興味を持つ少女
昼食はレストランやカフェなどには行かず、屋台でパンに焼いた腸詰めを挟んだものや揚げた芋や魚、クレープなどを買って公園の芝生に座って食べた。魔王城からの帰りに街で泊った際、よく屋台を利用したのでミーナもすでに慣れている。
「このあたりの屋台は、地方では見かけなかった料理もいろいろありますね」
少し時間も経って機嫌が戻ってきたミーナが食べながら言う。
「そうね、王都は各地からいろんなものが集まってくるのよ。人も文化も料理もね」
聖女がクレープを手にしながら答えた。
食後はそのまま少し休憩する。他愛もない会話が続き、穏やかな時間が流れる。
「ホント、今日はいい天気ねぇ」
会話が途切れたところで聖女が空を仰ぎ見るとミーナも空を見る。
「そうですね」
「あのね、ミーナ。大神殿の協力によりもうすぐ魔王の所在がつかめそうなの。だから私達が王都を発つのもわりと近いうちになりそうなのよ」
ミーナは真剣な表情で聖女の言葉に聞いている。
「だから、それまでに王都で気になってるお菓子の店とカフェを出来る限りまわるから、ミーナも付き合ってよね!」
私はこんな聖女にすっかり慣れているが、ミーナはあっけに取られている。
「まったく何を言い出すのやら。私は付き合わないからな」
私が言い放つと聖女はミーナの肩を抱き寄せる。
「貴方は前回の遠征の報告書作成と次の遠征準備で忙しくなるでしょ。女同士で仲良く行くから貴方はいらないの。でも今日くらいは付き合ってよね」
「ああ。今日はミーナのための外出だからな」
「あの…お2人は恋人同士なのですか?」
我々の会話を聞いていたミーナが思いがけないことを尋ねてきて絶句する。
しばらくの沈黙の後、聖女が大笑いしだした。
「あははははっ!ないない。さすがにそれはないわ」
全否定する聖女。
「でも、魔王城からの帰りも、そして今もとても親しそうでしたし…」
「まぁ、昔からの付き合いで仲間はあるけれど、恋愛感情はないわねぇ。それに私には将来を誓った人がいるの。あ、先に言っておくけど勇者でもないからね」
「え、そうなんですか?」
驚くミーナ。
「聖女の言うとおりだ。我々は旧知の仲で、パーティを組んでいるが恋愛は一切ない。単なる仕事仲間だな」
「でも、ミーナはなんで急にそんなこと言い出したのかしら?」
聖女がミーナに尋ねる。
「植物園や美術館で、ずっと手をつないだり、くっついておしゃべりしている男の人と女の人がよく視界に入ってきたんです。それと熱を出してずっとベッドにいた時、メイド頭さんが『暇つぶしにどうぞ』って小説を貸してくれて、そこにも男女のお話があったりしたんです」
それは初耳だが、いったいどんな本を貸したのか?
「ねぇねぇ、ミーナは魔王城に好きな人とかいなかったの~?」
聖女は恋愛話が大好物であることをここにきて思い出したので、私は口を挟まないことにする。
「ないですね。そもそも年が近い人もいませんでしたし」
「あら、そうなの?」
「はい、一番近くても300歳くらい離れていましたから」
恋愛話はそれ以上広がることはなかった。




