街へ出かける少女
翌日。
朝食の場に出てきたミーナは、目は赤かったが、もう泣いてはいなかった。
「おはようございます。その…昨夜はごめんなさい。泣きながら眠っちゃったみたいで…」
席につく前に謝りに来たミーナの頭をなでる。
「気にするな。誰だって泣きたい時くらいある。今日は気分転換を兼ねて王都の街へ出てみようか。案内するぞ」
「はい」
ミーナは小さくうなずいた。
朝食後に身支度を整えていると、私服姿の聖女が我が家へやってきた。
「昨日のこと、王宮で聞いたの。だから気分転換のためにミーナを外へ連れ出そうと思って来たんだけど」
「考えることは同じだな。私もこれから連れ出だそうとしていたところだったんだが」
「あら、じゃあ私も一緒に行くわ。人数が多い方がにぎやかで少しは気も紛れるでしょう?」
確かに昨日の今日で2人きりでは間が持たないかもしれない。
「そうだな。よろしく頼む」
深い緑色のワンピースに着替えたミーナが階段を降りてきた。
「おはようミーナ!今日は私も一緒に出かけていいかしら?」
「はい!もちろんです」
嬉しそうに近付いてくるミーナ。そんなミーナを聖女がぎゅっと抱きしめる。
「ふふふ、かわいいわねぇ。今日はお財布もいるから、たくさん美味しいものを食べたり、かわいいお洋服を買ったりしましょうねぇ」
「おい、財布とは私のことか?」
思わず聖女を睨む。
「決まってるじゃない。さ、行きましょ!」
馬車は王宮の正門前を通過して進んでいく。聖女が窓から見える建物などを説明すると、ミーナは瞳をキラキラさせながら見つめている。
やがて馬車は文化や教育に関する施設が集まるエリアに停まった。
「午前中は観光して、買い物は午後にしようと思う」
ミーナと聖女に説明する。
「はい。それでここは何なのですか?」
「植物園だ」
「うわぁ、すごいですね!」
巨大な温室の内部は熱帯地方の温度と湿度を再現している。
「私も初めて来たけれど、これは驚いたわ。見たことのない植物がたくさんあるし、ずいぶんと大きなものも多いのねぇ」
2人ともかなり驚いているようなので、連れてきたかいはあったようだ。外の庭園も手入れが行き届いていて目を楽しませてくれる。
ミーナは薬草園に興味を持ったようで、近くにいた職員にいろいろと質問していた。
植物園に満足した2人を連れて外に出る。
「向こうに見える大きな建物は何ですか?」
ミーナが指を差す。
「あれは美術館だな。次は動物園にしようと思っていたが、そちらにしようか?」
「あ、私も美術館は入ったことないから行きたいわ」
「あのな…今日の主役はミーナなんだからお前は口を挟むな」
「え~、いいじゃないのよぉ」
我々の言い争いを制するようにミーナが口を挟んだ。
「あの、私も美術館にどんなものがあるのか見てみたいです」
「本当にいいのか?別に無理してこいつのわがままに付き合わなくてもいいんだぞ?」
「いえ、本当に私も観たいんです」
ミーナは笑顔で答えた。




