お茶会
庭師さんから受け取った花の入った籠を持って移動する。
帰りに通ったら騎士団の訓練場には誰もいなかったので、少しだけホッとする。
「おかえりなさい!お花を持ってきてくれてありがとう」
聖女様の元へ戻ると、すでにお茶会の準備が整っていた。
テーブルの上には王宮の菓子職人さんが腕によりをかけたお菓子が並んでいる。
特別授業で作った聖女様のクッキーは王太子殿下と2人きりになった時に渡すそうで、内緒にするように言われた。うっかり話したりしないよう気をつけなければ。
私はメイド服のまま席につき、お茶会が始まった。
和やかな雰囲気でお茶とお菓子を楽しんでいると王太子殿下がやってきた。
「ちょっとお邪魔するよ~」
そう言いながら笑顔で席に着く。
「ミーナちゃん、先ほどの件は賢者の奴に使いを出しておいたからね。あとはよく話し合って決めるといいよ」
「ありがとうございます。お手数をおかけしてしまい、大変申し訳ありませんでした」
殿下に頭を下げる。
「気にしなくていいって。だってミーナちゃんは悪くないでしょ?」
「先ほどの件って何のこと?」
そう尋ねてきた聖女様に王太子殿下が騎士団の訓練場であった出来事を説明する。
「なんでそんな男をミーナに近づけちゃうのよ?!」
事の顛末を聞いて大変お怒りの聖女様。
私も思うところはあるけれど、この件はもう終息に向かうだけだ。
お茶会を終え、勇者様と馬車に乗る。
「ミーナ、今日はすまなかったな」
「はぁ」
今回の件で勇者様が謝る理由はない気もするけれど、彼らの指南役であるからだろうか?それとも見ていたのに止めなかったから?
申し訳なさそうな表情の勇者様には悪いとは思うけれど、今は考えごとで頭が一杯だ。
あまり会話したくないという態度の私に気付いたのか、そこからは何の会話もないまま帰宅した。
「おかえり、ミーナ」
「ただいま戻りました。賢者様、お話があります」
帰宅時の挨拶代わりの抱擁を拒んで賢者様に話しかける。
「…わかった」
着替えもせずにメイド服のままサロンへ移動する。勇者様もついてきたけれど、座らずに壁際で立ったままだ。
「王太子殿下からの使いが来て、今日の顛末はすでに把握している。それでミーナはどうしたい?」
賢者様が王太子殿下からの書簡をテーブルの上に置く。
「今回のお見合いの件、お断りさせていただきたいと思います。男性というより、人としてあの方は尊敬できる方ではないと思いましたから」
うなずく賢者様。
「わかった。明日にでも先方に話をしてこよう。それでミーナは何を怒っている?」
「別に怒ってはいません。少し機嫌が悪いだけです」
まだ何も言っていないけれど、態度に出ているからバレバレなのだろう。
「その…ミーナの機嫌が悪い理由を聞かせてもらってもよいだろうか?」
次回は3/20(土)に投稿予定です。




