毒を吐き出せません!!
「お、おい!! こんな時に幻覚なんて掛からないでくれよ」
ポイと最初に出会った【キノコ採取】のクエスト時、【夢キノコ】を食べていて、俺に噛みついてきたんだ。あの時は幻覚を見ていて、俺に噛みついてないな。噛みついたけど、それが無くても変わらない。
「心配。なし。危ない。よ」
ポイの事を心配するあまり、【ガナナーガ】から目を反らしてしまい、【噛みつき】が来た事に反応が少し遅れてしまった。そこをポイが俺を押し出し、事なきをえたわけなんだけど……
「た、助かった。ポイも幻覚は見てないんだな」
俺の体の毒や【ガナガナ蛇】の毒も効果がないぐらいだから、【夢キノコ】の幻覚も、ポイにとっては何ともないみたいだ。
「そんな事よりも【薬酒】は……消えてる!! 上手く行ったのか!?」
俺の方へ【ガナナーガ】が【噛みつき】をしたのなら、上手い具合に【薬酒】の樽ごと呑み込んでくれるはず。
それは成功したみたいで、【ガナナーガ】の青色の肌が酔ったみたいに赤色に変貌していく。そして、湯気のような物が【ガナナーガ】の体から立ち込めていき、しゃっくりみたいに度々体を揺らしている。
「……成功だよな? これで攻撃されなくなったのか?」
折角、黒鉄さんがくれた【夢キノコ】を無駄に消費してしまった以上、【ガナナーガ】が酔いから醒める前に、ここで何とかするしかない。
「こうなったら、ガナナーガをどうにか毒にするしかない」
【ガナナーガ】が酔っているとはいえ、無闇に近付けば攻撃を受けるかもしれない。弾き返されてしまったけど、ここでも【投げナイフ】を使うしかないな。ポイも【投げナイフ】で攻撃してくれたら、ダメージを与える事は出来るはずだ。
「頭に……当たれ!!」
そこまで上手く当たるわけがなく、【ガナナーガ】の横腹に突き刺さった……刺さった!!
「もしかして、薬酒のお陰で防御力が下がってる……だけじゃないぞ。毒の強さも変化したのか?」
【ガナナーガ】の体は赤色のままだけど、湯気と共に泡も浮き始めた。攻撃が成功したタイミングの泡……という事は毒状態にさせる事も出来たって事だ。
「これは大きい!! 【毒(付与)】だけじゃなく、【毒(継続)】も付ける事が出来れば、【ガナナーガ】をソロで倒せるんじゃないか!!」
【毒(継続)】も付着出来たのか泡の数が格段に増え、【ガナナーガ】が悶え苦しみ出した。【なぎ払い】や【噛みつき】をするけど、その場から動けずに俺達に当たる事はない。
「弱める事は可能……といっても、ここまで楽になるもんか」
毒が効いたのが一番大きいかも。これで【ガナナーガ】が【毒液】を吐くところに俺が向かえばいい。
「おっ!! 【毒液】を吐くモーションに入った」
【ガナナーガ】の顔がある方向に俺の体を移動させて、【毒液】を浴びれば、後は【薬草(貼用)】でHPを回復すれば何の問題もない。
「吐くふりだけかよ!! もしかして……吐けないのか?」
【ガナナーガ】は【毒液】を吐いてるみたいだが、中身が出てこない。これは【薬酒】のせいで毒が無くなってるので……だから、俺の毒に効果があった……
「ちょっと待った!! 爺さんのクエストより、毒の方が重要なんだけど。これは……【薬酒】の効果が消えるまで待つしかないのか? 【毒(継続)】を付けたのが失敗だったかも」
こんな展開になるなんて予想してなかった。【ガナナーガ】を倒すにしても、毒を取り込んでから。わざと攻撃を受けて、死ぬというのも流石に無理がある。
「……って、待った!! そこで攻撃なんてしようもんなら」
ポイが俺に協力するとばかり、【投げナイフ】を持った。ここで【ガナナーガ】にトドメを刺すのは止めてくれ。【ガナナーガ】の眉間に刺さったナイフは時間と共に消え、同じ箇所を狙ったなら、スマッシュHITになってしまう。それは危険だ……と、ポイが止まってくれるわけもなく……
「……はっ? 何処に向けて投げ……」
ポイが投げたのは【ガナナーガ】よりも上。ミスをしたわけじゃなく、【ガナナーガ】を狙っている巨大な鳥型の魔物に。そのナイフは羽ばたきによって撃ち落とされ、巨大鳥の足に【ガナナーガ】が捉えられた。
「もしかして……あれが爺さんの言ってた、孫の仇か」
このタイミングで登場するか!! しかも、俺とポイを無視して、【ガナナーガ】を持ち逃げしようとしている。
どういう状況なんだ? 巨大鳥が横取りしただけで、もう一度【ガナナーガ】との戦闘をやり直し……じゃないよな。これもクエスト進行の一つなら、【ガナナーガ】が奪われる事は決定で……毒は手に入らない!!




