復活
勇者様に運ばれて私の部屋にたどり着くと、私専属のメイドさんが待っていた。
「おやすみ、ミーナ。よい夢を」
勇者様が降ろしてくれて頭をなでられる。
「おやすみなさい、お兄ちゃん」
最後の方はメイドさんに聞こえないように小さな声で言うと笑顔で去っていった。
「ごめんなさい!こんな夜中まで待ってなくてもよかったのに」
メイドさんに謝る。
「旦那様のためにがんばっておられたのは存じておりますから、謝る必要などありませんよ。ミーナ様がお休みになられたらすぐに私も休みます。さぁ、お着替えする前に身体をお拭きしましょうね」
がんばったっていっても、ただ動けなくて寝ていただけなんだけど。
翌日は午前中に王宮の授業があるのでいつもどおり起床したけれど、さすがに少し眠い。
「今日は午後から勇者様と剣の稽古の予定でしたけれど、お休みになさいますか?」
「勇者様がいいと言ってくださるなら、お休みにしたいです。集中力が欠けた状態じゃ怪我にもつながりかねないですし」
「かしこまりました。では後ほど勇者様にお伝えしておきますね」
身支度を手伝ってくれるメイドさんも、私より遅く寝て早く起きてるんだから、ちょっと申し訳ないと思っている。でも、それを口にするといつも
「仕事ですからどうかお気になさらず」
と言われてしまう。皆さんにあまり迷惑をかけないように気をつけなければ。
今日も賢者様を朝食にひっぱっていこうと思っていたのだが、
「今朝の旦那様はご自分で起きられて、すでに食堂へいらっしゃっておりますよ」
執事さんにそう言われた。不思議に思いながら食堂に行ってみると、本当に賢者様が座っていた。
「賢者様、おはようございます!」
食堂の入口から声をかけると、奥の席に腰掛けていた賢者様がすっ飛んできた。
「おはよう、ミーナ。その、昨夜は本当にすまなかった」
そう言って私に頭を下げる賢者様。どうやら十分な睡眠をとった賢者様は普段の状態に戻ったらしい。
「えっと、昨日は夕食の時点で半分眠っていたようですけど、覚えていらっしゃるのですか?」
「その、うっすらと…」
目をそらす賢者様。
「私を捕まえたまま眠ってしまったことも?」
「その、おぼろげながら…」
今度は視線を床に向ける賢者様。
「ぷっ、あはははは!」
なんだか情けない様子の賢者様を見て、なんだかもうおかしくて笑い出してしまった。
「ミ、ミーナ?」
「だって、賢者様がいつもと違いすぎて」
しばらく笑い続けてしまったけれど、なんとかおさまったところで無理やり表情を引き締めた。
「謝罪は受け入れます。でも、これからはあまり周囲の人達に迷惑をかけないように気をつけてくださいね?」
「…善処する」
賢者様がうなずく。
「それでは朝食をいただきましょうか」
いつものようにお屋敷の美味しい朝食を堪能する。
「それで魔王城から持ち帰った資料は読み終えたのですか?」
「なんとか一通り目を通したが、まだ解読できていない部分も多い。もしかしたらミーナの言語の加護でわかるかもしれないとは考えている」
あそこまで賢者様が熱中していたものが何なのか、私も少し興味がある。
「わかりました。私に出来ることでしたら協力させていただきますね」
次回は3/2(火)に投稿予定です。




