買い物
動物園は思っていた以上に広かった。
以前行った植物園も広いと思ったけれど、それよりはるかに広い。
賢者様の説明によると、動物達がゆったりと暮らせるようにそれぞれのエリアを広めにしてあるそうだ。
いろんな種類の動物を見たけれど、中でも鳥に一番心惹かれた。
姿も色も大きさも種類によって全然違うし、鳴き声もさまざまで見ていて飽きない。
「園内のショップに鳥の図鑑もあるから買って帰るか?」
あまりにじっくり観ていたものだから賢者様がそう言ってくれたけれど、首を横に振った。図鑑が決して安いものではないことは知っている。
「いいえ、王宮の図書室にも鳥の図鑑があったと思うので、必要ならそこで見ることにします…あ、そうだ!それで思い出しましたけど、いつか普通の図書館にも行ってみたいです」
「王宮の図書室ではダメなのか?」
不思議そうな顔をする賢者様。
「えっと、王宮の図書室には貴重な本がたくさんありますけど、メイド頭さんが貸してくれるような本は置いていないので…」
王宮の図書室には難しそうな小説全集とかはあったけど、流行の小説とかはさすがになかった。
賢者様が少し考えてから答える。
「図書館へ行きたいのならメイド頭に頼んでみよう。私より詳しいだろうからな。もちろん護衛はつけることにはなるだろうが」
護衛ってことはきっと勇者様だから、これはこれでいい機会かも。賢者様には勇者様とメイド頭さんがお付き合いしていることはまだ内緒だから言えないけれど。
「ああ、それから王宮ではその手の本のことは話さないよう方がいいだろう。陛下が王宮にミーナ専用の図書室を作りかねないからな」
よくわからないけど、気をつけなければ。
動物園内のベンチに腰掛けて賢者様が買ってきてくれた果実水を口にする。よく冷えていて美味しい。
「ミーナ、せっかくの休みなのに研究の話で申し訳ないんだが、私の方である程度仮説を組み立てていて、魔道具工房の親方殿に見てもらって意見が欲しいと考えている。近いうちに魔王城へ行く算段をつけてもらえるだろうか?」
「わかりました。あ、魔王城へ行くのなら、魔王様へハーブのシロップのお礼に何か持って行きたいです」
通信の魔道具で御礼は伝えていたけれど、何かお返しできたらいいなと思っていた。
「ハーブのシロップ?」
「先日、風邪をひいた時にのどにいいハーブのシロップをいただいていたんですよ。昔から喉がおかしいと出されていたものなんです」
そういえば賢者様に話してなかったかも。
「そうだったのか。では今日の帰りに何か見繕ってみようか」
「はい!」
その後はもう少しだけ動物園内をまわり、ショップで私が気になった小さくてかわいい鳥の置物を賢者様が買ってくださった。
「ありがとうございます!お仕事の机の上に飾ってもいいですか?」
「もちろん。では私も同じものを買うとしようか」
そう言って賢者様はもう1つ同じものを買っていた。
「ふふふ、お揃いですね」
「そうだな」
賢者様も微笑んでいた。
動物園を出てからカフェで軽めの昼食をとり、いくつかお店をまわる。
魔王様に贈る物は、外国から輸入されたお茶ときれいな砂糖菓子を選んだ。さらに賢者様がりんごから作ったお酒を選んでくれた。
「お店でいろいろ見ながら選ぶのって楽しいですね」
「そうか。ではまた近いうちに一緒に出かけよう。他にもいろんな店があるからな」
今日はとても楽しい1日だった。
次回は4/11(日)に投稿予定です。




