新生活
ここから少女サイドがメインの新章に入ります。
私、ミーナの生活拠点は魔界から人間界に変わった。
国王陛下の姪と判明したけれど、それは公表されないことになった。
そして賢者様からは求婚されたけど、国王陛下の提案により18歳までは仮婚約ということになり、そちらも当面は公表はしないことになった。
これらは私の意志を尊重するために皆さんが決めてくれたこと。そのことにはとても感謝している。
「君に無理はさせたくない。だから気になることがあったら、いつでも話して欲しい」
賢者様はそう言ってくれた。
これらのことを伏せている状態である私の人間界における立ち位置は、勇者パーティが旅の途中で保護して加わったサポートメンバーということになっている。実際に拾われているから、嘘というわけではないんだけど。
そして勇者パーティ自体は国王陛下の直属という扱いだそうなので、もしも私の素性がどこかで漏れたとしても守られている…ということらしい。
つまり私の身柄は今も勇者パーティ預かりであり、保護者役である賢者様のお屋敷で暮らすことも認められた。
そんなわけで、賢者様のお屋敷に私の部屋が用意された。
今までずっと通りに面した客室を使っていたけれど、少し奥にあるお庭に面したお部屋に変わった。淡いピンクの壁紙に白で統一された家具が並ぶ。お屋敷の皆さんが私のために用意してくれたらしい。
「かわいいお部屋ですねぇ…」
魔王城でも自分の部屋はあったけど、使用人の寮だったからこんなに広くはなかったし、時々花を飾るくらいで質素なものだった。
「もし気に入らない点などございましたら、どうか遠慮なくおっしゃってくださいませ」
執事さん達にそう言われたけれど、なんだか素敵過ぎて本当に私なんかがここで暮らしていいのだろうか?と思ってしまう。
お部屋のクローゼットには、すでに服がいくつも用意されていた。
「こちらは取り急ぎ用意しました既製品でございますが、これからミーナ様のお好みのものを増やしてまいりましょうね」
そばにいた私より少し年上のメイドが言った。
そう、私専属のメイドもついたのだ。
「どうぞ、何なりとお申し付けくださいませ」
「は、はい。あの、こちらこそよろしくお願いいたします」
ぺこりと頭を下げる。
「ミーナ様、頭をお上げください。私どもに丁寧な言葉遣いは不要ですよ」
自分自身が魔王城でメイドをしていたので、こればかりはどうしても違和感があって慣れそうにない。
賢者様のお屋敷で暮らすことが決まった際にいろいろと話し合って、まずは家族として暮らすことになった。正式な婚約や結婚はまだ先の話だし、何より私自身に実感がないから。
だけど、その家族というものにも不安がある。
「でも、私には家族というものがわからないです」
私は正直な心情を打ち明けた。
「家族の形はそれぞれの家で異なるだろうから、決まったものはないと思っていい。できればこの屋敷の全員が君の家族と思ってもらえると嬉しい」
賢者様はそう言ってくれた。
血のつながりだけが家族じゃないってことなのかな?暮らしていくうちにわかるのだろうか?
そしてさらに大きな変化。
「国王陛下からミーナの護衛をしろって命令が下ったんだよね。費用は王家が全部持つそうだし、俺としてもこの屋敷は居心地がいいからありがたいかな」
勇者様が賢者様のお屋敷に住むことになったのだ。
もともと勇者様と賢者様は国王陛下直属という位置付けで、平民出身の勇者様は今まで王宮の近衛騎士団の寮に居候していたとのこと。
「護衛だから一緒にいることが多くなると思うけど、俺は好きな人いるんでミーナに恋愛感情はないからさ、まぁ兄貴ができたとでも思ってよ」
【お知らせ】
ストックがまだこころもとないので当面は1日おきの更新となります。




