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海中

※ミーナSideに戻ります

 海王様とともに転移した先は、広くて何もない部屋だった。

「我が屋敷へようこそ。ここは転移専用の部屋だ。屋敷内を案内しつつ移動するとしよう」


 扉を開けて廊下に出ると、窓の外にはたくさんの魚が泳いでいた。

「え、お魚?!」

「この階は海面下なのでな。お前のために用意した部屋からも海の中が見えるぞ」

 どうなっているのかよくわからないけど、とにかくすごいと思った。


 海の上にある階へ行くと、はるかかなたに陸地が見える。

「この屋敷には結界が張ってあるので、普通の人間には見えぬ。だが、ごくまれに見える者がおってな、各地でさまざまな伝説となっておるらしい」

 なんだか楽しそうに話す海王様。海に突然お屋敷が現れたらさぞかし驚いただろうなぁ。



 一通り案内された後、私が寝泊りする部屋に案内される。

 部屋の前では2人の海の民の女性が立って待っていた。

「この者達がお前の世話係だ。何があれば遠慮なく言うとよい」

 海王様がそう言って紹介すると、2人は丁寧なお辞儀をしてくれた。

「「 ミーナ様、よろしくお願いいたします 」」

「こ、こちらこそよろしくお願いします!」


 部屋に入ると窓の外は本当に海の中で、たくさんの魚が泳いでいく。

「おや、窓の外にもそなたを歓迎しておる者が来ているな」

 海王様にそう言われて窓を見ると、魚よりも大きな生物がこちらをのぞいていた。

「こ、これ、何ですか?」

「イルカという生き物だ。人間界の陸地近くにもよく現れるはずだが、初めて見たか?」

「はいっ!」

 図鑑では見たことがあるけれど、実物は思っていたよりはるかに大きかった。


「さて、夕食までまだ時間があるので、しばらく休むといい。何かあればベルを鳴らして世話係を呼ぶように」

 そう言って海王様と世話係の2人は部屋を出て行った。


 アイボリーの壁紙に複雑な文様のじゅうたんが敷かれた部屋は、シンプルでなんだか落ち着く感じがする。

 そして窓の外のイルカはいつの間にか増えていた。

「しばらくここにいるので、これからよろしくお願いしますね」

 イルカ達にも挨拶したら、まるで返事するように頭を上下に振ってくれた。



 ベッドにゴロンと横になり、少しうとうとしてから目が覚めると、世話係の女性が夕食の支度が整ったと呼びに来た。

 案内されて食堂に通される。テーブルにつくのは私と海王様の2人きり。


「改めて我が屋敷へようこそ」

 海王様がそう言ってグラスを掲げるので、私も真似して果実水の入ったグラスを掲げる。

「しばらくの間、よろしくお願いいたします」


 食事が始まる前に、私は海王様に言わなければならないことがあった。

「あの、海王様。大変遅くなりましたが、海辺での祝福を本当にありがとうございました。おかげで背中の傷はきれいになくなりました」

 海王様に頭を下げる。

「気にするな。お前は他ならぬ魔王の愛し子だからな。それに礼なら酒をもらっている。あれはどれも美味かった」

 笑う海王様。

「喜んでいただけて何よりです」

 またそのうちに賢者様と相談してお贈りしようかな。


「今後のことだが、数日は体内の魔素を抜くため何もしないから、この屋敷でくつろいでくれ。食事は基本的に俺と一緒だが、俺が不在の時は部屋に運ばせよう」

「わかりました」

 私はうなずいた。

「ああ、それからここではくだけた話し方でいいぞ。俺もこんな感じだしな。食事もマナーなんか気にせずに楽しんでくれ」

「はい、ありがとうございます!」

 笑顔で答えた。

次回は4/23(金)に投稿予定です。

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