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賢者side:帰宅

 帰路は途中で1泊して王都にある屋敷に戻ってきた。

 馬車では2人きりだったので、ミーナとさまざななことを話した。彼女は彼女なりに考えていることを知った。

 屋敷では使用人達が総出の出迎えにミーナが笑顔で応じる。

「なんだかうちに帰ってきたな~って感じがしますね」

 そう言ってもらえることが素直に嬉しく感じた。


 この日はゆっくり休ませ、翌日の午前中は屋敷にある本でミーナの言語の加護を確認する。

 出してきた数種類の本は全部読めることが判明。ただし内容は難しいものばかりで、理解するまでにはかなり時間がかかりそうだとこぼしていた。

 午後からは王宮に連れて行き、王宮内の図書館で検証する。ここでも見せた本は読めたけれど、遺跡から発掘された石版の未解読の文字は読めなかった。

「現在使われている言語に限られるのかもしれないな」

「なるほど、それはありえそうですね」

 そしてミーナにはあえて伝えておかなかったが、王宮内で知人数名にミーナに対して外国語で話しかけるよう頼んであった。

 軽い挨拶と雑談程度だが、何の違和感もなく応対していたので会話も問題ないらしい。


 そして言語の加護については、もう1つ発見があった。

 私が製作する術具に使われる術式も言語の一種とみなされるようで、どの部分が何の役割を果たしているかがわかるらしい。

 現在は古くから存在している術具を解析して改良したり新たに作り出しているが、まだ未解読の術式も多く、そもそも何の術具か不明なものも多数ある。今後はそれらの解明に力を借りることがあるかもしれない。


 言語の加護の検証の後、国王陛下との面談の時間が取れたのでミーナとともに参上する。

 私から海王の祝福によりミーナの傷は消えたことを説明し、お礼のお酒について相談する。

「そういうことであれば可能な限り最高のものを用意しよう。揃ったら連絡する」

 国王陛下は笑顔でミーナに声をかける。

「よかったな、ウィルヘルミナ」

「はい、ありがとうございます」

 ミーナも笑顔で答えた。


 来たついでにミーナが希望する乗馬についても相談し、王宮での授業に組み込んでもらえることになった。いい乗馬教師のあてがあるそうで、話を通してくれるらしい。

 外国語の授業に関しては、当初は言語の加護を考えれば今後はやめてもいいかもしれないと考えていた。だが当面は継続することにして、陛下には何も伝えなかった。もう少しミーナの力量を確認したいし、各国の独特の言い回しや文化を知る上でも学びは必要だろう。


 帰り間際、ミーナが港町で購入した国王陛下へのおみやげを渡していた。

 その場で侍従が開封し、確認して陛下に手渡す。細かい細工が施された薄い金属製の栞で、国の花である百合の文様を見て陛下が笑顔でミーナにお礼を言いながら頭をなでていた。

 実は私も帰りの馬車の中で栞をミーナからもらっている。知恵の象徴のフクロウだった。聖女と王太子殿下にはおそろいの薔薇の文様にしたと聞いている。魔王殿へのみやげを何にしたかは教えてもらえてもらえなかった。



 剣については屋敷の庭で勇者が教えることになった。

「ミーナに剣の稽古をつけることになるとはなぁ。まぁ、おもしろいからいいけど」

 勇者が練習用の木剣を騎士団から借りてきてくれて、基礎から教えているようだ。

 はたで見ているとミーナは身体を動かすことが心から楽しいようだ。

 最初はもちろん反対するつもりだった。だが、あくまで嗜み程度にとどめるのならと思って認めた。身体を動かすことでストレス解消にもなるだろうし、集中力も身につけられると思うので、これはこれでいいのかもしれない。

次回は2/14(日)に投稿予定です。

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