅人の服 +2
下 旅人のズボン +2
アクセサリー フード付きマント
アクセス なし
アクセサリーは見た目が変化するだけの装備から自由に一つだけ選べた。というわけで、選んだのがフード付きマント。フードがあればまんまるの頭を隠す事が出来るだろうしな。
「よし!! キャラ作成終了。ようやく【求】の中にダイブだ」
キャラ作成終了に触れれば、【求】の世界へ。暗転するのと同時に一瞬だけど、ズキッと頭に痛みが走る。【求】の不具合とかじゃなく、VRゲームのフルダイブでは、頭が現実とその世界への切り替えのために必要。だから、これが苦手でVRゲームが出来ない人も存在するらしいけど……
★
「おっ……おおっ!! 再現度が半端ない!! 現実と一緒だろ」
目覚めた場所は街じゃなくて、森の中。【毒】の詳細にも森に住んでいるみたいな言葉が書かれていた。
それにしてもグラフィックがヤバい。歩くのもそうだし、草や木の手触りもリアルだ。木と木の間の木漏れ日もちゃんとしている。
「けど、体が重いような……昔と同じぐらいか? システムの評価は太鼓判を押されてよな」
VRゲームをするのが久し振りだって事もあるのか、動きが鈍い。敏捷も数値が低いと言われたら仕方ないけど、段々とそれが酷くなっているような……
「取り敢えず、最初にするべき事は街へ向かう事だよな? 目印となるのが一つも無いんだけど」
舗装された道があるわけでもなく、看板もない。森の中だか周囲にあるのは木ばかり。MAP機能があって、大体の場所が分かれば良いんだけど……
「【メニュー】をよろしく」
【メニュー】と声を出すと、文字列が目の前に出現した。そこには【装備】や【スキル】、【道具】と選べる物があり、【MAP】も含まれていた。
「あったあった。【MAP】を表示して……」
【MAP】画面はスマホぐらいの大きさ。俺が今いる場所は【原初の森】という場所で、【イチバン】という街が北西方向に記されている。矢印が俺の向いてる方向なんだと思うんだけど、大まかな感じの地図だから、距離なんかは把握出来ないみたいだ。
「ゲーム内のMAPだし、そこまで距離がない事に期待したいところ……はっ!!」
突然、目の前がブラックアウトしたかと思えば、ゲームオーバーという文字。その下に【最初からやり直す】か【ログアウトする】の選択肢が出てきた。
「えっ? 敵から攻撃された? 不意討ちされたせいで、一撃で倒された?」
何が起きたのか分からない。分かるのは死んだという事。不意討ちだとしても、敵は一度も表示されなかったんだけど……
「ここは【最初からやり直す】だろ」
【最初からやり直す】を選ぶと、森の中から最スタート。街にも行けてないから、この場所から始まるのは仕方ない。
「ん? 若干場所が違うような気がするのは……似た景色ばかりだから」
【MAP】を確認する前に、周囲を見回す。魔物が隠れていないか……さっきは調べている途中で攻撃されたかもしれないし。
「……いないよな? ガスマスクのせいで視界が狭いのが駄目じゃないのか?」
場所がさっきと違っているのかを【MAP】で確認。位置は……変わってない。ほんの僅かな違いで景色が違って見えただけなのかもしれないか……
「……って、また!!」
二回目のゲームオーバー。敵がいないのは確認したぞ。死ぬ時は【MAP】を見た後で……それをするとバグが発生する? 【毒】に関する掲示板に書かれてたコメントはこれを意味してたのか!!
「街に着けば変わるかもしれないか。一応、街の方向は分かってるわけだしな」
ゲームオーバー時、再開するのは最後に訪れた街や村。街に着けば、森から始まる事はないし、【MAP】も本来は街で貰う物なのかもしれない。そうだとすれば、コメント通り、【MAP】不可に修正して欲しいところだぞ。
「そうと決まれば……また違って見えるんだけど、立ち位置が別!!」
三回目の始まりは木と木の間に距離があって、そこに草むらが茂っている。さっきまでは無かったはず。けど、【MAP】で方向を確認するだけでも、同じ事の繰り返しになるんだよな。
「ここは真っ直ぐ進んでみるか。二度目も向きは同じだったし、舗装された道にぶつかるかもしれない」
前進あるのみだけど、徐々に体が重くなっていくのは同じなんだよな。これも街に着けば変わってくれると助かるんだけど……
「……実際、何が原因なんだ」
【MAP】なしで進んでいたのに、三度目の死亡。今回も敵と遭遇していないぞ。何かおかしい事なんてあったか?
「ん……毎回、体が重くなっていくのはおかしくないか? そうなっていくのに説明があったような……HPが減っていくのが原因だった気が……」
HPが減少すれば、敏捷の数値が減る。それは動きが鈍くなるのだとすれば、俺が体験したのと一緒だよな?
「ステータスを確認してみるか? こうなってくると同じ事の繰り返しになるからな」
開始して、すぐに【メニュー】から【ステータス】を確認。
「HPが減っていくんだけど!! 何々……十秒毎にHPが1ずつ減少していく……【毒?】を体に取り込んでるところから始まってるのか!!」
原因判明。スキル【毒?】は使用出来ず、取り込んでいる最中って事だ。それも一つじゃなく、二つとも。もう一つの【毒?】も何か体に異変が起きてるのかもしれないんだけど……
「【MAP】が原因じゃなかったのか。調べている間に時間が経過してただけ……どうするんだよ!! 街まで結構距離があったよな」
俺のHPが20だから……約三分弱。その時間で街に着くのは無理じゃないか!! コメントの『カップラーメン』の意味をなんとなく理解してしまったぞ。
「……そうこう考えてる間に死亡だよ」




